生活のためのOL生活からプロレスラー転身、女子では異例の新星マスクレスラーがリングに上がるまで
2026年3月14日。マリーゴールドのリングに突如現れた新星、それがザ・レディAIだ。ハーフマスクという女子では珍しいスタイルでデビュー戦に臨んだ彼女だが、164センチ・63キロという恵まれた体格と懸命に戦う姿勢は、ある先輩選手も「推したくなる」と太鼓判を押すほど。そんな彼女への初のロングインタビュー前編では、プロレスラーになるまでの話を聞いた。

もっとやりがいのある、自分が楽しいと思える仕事を求めてプロレス界へ
2026年3月14日。マリーゴールドのリングに突如現れた新星、それがザ・レディAIだ。ハーフマスクという女子では珍しいスタイルでデビュー戦に臨んだ彼女だが、164センチ・63キロという恵まれた体格と懸命に戦う姿勢は、ある先輩選手も「推したくなる」と太鼓判を押すほど。そんな彼女への初のロングインタビュー前編では、プロレスラーになるまでの話を聞いた。(取材・文=橋場了吾)
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ザ・レディAIは、4年ほど前にプロレスと出会った。すでに学校を卒業し、とある会社に就職していた。
「プロレス好きな女友達がいて、その子から『すごく面白いから見てみて』と言われたのがきっかけですね。最初はSNSなどで見ていたんですが、そのあと一緒に観戦に行きました。初めて(会場で)見たプロレスは、声や音の迫力がネットで見ているのとでは全然違いましたね。ネットだと、ちょっと他人事というか、映画を見ているような感じで。リアルの打撃の音を聞いて、さらに面白いなと思うようになりました」
実は会場に行く前、ネットで動画を見ていたときから、AIの中ではレスラーになりたいという気持ちが生まれていた。
「コスチュームを着て戦うことには、カッコいいなというか憧れがあって……実際に見て、やりたいなと思ってすぐにオーディションを受けました。学生時代は、(アントニオ)猪木さんや北斗晶さんが元プロレスラーだった、というレベルの知識しかなかったんですが。実は当時、キャリアアップの話があって、仕事をしながら自分はこの仕事を一生続けていくのかという思いをずっと抱えていて……。やりたくてやっているというより、お金のため、生活のためにやっていたという感じだったんですよね。もっとやりがいというか、自分が楽しいと思える仕事をしたいなということはずっと思っていました」

長い練習生生活……気持ちが折れたら、辞めるしかないと思っていた
ここでキャリアアップではなくキャリアチェンジを選んだAIは、プロレスの世界に入っていく。
「私はスポーツ経験が全然なくて、運動も苦手で……ほかの練習生と比較すると落ちこぼれではありましたね。ただ、個人的な趣味でいうと、登山がずっと好きなので体力には自信はありました。小学生のときからボーイスカウトに入っていたので、五合目からですが富士山も登頂しました。最近も、自分の体調や気持ちと向き合うときには登山をしているんですよ。でも、体力はあっても(技術的には)全然ついていけなかったですね。簡単な前転・後転、筋トレも全然だめで……特に腕立てと倒立が苦手でした」
しかしAIは、ほかの練習生よりも練習することで苦手を克服した。
「周りの練習生に比べると、自分は成長が遅かったんです。ほかの練習生はどんどん先に進んでいる中で、自分は端っこの方で簡単な受け身をずっとやっていて……気持ち的にも落ち込みました。でも、プロレスを辞めずにデビューまで頑張ろうと。気持ちが折れたら、辞めるしかないじゃないですか。でも辞めたくないなら、気持ちが折れることなく、練習をさぼったら終わりだと思って誰よりも練習に行って自分のできないことを克服しようと思いました」
練習生期間は、ほかの選手よりも少し長くなったが、3.14後楽園ホール大会で山﨑裕花を相手にデビューすることが決定。実は、かなり急に決まったデビュー戦だった。
「自分の中では、ドロップキックだったり、ボディスラムだったり、まだ足りないという意識ではいました。コスチュームも早めに作っていたんですが、サイズ調整がギリギリになってしまい……バタバタではありましたね」
デビューするにあたり、AIは目元だけが見えるハーフマスクを選択した。
「もともとマスクマンには憧れがあったんですけど、すでにマスクマンとして確立されている女子レスラーの先輩方とはかぶらないように考えていて、ハーフマスクがいいんじゃないかと。それで(新日本プロレスの)DOUKIさんのハーフマスクを見て、ファイトスタイルもカッコよくて。(筆者「悪くなる前の……」)そうですね(笑)。あと私服でデニムを着ることが多いので、デニム生地も取り入れました」
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