RIZIN王者・浜崎朱加に挑むMMA5戦目の“超新星”伊澤星花「RIZINとJEWELSの2冠王になりたい」

兄・カズトと一緒に。話を聞く限り、伊澤兄妹は戦闘民族の血を受け継いでいるのか
兄・カズトと一緒に。話を聞く限り、伊澤兄妹は戦闘民族の血を受け継いでいるのか

兄妹とケンカざんまいの日々 出会った柔道場

 伊澤にそんな下地があることを知った上で話を進めていきたいが、話を聞く前の下準備でネット上を調べていた際、「幼いころから兄弟ゲンカが絶えなかった」旨の記載を見つけた。まずはそこから尋ねてみると、それは間違いではなかったらしく、「顔を見たらケンカです」(伊澤)と話す。

「物心ついた時からケンカは止まらなかったですね。毎日、何かしらケンカしていましたね。(テレビやゲーム機の)リモコンの取り合いとか」(カズト)

 妹が大みそかのリングで大一番を迎えることについて聞いてみると、「頑張ってもらいたい気持ち半分、こいつばっか目立ってっていうのが半分くらいですかね」と兄は答えた。

 ちなみに伊澤には兄のカズトとは別に、弟の風我がいる。全員が年子なので、その3人が毎日ケンカとなれば、さぞや子育ては大変だっただろうと思う。

「毎日取っ組み合いです。他の2人はぼうず頭だったんですけど、自分だけ髪の毛があったので、引っ張られて。うわーってなってかわいそうじゃないですか。その時期は本気でぼうず頭にしたいと思っていました。自分だけ不利なので」

 この話を聞く限り、伊澤の考えは「強くなるために必要なものだけあればいい」といったニュアンス。なんだか「バキシリーズ」の世界である。

 四六時中、兄妹(きょうだい)ケンカざんまいに手を焼いた両親は「どこか外でエネルギーを発散させないと」と思い、近くの柔道場、カズトいわく「檻」に3人の暴れん坊を通わせたが、これが予想外の結果を生むことになる。

「家の中にいると収拾がつかなくなるから、近くの柔道場に放り込まれて、発散を道場に持ち込もうとしたんですけど、結局、そこで学んだものを家に持ち帰ってやるので。結果的には火に油って感じでした」(カズト)

 道場で学んだ技術や戦い方を駆使して帰宅してからもまた兄妹ゲンカ。ご両親のもくろみは完全にヤブヘビだったが、3人の暴れん坊は、柔道場に週3、4回、さらに週2回のレスリング教室にも通うことになる。

 しかしほとんど年齢が変わらない兄妹であれば、やはり力では妹が負けてしまうのではないか。この問いに伊澤は「そんなことない」と否定するが、兄・カズトはまた違う見解を示した。

「正直、(力では)僕らのほうが強かったんですけど、(星花は)気持ちが一番強かった。最近もスパーリングで力では勝てないんですけど、全力で泣いて、道場中をわめき散らして、泣いたまま突っ込んできましたね」

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