W杯予想がすべて裏目…「ひとり箱根駅伝」「自転車で山口から東京」公約 失意の投稿者「困りました」

強豪ドイツとスペインを倒し、見事ベスト16まで進んだカタール・ワールドカップ(W杯)の日本代表。戦前の予想を覆し、不可能を可能にした選手や監督に多くの称賛の声が上がっている一方、ツイッターの投稿で「ドイツに勝ったら自転車で山口から東京」、「日本がスペインに勝ったら1人箱根駅伝やってやるよ」、「クロアチアがブラジルに勝ったら来年はクロアチアに旅行行ったるわ」といった何気ない予想がすべて的中してしまい公約を果たさなくてはいけない状況に追い込まれた謎の人物が話題となっている。その名も「るい(14世)」。「ドーハの歓喜」ならぬ「ハードな悲劇」と自虐を込めて投稿し続ける1人の青年に話を聞いた。

話題の人物「るい(14世)」【写真提供:るい(14世)】
話題の人物「るい(14世)」【写真提供:るい(14世)】

公約は2023年に実行 まずはひとり箱根駅伝から

 強豪ドイツとスペインを倒し、見事ベスト16まで進んだカタール・ワールドカップ(W杯)の日本代表。戦前の予想を覆し、不可能を可能にした選手や監督に多くの称賛の声が上がっている一方、ツイッターの投稿で「ドイツに勝ったら自転車で山口から東京」、「日本がスペインに勝ったら1人箱根駅伝やってやるよ」、「クロアチアがブラジルに勝ったら来年はクロアチアに旅行行ったるわ」といった何気ない予想がすべて的中してしまい公約を果たさなくてはいけない状況に追い込まれた謎の人物が話題となっている。その名も「るい(14世)」。「ドーハの歓喜」ならぬ「ハードな悲劇」と自虐を込めて投稿し続ける1人の青年に話を聞いた。(取材・文=福嶋剛)

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――るい(14世)さんの投稿が注目を集めています。

「困りました(苦笑)」

――SNSでは謎の人物「るい(14世)」に思いを寄せたり、何かを託したい気持ちであふれていて、なつかしい「2ちゃんねる」っぽい雰囲気もありますね。

「ああ、たしかに。昔のVipper(※)のノリを感じました。決して私自身盛り上がりたい訳じゃないんです。別に正体を隠すとかまったく考えていなかったんですけど、ここまで来てしまうと私はネットの人になった方がいいのかもしれないって思い始めています」

(※)2ちゃんねるにある「ニュース速報(VIP)板」を利用するユーザーの総称

――ビジネスっぽいオチは嫌ですものね。

「アハハ(笑)。私のやっていることってそもそもビジネスっぽい要素はゼロなので(笑)」

――るいさんの「有言実行伝説」は4年前にさかのぼります。「W杯ロシア大会」で日本対コロンビア戦の前に「日本代表が勝ったら東京から山口まで自転車で行ってやる」と投稿したのがきっかけでした。

「当時は大学生でW杯前の日本代表の空気ってあんまり良くないという印象がニュースでもあったので学生ノリの冷やかしというか。適当に言ってしまったらまさか日本が勝ってしまって」

――山口県のご出身だそうですね。

「はい。小さい頃によく家族で山口から東京まで車で移動しているとき、ぼんやりと窓を眺めながら『頑張れば(東京から)山口まで(自転車で)行けるんじゃないかな』って。そんな気持ちがずっと片隅にあったのでやるなら学生のうちだなって」

――これまでなにかスポーツは。

「全然してないです。最初の投稿で思った以上に話が広まってしまい『やるしかないな』って。なぜか自分だけ非常に盛り上がってしまいました」

――やってみていかがでしたか。

「とにかく4年前は移動中の7割以上が雨だったので何度も心が折れました」

――具体的には。

「2か所あって、1か所は箱根の峠です。大雨注意報が出ていて勾配の厳しいところに差し掛かると後輪が空転して前に進まないんです。仕方ないので自転車を押しながら半日かけて峠を超えました。翌日もずっと雨予報で『季節を間違えちゃったな』って宿で落ち込みました(笑)。もう1か所大変だった場所は名古屋から鈴鹿峠を超えたところです。今度は向かい風があまりにも酷すぎて……」

――苦労して山口まで走破した感想は。

「『ああこれで終わった』って感じで淡々としてましたけど、2回目は絶対にやりたくないと思っていました」

――それなのにまた繰り返してしまったと。

「すっかり4年前のことを忘れて何にも考えずに投稿してしまいました(苦笑)。今回も『またやってよ』と言われてさすがにドイツには勝てないだろうと思って投稿したんですが……まさかのドイツが負けてしまい『ああ、またやっちまった~』って」

――繰り返す無謀な公約。むしろ勝利の女神という話もありますが。

「いや、ただの過ちです」

――懲りずに今度はスペイン戦で勝ったら「ひとり箱根駅伝」をやると。

「大学時代の友人たちに『またやってよ』って言われたんです。そもそも男子校的なノリの大学だったので社会人になってもそのままの関係が続いているんです。お調子者の私なんですが、さすがに『負の連鎖』を断ち切って友人の熱を冷ましたいと思い、次はドイツよりも強いスペイン相手だから、もう奇跡は起こらないだろうと高をくくってしまったんです。『やっぱり負けてしまったので今回はやりません』て投稿してやろうと思って、たまたまタイムラインに流れてきた『箱根駅伝』というワードを入れて『ひとり箱根駅伝とかやるやつなんていないでしょ』って思いながら投稿してしまい……」

開設したYouTubeチャンネルから公約実行を報告していく【写真提供:るい(14世)】
開設したYouTubeチャンネルから公約実行を報告していく【写真提供:るい(14世)】

私の公約を遠くから見守っていただけたら達成できるかも

――ところが、まさかのスペイン撃破。

「なんて言ったらいいのか……。ツイッターに投稿した通りです」

――日本戦で投稿は終わると思っていたら、今度は「クロアチアがブラジルに勝ったら来年はクロアチアに旅行行ったるわ」と懲りずにフラグを立てて、3つ目の「公約」が決まりました。

「これは間違いなくブラジルだと思っていたので、2度あることは3度あるがまさか本当のことになるとは……。これ以上やらかすと自分自身の限界を越えてしまうので、決勝までほどほどに楽しみたいと思います(笑)」

――SNSの反応をチェックした感想は。

「みなさんの思いを裏切っちゃいけないなっていう気持ちが強くなりました。そこはちゃんと有言実行で回収しようと思います」

――具体的なご予定は。

「先に『ひとり箱根駅伝』を来年のどこかでやろうと考えていますが、具体的にはこれからで、まずは体力作りから始めます」

――どうやって1人で駅伝を。

「もはや『ウルトラマラソン』です(笑)。そもそも走る装備がないのでウエアとシューズの調達から始めます。自転車もあれから塩漬けになっているので埃を払うことからはじめました」

――YouTubeも開設されました。

「きっとやり始めたらSNSに投稿する暇がなくなると思ったので実況ができるように始めました。4年前の旅を振り返ることもやってみようかなって」

――クラウドファンディングやギフト機能で資金調達をするご予定は。

「応援したいというコメントもいただいているのですが、そもそも軽いノリで始めたことなので他力を借りて成し遂げたいとか収益化したくてやってはいないのでお気持ちだけで十分ですと丁重にお断りしています。

 どちらかというとこれだけのあり得ない公約を1人ぼっちでやるのは4年前よりも心が折れそうな気がするので『こんな感じでやってますよ』って私が紹介したものをみなさんにご覧いただけたらそれだけで励みになるかなって思っています」

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