【RIZIN】平本蓮、スタッツから見える敗因 テイクダウン成功はゼロ…明らかになった課題

元K-1ファイターの平本蓮(ルーファスポーツ)がKNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王者・鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)に0-3の判定で敗れた。430日ぶりの実戦。試合後、朝倉未来に煽られるも「俺の方が強い」と言い切るファイティングスピリットを見せたが、公式スタッツを見ると、敗戦の原因は一目瞭然だった。

平本蓮、スタッツから見える実戦経験の差とは【写真:(C)RIZIN FF】
平本蓮、スタッツから見える実戦経験の差とは【写真:(C)RIZIN FF】

対戦相手の鈴木千裕は8回テイクダウンを狙いにいく

格闘技イベント「+WEED presents RIZIN LANDMARK vol.2」(2022年3月6日、開催場所は非公開)第5試合、RIZIN MMAルール(66キロ、5分×3R)

 元K-1ファイターの平本蓮(ルーファスポーツ)がKNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王者・鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)に0-3の判定で敗れた。430日ぶりの実戦。試合後、朝倉未来に煽られるも「俺の方が強い」と言い切るファイティングスピリットを見せたが、公式スタッツを見ると、敗戦の原因は一目瞭然だった。(取材・文=島田将斗)

 2R以降、試合は硬直する。平本は正確無比な打撃を放つ。しかし、打ち合いを嫌った鈴木に組み付かれるとなかなか動けなかった。試合後、平本は「作戦はテイクダウンを取りにいくこと、組みの展開にきついとかはなかった」と明かした。

 公式スタッツを見ると平本が作戦を遂行できなかったことがうかがえる。対戦相手の鈴木は8回テイクダウンを狙いにいき、3回成功している。一方で平本が狙いにいったテイクダウンの数は2回でいずれも失敗していた。

 課題はグラップリングだ。平本が奪われたテイクダウン3回のうち2回は外掛けから。グラウンドでの攻防でもトップやバックの有利なポジションを何度も奪われた。鈴木は1Rで拳を負傷していたというが、ギロチンチョークや腕の関節など多彩なバリエーションで攻められた。

 MMAの技術で上回られたが、それは平本自身も痛感していた。

「肘を効かせていたこともあって、倒しに行くことにこだわってしまった。練習とは別物だってわかっていたのですけれど、自分に足りないのは総合格闘技の経験。試合中(作戦が)飛んでしまって……。もっとああいう風にできたのになって、反省点が多い。打撃とか含めてMMAとしてもっとできたなっていうのが本当にある」と悔し涙をこらえながら振り返った。

 榊原信行CEOは「(平本に)圧倒的に足らないのは実戦経験だと思うんだよね。キックの試合の経験は当然あるけれど、MMAを闘うまでの“道場”では本当に強いんだと思う。リアルに試合する中での引き出しは実戦でしか学べないものが多々あると思う」と分析した。

 米国の名門ジムで約1年間鍛えたテクニックも試合経験のなさを覆すまでには至らなかった。試合前までは、SNS上で舌鋒鋭く盛り上げた。しかし実戦は違った。経験と引き出しの少なさは、平本を消極的に見せた。

 ただ、並大抵ではないハートの強さは備わっている。「RIZINで必ず強くなってみせます。RIZINで死に物狂いでやっていきます」。平本の闘志は消えていない。“美しきドブネズミ”の下剋上に今後も期待したい。

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