100回の挫折を経てつかんだアイドル人生 元ラスアイ・畑美紗起が語る“プロデューサー転身”の真意

ラストアイドルや×純文学少女歌劇団のメンバーとして活動してきた俳優でクリエイターの畑美紗起が転機を迎えている。22歳で念願のアイドルとしてデビューしてから、約8年。30歳になった今、目の前に広がる光景は大きく変化していた。昨年11月には、アイドルプロデュースに挑戦することを決断。新たな道を歩み始めている。

アイドルグループ・Lumietoileをプロデュースする畑美紗起【写真:増田美咲】
アイドルグループ・Lumietoileをプロデュースする畑美紗起【写真:増田美咲】

アイドルグループとしての活動に区切りをつけた理由は「ラスアイは超えられない」

 ラストアイドルや×純文学少女歌劇団のメンバーとして活動してきた俳優でクリエイターの畑美紗起が転機を迎えている。22歳で念願のアイドルとしてデビューしてから、約8年。30歳になった今、目の前に広がる光景は大きく変化していた。昨年11月には、アイドルプロデュースに挑戦することを決断。新たな道を歩み始めている。(取材・文=中村彰洋)

 幼少期から大好きで憧れていたアイドル。学生時代は握手会にも通い続けるほどだった。次第に、アイドルとしてステージ上で自分の姿を思い描くようになり、多数のオーディションを受けるようになっていった。しかし、現実は甘くなく、落ち続けること約100回。夢を諦めかけ一般企業への内定も決まっていたタイミングで、つかんだチャンスがラストアイドルへの挑戦だった。

 ラストアイドルの2期生としてデビューしたのは22歳の時。以降、グループ活動が終了する2022年5月31日まで全力で走り抜けた。そのピリオドは自分で決めたものではなく、「やり切った」という思いとは異なっていた。しかし、ラストアイドルへのグループ愛が、畑の心境を変化させていた。

「私は、ラストアイドルというグループが本当に大好きなので、ラスアイを超えるアイドルにはなれないと思っています。ラスアイは思い出として心の中にずっと残しておきたいんです。ソロのアイドルやアーティストとして、歌って踊ったりはしたいですが、また新しいグループでアイドルをやりたいという気持ちは現段階では出てきませんでした」

 ラスアイとしての活動を終えた3か月後には、ミュージカル&音楽グループ・×純文学少女歌劇団に参加することとなるが、「アイドルではなく、舞台のグループと捉えていた」と切り離した上での決断だった。しかし、そのグループも24年11月末をもって解散。以降は、舞台作品を中心とした俳優、さらにはインフルエンサーとして歩き始めた。

「1人で活動するようになって、環境がとても変わりました。グループで活動することが好きだったので、すごく寂しかったです。1人でやっていけるのか、とても不安な気持ちもありました」

アイドルに対する思いを語った畑美紗起【写真:増田美咲】
アイドルに対する思いを語った畑美紗起【写真:増田美咲】

アイドル自身の気持ち、ファン心理、裏方の目線…3つの視点が武器

 そんな日々を送る中で、転機は訪れた。きっかけは事務所の社長からの「アイドルプロデュースをやってみないか」という提案だった。「私自身が表舞台に立ちづらくなってしまうかも」といった不安を抱きながらも、「こんなチャンスは2度と巡ってこないかもしれない」という思いで挑戦を決断した。

 プレイングマネジャーとして、自身が再びステージに立ちながらプロデュースをするという選択肢もあったが、「プロデューサーとメンバーは別にするべき」という考えを貫いた。

「私がグループの一員として活動することは今のところ考えていません。でも、グループに何かあったら、サポートする機会はもしかしたらあるかもしれません(笑)。アイドルをやりきったとは思ってはいませんが、やっぱりラスアイ以上のアイドルにはなれないと思っています。ラスアイが好きすぎるので、ラスアイのメンバーとラスアイの曲を歌うみたいな形だったら絶対に、必ず、やります!」

 畑が手掛けるのは6人組・Lumietoile(読み:ルミエトワール/「e」の正式表記はアクセント記号付き)。オーディション選考から、グループコンセプト、楽曲、アーティストビジュアルに至るまで、さまざまな部分に“畑色”が詰め込まれている。「ルミエトちゃんのチームの一員として動けていることがうれしいです」と笑顔を見せる。

 アイドルとしての気持ち、ファン心理、さらには裏方としての目線の3点を持ち合わせている畑だからこそ、見える景色がある。プロデューサーとしての自覚も芽生え、やりがいを感じるようになっていった。

「本当に楽しいです。私もアイドルだったからこそ、アイドルの気持ちはめっちゃ分かります。それに、ようやく裏方さんの気持ちも分かるようになってきました。今はその間に立っている感覚があって、どちらの意見も分かるからこそ、架け橋のような存在になることができればと思っています」

“出役”と“裏方”の両立についても語った【写真:増田美咲】
“出役”と“裏方”の両立についても語った【写真:増田美咲】

初めての“裏方仕事”で変化した意識「私もできるんだ!」

 当初不安に思っていた“出役としての自分”とのバランスも、両立していく中で徐々にクリアになってきた。

「舞台にも出演させていただき、インフルエンサーとしても動画作成をしたり、忙しくさせてもらっています。私の生誕祭も開催できたりと、やりたいことをやらせていただけています。今はプロデュース業と両立できていて、自分に合っているなと思います。私は欲張りなんです(笑)」

 3月には30歳の誕生日を迎えた。「まさか自分が30歳になってまだ活動できているとは思っていませんでした」。そう笑いながらも、「新たなチャンスをいただけて、とてもいい機会です」と心機一転の心持ちだ。

「自分の中で意識がかなり変化してきました。『有名になりたい!』みたいな欲よりは、『お仕事を楽しみたい!』という気持ちが今は大きいです。ファンの方と接することは大好きで、それを辞めたくはないので、表舞台には出続けたいですが、今はそれより『私も裏方のお仕事ができるんだ!』という気持ちになっています」

 歌やダンス、演技に声の仕事……。まだまだ挑戦したいことは山ほどある。「好奇心旺盛なんです」と屈託のない笑顔を浮かべる。他方で、「まずはルミエトちゃんを主軸として頑張りたいです」と意気込む表情は真剣そのものだ。“アイドルプロデューサー・畑美紗起”は、この先どのようなステージを用意してくれるのだろうか。

□畑美紗起(はた・みさき)1996年3月27日、埼玉県出身。2018年9月にラストアイドルの2期生としてデビュー。22年5月末をもってグループ活動を終了した。同10月には、×純文学少女歌劇団に加入し、24年11月の解散まで活動を続けた。以降は俳優、モデル、クリエイターとして活動。アイドルグループ・Lumietoileのプロデュースを手掛ける。

□Lumietoile(ルミエトワール、略称:ルミエト)茅野花音、越まりん、橘優衣、月城妃奈、夏八木音羽、羽田心咲による6人組。5月26日にデビュー曲『なりたい、無敵ヒロイン』を配信リリース。6月27日に神田明神ホールでデビューライブ「まだ名もない星たちへ」を開催する。グループ名には、“光”を意味する「Lumiere」と、“星”を意味する「Etoile」という言葉を掛け合わせ、メンバー一人ひとりの個性や輝きを集め、光として誰かの夜空を照らす存在を目指すという思いが込められている。

次のページへ (2/2) 【写真】畑美紗起の撮り下ろしショット
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