宮本亜門、ミュージカル「生きる」で黒澤明監督の墓参り コロナ禍で“人生の尊さ”描く

黒澤明監督の生誕110年記念作品として、市村正親と鹿賀丈史のダブルキャストでミュージカル「生きる」(10月9日開幕、日比谷・日生劇場)が上演される。9月6日は、原作となる映画「生きる」の監督を務めた黒澤監督の命日にあたる。演出の宮本亜門が過日、神奈川県鎌倉市にある黒澤監督の墓参りを行った。

黒澤監督の墓参りを行った演出の宮本亜門【写真:(C)ホリプロ】
黒澤監督の墓参りを行った演出の宮本亜門【写真:(C)ホリプロ】

市村正親&鹿賀丈史のダブルキャストでミュージカル「生きる」 黒澤明監督の生誕110年記念作品で10月9日開幕 

 黒澤明監督の生誕110年記念作品として、市村正親と鹿賀丈史のダブルキャストでミュージカル「生きる」(10月9日開幕、日比谷・日生劇場)が上演される。9月6日は、原作となる映画「生きる」の監督を務めた黒澤監督の命日にあたる。演出の宮本亜門が過日、神奈川県鎌倉市にある黒澤監督の墓参りを行った。

 本作ミュージカルは初演で「国産ミュージカルの記念碑」と絶賛され、待望の再演を迎える。新型コロナウイルスという脅威にさらされ、「生きること」「命」について日々考えさせられているいまだからこその作品とも言える。

「生きる」の主人公は、市役所に勤める渡辺勘治。胃がんで自分の人生が長くないことを知った彼は、「これから何をすればいいのか」と考える。初演から2年、今回の再演まで間に、宮本自身も前立腺がんを患い、全摘手術を受けている。「死」がより身近なこととして感じ、恐れたという。それにより主人公の混乱や怖さが生々しく描ける、と同時に生きていることの素晴らしさも初演以上に強く描きたい、と語っている。市村、鹿賀、そして宮本。日本を代表する演劇界の“生ける伝説”が再び結集し、2020年のコロナ禍で、1度しかない人生を「生きる」ことの大切さを、舞台上から見せてくれることに期待したい。

 東京公演は10月9日~同28日に日生劇場で上演。その後、11月から富山公演、兵庫公演、福岡公演、名古屋公演と続く。

宮本亜門のコメント

――黒澤監督の墓前にて、何をご報告したか?

「今回、ミュージカルにした『生きる』をぜひ、見守ってください。特にこのコロナ禍で大変な時期に、『人生は1度しかない、生きているうちに、何かをしなくては」という黒澤明さんのお言葉通りの舞台に、多くの人が勇気をもらえるように、世界が平和になるような舞台にしたいと」

――こうして墓前に来ての感想は?

「住職から伺いましたが、奥様が亡くなられた時にこのお墓を建てたそうです。大きな石積みがあるかと思っておりましたが、どのお墓よりも、一番、小さく愛らしく、そして静かに横たわっている。ここから、本当に夫婦愛を大事にされていたのだなと、人間の本質を忘れない方だったのだと感じています。権力や権威ではなく、人のことを想い続け、人として亡くなられた方なのだと感じました。本当に今日来られて良かったと感じています」

――宮本亜門が思う、黒澤映画にしか魅力とは?

「全世界に日本の文化、そして人間のエネルギー、生きることのすごみを教えてくれた人だと思っています。その作り出された映画は実に緻密でそして大胆で。今の時代にはなかなか現れないであろう、地球規模のアーティストだと思っています。間接的ではありますが、こうして黒澤さんと関わらせていただけることを心から感謝しています」

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