役者・映像作家・文筆家の“三刀流” 25歳の逸材はコロナ禍で書くことに「救われた」

小川紗良は早稲田大学時代に是枝裕和監督から教わった経験を持つ【写真:ENCOUNT編集部】
小川紗良は早稲田大学時代に是枝裕和監督から教わった経験を持つ【写真:ENCOUNT編集部】

コロナ禍で「アニメや映画に改めて救われたなという思い」

 フォトエッセーでは映画の製作ウラ話を絵日記で記したパートも。「本当はプロダクションノートを書いてくださいと言われて、普通に文章で書こうとしていたのですが、それまで映画のエッセーでかなりの分量を書いていたので、ここは夏休みの絵日記風にしてみたんです」と説明してくれた。

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 ロケ地だった鹿児島県阿久根市にも再訪問し、撮影当時19歳の新鋭写真家、増田彩来(さら)氏が撮影した。「メイクも衣装もつけずに完全な2人旅でした。2人で2泊3日、民泊に泊まりました。すごく人なつっこい猫がいたり、急にお天気雨が降ってきたり、いい日差しが入ってきたりと、いろいろな情景が撮れました。衣装も全部、私服。表紙で着ているオーバーオールは、今年中止になった舞台で着るはずだった衣装をいただいたものです」。

 巻末では、早稲田大学時代の恩師、是枝裕和監督(理工学術院教授)と初対談。「是枝さんはこちらがあまり多くを語らなくても、自然と人のことが見えているというか、久しぶりにそのまなざしを感じて少し緊張しました。自分の映画作りだけじゃなくて、今の映画界全体、その先の未来まで見据えながら、動いている方だと思います。私が大学に入ったときは(「万引き家族」で)パルムドールを取る前で、結構授業もやっていらっしゃったので、すごく貴重なタイミングでした」と、その縁に感謝する。

 コロナ禍では舞台が中止になるなど役者業には大きな影響も出たが、書くことに救われた。「書くことは好きだったんですが、仕事として一番前には出ていなかったんです。でもコロナでいったん時間が止まったときに、じっくり執筆と向き合うことができた。この1年ですごく書くことが楽しくなったなっていう感覚があります。好きな作品を見返していく中で、アニメや映画に改めて救われたなという思いもあります。来年も書くことを続けていきたいです」と意気込んだ。

 □小川紗良(おがわ・さら)1996年6月8日、東京都出身。役者、映像作家、文筆家。長編初監督作品「海辺の金魚」がイタリア・ウディネ・ファーイースト国際映画祭や韓国・全州国際映画祭他で正式招待され、今年6月に公開。また同名小説も発売され話題となる。学生時代に映画「イノセント15」「聖なるもの」などの主演作品で俳優として注目され、その後出演した朝の連続テレビ小説「まんぷく」や主演映画「ビューティフルドリーマー」などで好評を得た。「海辺の金魚」DVDが12月8日に発売。

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