「手術終わったから吸っちゃった」病室でタバコ、家族呼ばれ強制退院 医師が警告する“身勝手な喫煙”の代償

入院中に喫煙が発覚した患者は、手術直後でも強制退院――。現役医師によるそんな投稿が、ネット上で大きな反響を呼んでいる。健康面や法律面の問題だけではない。入院患者の喫煙は「他の患者や医療スタッフの命を危険にさらす行為」だという。投稿した医師に詳しく話を聞いた。

病院での喫煙は「守るべき命」を危険にさらす行為(写真はイメージ)【写真:写真AC】
病院での喫煙は「守るべき命」を危険にさらす行為(写真はイメージ)【写真:写真AC】

手術後30分で病室喫煙 吸い殻を布団やゴミ箱に隠す例も

 入院中に喫煙が発覚した患者は、手術直後でも強制退院――。現役医師によるそんな投稿が、ネット上で大きな反響を呼んでいる。健康面や法律面の問題だけではない。入院患者の喫煙は「他の患者や医療スタッフの命を危険にさらす行為」だという。投稿した医師に詳しく話を聞いた。

「入院中に喫煙が発覚したら強制退院 手術直後でも強制退院 病院がタバコを禁止する理由 健康増進法により原則敷地内禁煙だけでは無いです 火災の原因の二番に寝タバコがあります 病室内で吸ったタバコを布団やゴミ箱に隠してボヤが起きたことがあります 火の不始末で多くの患者が死ぬところでした」

 7月8日、こうXに投稿したのは、都内で救急診療を行う「救命医エルメス」さん(@doctor_birkin)だ。さらに、別の投稿では「手術が終わって帰室後30分でタバコ吸われた経験あり」と驚きの経験談を挙げている。

 その患者については、以前から病室がたばこ臭く、共同トイレのゴミ箱に吸い殻もあったという。明確な証拠がなかったため警告にとどめていたが、その後、スタッフから「患者がベッドでタバコ吸ってます」と報告があり、確認すると患者は「手術終わったから吸っちゃった」と答えた。結果として、家族を呼んだうえで強制退院になったという。

 これに対して、SNS上では「病室でタバコ吸う人いるんだ、火事怖い」「これは強制退院でも仕方ない」「医療従事者がどれだけ安全を守ろうとしても、患者がそれを壊したら安全管理が成り立たない」といった声が相次いだ。

 健康増進法により、病院や診療所などは原則として敷地内禁煙とされている。だがエルメスさんが強調するのは、単なるルールの問題だけではない。

「隠れて喫煙される患者さんは決して珍しくなく、これまで複数例経験しています。病棟やトイレ、非常階段、病院敷地内などで発覚することがあり、中にはたばこの不始末によってボヤ騒ぎになったケースも経験しました」

 エルメスさんによると、隠れて喫煙する入院患者は布団やゴミ箱などに吸い殻を隠す傾向があり、それが火災のリスクになる。病院には寝たきりの高齢者、酸素投与中の患者など、自力で避難できない人も多く入院しており、火災が起きれば逃げられないまま巻き込まれかねない。当然、病院で働くスタッフにも危険が及ぶ。

 エルメスさんは「病院内での喫煙は本人だけの問題ではなく、多くの患者さんや医療スタッフの命を危険にさらす行為です」と厳しく指摘する。吸った本人は「少しだけ」「ばれなければいい」と考えていたとしても、身勝手な行動で他人の命を危険にさらすことは許されない。

強制退院は「制裁」ではなく病院全体を守るための対応

 喫煙が発覚した場合の対応は、病院によって異なる。ただ、エルメスさんが勤務してきた病院では、一度の発覚でも強制退院の対象となることが多かったという。実際、エルメスさんは自身が執刀した手術の直後に患者が喫煙し、そのまま強制退院となったケースも経験している。

 一方で、すべての患者を直ちに退院させるわけではない。退院させることが患者の生命の危険につながる場合には、当然ながら治療を優先する。身寄りがない患者については、退院先の調整や関係機関との連携を行ったうえで退院となる。

 また、継続した入院治療が必要な患者が喫煙を繰り返す可能性が高い場合には、家族に24時間付き添ってもらい、喫煙できないよう見守りを依頼することもある。そのうえで、病状が落ち着いた時点で速やかに退院させていた。

「病院ごとに運用は異なりますが、いずれも患者さん本人への制裁ではなく、他の患者さんや病院全体の安全を守るための対応です」

 投稿には「そこまで厳しいとは知らなかった」という反応も多く寄せられた。エルメスさんは、「入院中の喫煙がこれほど危険な行為であるとは、まだ十分に知られていないのだと感じました」と話す。

「喫煙そのものではなく、『病院という環境で火を扱うこと』が非常に大きなリスクになります。酸素投与中の患者さんや寝たきりの患者さんがいる病院では、一人のルール違反が重大事故につながる可能性があります」

 病院には逃げたくても自分で動けない患者がいる。守らなければならない命がある。エルメスさんは「入院中は、ご自身だけでなく周囲の患者さんを守るためにも、病院のルールを守っていただきたいと思います」と呼びかけている。

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