世界的な動物写真家が伝授する…ネコをかわいく撮る秘訣、ネコとの理想的な関係とは

インタビューに応じた岩合光昭氏【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた岩合光昭氏【写真:ENCOUNT編集部】

撮影のこだわり「シンプルな環境というのはとても大事です」

――ミャンマーのネコたちは湖上で生活し、泳ぎも見せてくれます。

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「ミャンマーでは、子ネコがいきなり湖に落ちてしまいますよね。それを見た時、ここのネコはどういうふうに育っていくのかなと気になったんです。テレビ版『世界ネコ歩き』の取材は、原則1回限りなんですが、映画は追いかけました。計3回行きましたけど、一番心配だったのは次に行った時に、子ネコたちが無事かどうか。コーディネーターには、ご主人である家族に連絡を取っていただいて無事かどうかを定期的に確認してください、とお願いしました。直接的な言い方で言うと、『絶対に死なせないで』と(笑)」

――撮影のこだわりは?

「シンプルな環境というのはとても大事です。ミャンマーの場合は湖、北海道の牧場も地平線がありました。テレビでも同じですが、環境がネコを育てると思っています。ネコだけではなく、人の動き、朝の光、風の吹き方などを気にしながら撮っています。シンプルな光景であればあるほど、ネコが引き立つんです。舞台に立った役者さんのように」

――人間と動物の理想の関係性は?

「お互いの距離感ですね。たとえばネコをヒトと同じように考えてしまうと、構い過ぎてしまったり。ネコや動物にも権利があることを思い出して、節度を持って付き合うことが大事なんです。干渉はあまりしない。ネコは本来、自由な動物。その自由さが大切。自分のものにしようとすると、ネコは距離を置いてしまうんです」

――岩合さんは、ご自身もネコじゃないか、と思うくらい近い距離感で撮影されますよね。コツは?

「ネコはこちらから迫っていくと、撮れない。ネコの方から興味を持ってもらうようにする。動きをよく観察して、毎日通る場所、爪とぎをする場所にカメラを構えるんです。動物は一般に占有権というか最初にいたものに対しては存在を認めることが多い。日向ぼっこしているネコたちにカメラを持って迫っていくと、迷惑そうな顔をされるんですが、最初からいれば、気にしないし、膝の上にも乗ってくれます」

――素人が岩合さんのような画を撮りたいと思ったら、どうすればいいですか?

「かわいいと思って撮れば、かわいく撮れますよ。まずは撮りたい写真を、画を決めないことです。それはネコ次第。力んでいったら、ネコは構えてしまう。一番大切なのはネコに興味を持ってもらうこと。僕は初日から3、4日は上着を着替えないんです。匂いを慣れさせるんです。着替えてしまうと、新しいのが来たなと警戒してしまうから。『世界ネコ歩き』テレビ版のロケで、たまに観光客に見つかっちゃったりするんですけど、『岩合さんって、汚い格好していますね』と言われます(笑)」

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