27年前の伝説“1億円トーナメント”の舞台裏 仕掛け人が激白「決勝は高田×前田になったかも」

去る10月31日、東京・世田谷区用賀にある市屋苑(いちおくえん)で、「Yogibo presents RIZIN.31」(10月24日、ぴあアリーナMM)での新居すぐる戦に勝利した“Uの末裔”中村大介と、「skyticket Presents DEEP 101 IMPACT」(5月5日、後楽園ホール)でKINGレイナに勝利した東陽子の祝勝会が開かれた。開催場所となった市屋苑は、元UWFインターナショナル(以下、Uインター)取締役の鈴木健氏がオーナーを務める串焼き屋。関係者はもちろん、多くのプロレスファンや格闘技ファンが集まる店としても知られている。今回は鈴木氏より聞いた、Uにまつわる衝撃話をお届けする。

盟友である高田延彦の引退試合があった、「PRIDE.23」(2002年11月23日、東京ドーム)のポスター前で
盟友である高田延彦の引退試合があった、「PRIDE.23」(2002年11月23日、東京ドーム)のポスター前で

元Uインター取締役・鈴木健氏に聞いた「最悪の状況は最高の利益を生む」

 去る10月31日、東京・世田谷区用賀にある市屋苑(いちおくえん)で、「Yogibo presents RIZIN.31」(10月24日、ぴあアリーナMM)での新居すぐる戦に勝利した“Uの末裔”中村大介と、「skyticket Presents DEEP 101 IMPACT」(5月5日、後楽園ホール)でKINGレイナに勝利した東陽子の祝勝会が開かれた。開催場所となった市屋苑は、元UWFインターナショナル(以下、Uインター)取締役の鈴木健氏がオーナーを務める串焼き屋。関係者はもちろん、多くのプロレスファンや格闘技ファンが集まる店としても知られている。今回は鈴木氏より聞いた、Uにまつわる衝撃話をお届けする。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

 まずは本題に入る前にコロナ禍における市屋苑という飲食店の状況説明から。緊急事態宣言は一応、引き下げられたが、コロナ禍は今もなお続いており、市屋苑も今年に入ってから10か月間、営業を控えざるを得なかった。しかも、鈴木氏は今年の6月、10時間にもおよぶ大手術から無事に生還したばかり。10万人に1人という脳腫瘍の手術だった。つまり中村大介と東陽子の祝勝会は、同時に鈴木氏の快気祝いでもあった。

 実際、この日の店内には50人以上の人々が入れ替わり訪れた。その中には“激辛番長”として知られるプロレスラー・宮本和志の姿もあった。

「ウチは母子家庭だったから15歳で就職したけど、それから今まで52年間、10か月間も仕事をせずに休んだのは初めてだったよ。その間に国からの給付金も出たし、春には病気も見つかって手術もできたし、私としてはドンピシャリ最高のタイミングでの休みになりましたね~」 

 そして、予備知識のない方にご説明差し上げると、鈴木氏がオーナーを務める市屋苑は、Uインター時代に行った、1億円爆弾の記者会見がその名前の由来になっている。

 1994年2月15日、横浜にあったグレイスホテルでUインターは4月から開催する、優勝賞金1億円の「プロレスリング・ワールドトーナメント」の開催記者会見を行った。その際、壇上に登壇した鈴木氏は、実際に現金1億円を机の上に並べ、当時の主要5団体のエースにトーナメントへの参加を呼びかける招待状を送る旨を発表。そのメンツは、新日本プロレスの橋本真也、全日本プロレスの三沢光晴、WARの天龍源一郎、リングスの前田日明、パンクラスの船木誠勝の5人だった。

 酒の席での話ながら、当時を振り返って、鈴木氏が口を開いた。傍らでは中村がその言動に注目している。

「もちろん、他団体のエースを巻き込むなんて、そう簡単には行かないだろうなと思ったけど、最悪の状況は最高の利益を生むという考えがあったから、最後はまず走っちゃえという話になったよね」

次のページへ (2/7) 週刊プロレスの表紙を飾った「夢と1億円」
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