熊本地震、被害は少ないのに「お客様が来ない」 宿泊キャンセル20.6億円、観光事業者が悲鳴

最大震度7を観測し、被災地に深い傷を残した「令和8年熊本地震」。建物の損壊など直接的な被害だけでなく、比較的被害が小さかった観光地にも深刻な影響が広がっている。ホテルや旅館で宿泊キャンセルが相次ぎ、通常通り営業している観光事業者まで大きな打撃を受けているのだ。熊本を応援するためにも、現地の状況を正確に把握し、不必要な旅行の「自粛」は避けたいところだ。県内観光の現状について、熊本県観光連盟の担当者に話を聞いた。

食、名所、温泉…観光資源が豊富な熊本県【写真:熊本県観光サイト「もっと、もーっと!くまもっと。」より】
食、名所、温泉…観光資源が豊富な熊本県【写真:熊本県観光サイト「もっと、もーっと!くまもっと。」より】

「お盆にまったくお客様が来ないのは厳しい」観光事業者から悲痛な声

 最大震度7を観測し、被災地に深い傷を残した「令和8年熊本地震」。建物の損壊など直接的な被害だけでなく、比較的被害が小さかった観光地にも深刻な影響が広がっている。ホテルや旅館で宿泊キャンセルが相次ぎ、通常通り営業している観光事業者まで大きな打撃を受けているのだ。熊本を応援するためにも、現地の状況を正確に把握し、不必要な旅行の「自粛」は避けたいところだ。県内観光の現状について、熊本県観光連盟の担当者に話を聞いた。

 熊本県が公表した資料によると、8月6日までに県内で約14万6000人泊分の宿泊キャンセルがあり、キャンセル額は約20.6億円(いずれも暫定値)に達した。

 地域別で見ると、比較的被害が少なかった阿蘇地域、天草地域のキャンセルが合わせて約7万8000人泊分となり、県全体の5割以上を占めている。通常通り営業している旅館やホテルまで経済的な打撃を受けている状況だ。

 ニュースなどで被害を目にすると「熊本全体が被災地なのではないか」と錯覚しかねないが、今回の地震は地域によって影響が大きく異なる。

 熊本県観光連盟によると、熊本市や阿蘇地域など県北部をはじめ、天草地域、人吉・球磨地域、水俣・芦北地域など、多くの地域では宿泊施設や観光施設が通常通り営業しているという。

 被害の程度にかかわらず「熊本」というだけで観光を取りやめる動きが広がれば、普段通りに営業を続けている観光事業者も深刻なダメージを負う。各報道によると、木村敬知事は一連の状況を受けて、「ある種の風評被害だ。県として的確に情報発信し、観光事業への刺激策を検討したい」と危機感を示した。

 地震が発生したのは、夏の観光シーズンの真っただ中だった。

 熊本県観光連盟には、県内の観光事業者から「お盆は年間でも大きな収入が見込まれる時期だけに、まったくお客様が来ないのは非常に厳しい」「宿泊業だけでなく、飲食業のキャンセルも非常に多い」「今後、先々どうなっていくのか不安だ」といった、悲痛な声が寄せられている。

東日本大震災や能登半島地震でも繰り返された「観光の風評被害」

 災害後、直接的な被害を受けていない地域まで観光客が避けるようになる事態は、これまでも繰り返されてきた。

 東日本大震災では、被災による風評被害や観光の自粛ムードが観光客減少に大きく影響したと復興庁が総括している。2024年の能登半島地震でも、被害が少なかった地域で宿泊キャンセルが相次ぎ、観光庁などが「北陸応援割」で需要喚起に乗り出した。

 同じような事態を繰り返さないためにも、「被災した県だから行かない」と一括りにするのではなく、地域や施設ごとの最新情報を確認し、熊本の観光業を応援していくことが支援につながる。

 熊本県観光連盟の担当者は、苦境にさらされている県内の観光事業者に向け、「この10年を振り返りますと、平成28年の熊本地震、コロナ禍、豪雨災害、そして今回の地震と、幾度となく大きな困難に直面してきました」とした上で、「『なぜこんなにも続くのか』と思われる方も多くいらっしゃると思います。私たちにできることは、まずは熊本の状況をしっかり発信すること」とコメント。県と連携しながら、復興に向けて観光事業者を支えていく考えを示した。

 熊本への旅行を検討している人に対しては、各地域や施設のホームページなどで最新状況を確認した上で、「ぜひお越しいただきたいと思います」と呼びかける。「このたびの地震では、宿泊施設や観光施設に甚大な被害が生じましたが、直接被害がなかった地域でも多くのキャンセルが生じています。県内には大きな被害を受けておらず、これまでどおり皆様をお迎えできる地域が数多くあります」と担当者。

 さらに現地への観光が難しい場合でも、「熊本のものを買っていただくことも、事業者の大きな励みになります」としている。

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