緒形敦、祖父・緒形拳さんの夢で“俳優決意” 『豊臣兄弟!』で存在感「やれることは全部やった」
NHKの大河ドラマ『豊臣兄弟!』(日曜午後8時)で織田信澄を演じている俳優の緒形敦。俳優一家に生まれながら、もともとは芸能界を目指していたわけではなかった。高校は米国に留学し、ファッションデザイナー志望。そんな緒形が「1ミリも考えたことがなかった」という俳優の道をなぜ選んだのか。

俳優決意に両親は驚き「3秒ぐらい静止していた」
NHKの大河ドラマ『豊臣兄弟!』(日曜午後8時)で織田信澄を演じている俳優の緒形敦。俳優一家に生まれながら、もともとは芸能界を目指していたわけではなかった。高校は米国に留学し、ファッションデザイナー志望。そんな緒形が「1ミリも考えたことがなかった」という俳優の道をなぜ選んだのか。(取材・文=猪俣創平)
祖父に緒形拳さん、父に緒形直人、母に仙道敦子を持つ芸能一家で育った。しかし、中学生までは「サッカー選手を目指していた」と、少年時代を回想する。
「小学生の時は横浜F・マリノスの下部組織にいて、プロを目指していたんですけど、ジュニアユースに上がれなくて、プロにはもう行けないなと思っていました。そこでちょうどファッションに目覚めて、ファッションや音楽、カルチャー系に夢中になりました」
ファッションデザイナーになるため、中学卒業後に米国へ留学。もっとも、サッカーは高校でも続け、アメリカ東海岸高校選抜に選ばれるなど、今もサッカー熱は変わらない。北中米ワールドカップでは、NHKの『デイリーハイライト』にゲストとして2回も出演。解説者顔負けのトークも披露した。
「今もめちゃくちゃ試合を見ていますね。プレミアリーグのマンチェスター・シティが好きで、シチズンなんです(笑)。今回、NHKが『豊臣兄弟!』とワールドカップとのコラボということで、ダイジェスト特番のゲストに呼んでいただきました。自分の好きなことが仕事につながることは、こんなにもうれしいのかと、すごくテンションが上がりました(笑)」
高校から米国へ留学していた緒形だが、卒業時にはニューヨークのファッションデザインスクールへの進学も決まっていた。では、なぜ俳優を目指すようになったのか。きっかけは、フランス・パリで見た不思議な夢だった。
「アメリカの学校は夏休みが3か月ぐらいあったので、その期間を利用して、フランスのパリでサマースクールという形で、3か月ほど洋服の勉強をしていました。その最終日に夢を見たんです。祖父が夢に出てきて、その時になぜか自分が、今まで言ったこともないのに『デザイナーになるか役者になるか、どっちがいいと思う?』と相談していました。そうしたら祖父がニコって笑って、どこかに立ち去って行ったんです。そこでバッと目が覚めて、なぜか『あ、役者やりたいな』という感覚になったんです」

『東京P.D.』で父・直人の“若かりし日”演じる「お互いに照れちゃって(笑)」
目覚めた瞬間の感覚は揺るがなかった。その日のうちに両親へ連絡。「日本に帰って『役者になりたい』と両親に伝えました」。
息子からの突然の言葉に、同じ俳優の両親は「3秒ぐらい静止していた」という。「『え?』とめちゃくちゃびっくりしていました。でも『本気でやるなら』と、特に反対もされませんでした」と明かす。
その後、俳優を目指して歩み始めると、2017年にTBS系日曜劇場『陸王』でデビューを果たし、19年にはNHKの大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』に出演。今年、フジテレビ系1月期の連続ドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係』で、父・直人と地上波ドラマで親子初共演を果たし、直人が演じる安藤直司の若き日を演じたことも話題を呼んだ。
「びっくりしました。ちょうど役が30歳の設定で、僕も今年30歳ということで、プロデューサーの方が『息子さんどうですか』と父に相談していたみたいです。同じシーンがなかったので、オファーを受けさせていただきました。撮影中、あいさつに行こうと思って楽屋で一回会ったんですけど、5秒で出ましたね。お互いに照れちゃって(笑)」
現在放送中の『豊臣兄弟!』では、織田信長(小栗旬)のおいで、明智光秀(要潤)の娘婿でもある織田信澄を熱演。ミステリアスなキャラクターながら、光秀を信長討伐へと向かわせる“キーマン”として存在感を放った。
今作での手応えを聞くと、「お芝居に関して満足することは一切ありません。これは今後もそうなんですけど、『もっと何かできたんじゃないか』とずっと考えちゃうんです。ただ一旦、そんなことはすべて忘れて、やれることは全部やったかなという思いです。あとは見てくださった方に、何かしらそれが響いてくれたらうれしいですね」と謙虚に語った。
『豊臣兄弟!』を経て、「たくさん作品に出たいですし、仕事をいっぱいしたいですね」と前を向く。「歴史が好きなので、第一次世界大戦、第二次世界大戦とかも勉強しているので、戦争ものの役に挑戦してみたいです。あとは旅が好きで、高校に17か国くらいから生徒が集まっていたので、今はいろんな国に友達がいるんですよ。だから旅番組とかもやってみたいですね」と目標も明かした。
サッカーに打ち込み、ファッションに魅了され、夢をきっかけに芝居の世界へ飛び込んだ。形は変わっても、自分にしかできない表現を追い続けている。『豊臣兄弟!』での経験を糧に、その歩みはさらに加速していく。
□緒形敦(おがた・あつし)1996年6月20日、神奈川県出身。2017年、TBS系日曜劇場『陸王』で俳優デビュー。主な出演作に、Prime Video配信ドラマ『MAGI-天正遣欧少年使節-』(19年)、NHKの大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(同年)、映画『レジェンド&バタフライ』(23年)など。26年、フジテレビ系連続ドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係』で父・直人演じる安藤直司の若かりし日を演じて話題に。待機作として、26年8月21日公開の映画『ウォーターガーディアンズ』が控えている。特技はサッカー、英語、絵を描くこと。174センチ。
猪俣創平
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