『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』ふぉ~ゆ~辰巳雄大「連載中の漫画は教科書のように読んだ」

ふぉ~ゆ~の辰巳雄大、俳優の浜中文一、小西桜子が映画『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』(10月27日(金)公開予定)の囲み取材に応じた。3人のシーンが多かったという撮影現場での雰囲気やお互いの印象などを明かした。

小西桜子、ふぉ~ゆ~・辰巳雄大、浜中文一(左から)【写真:ENCOUNT編集部】
小西桜子、ふぉ~ゆ~・辰巳雄大、浜中文一(左から)【写真:ENCOUNT編集部】

漫画、舞台、映画の3つのメディアによるプロジェクト

 ふぉ~ゆ~の辰巳雄大、俳優の浜中文一、小西桜子が映画『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』(10月27日(金)公開予定)の囲み取材に応じた。3人のシーンが多かったという撮影現場での雰囲気やお互いの印象などを明かした。

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 本作は、平安時代から現代までの千年を生き抜いた2人の男たちと輪廻転生(りんねてんせい)を繰り返す女の壮絶な物語。記憶喪失だが不思議な力を持つ草介を辰巳が、草介に寄り添い、全てを知る謎の男・光蔭を浜中が、輪廻転生して生まれ変わった女優の卵・舞と生まれ変わる前のとわを小西が演じる。

――脚本を読んだときの感想を教えてください。

辰巳「漫画の世界を現代で表現するとなるとどうなるのかなと思いました。あとは、自分が記憶を失っている役ということに驚きましたね」

小西「私が演じる役柄にも魅力を感じましたし、千年というスケールの大きな話だなと思いました」

浜中「脚本を最初に手にとって……すごく子どもにも優しい紙だなって」

辰巳「紙の素材の話? さわり心地を話すとは思わなかった(笑)」

浜中「あ、内容か! 内容は、千年生きていないとこの話は成り立たないので、その千年をどう埋めていこうかなと思いましたね」

――舞台、映画に先行して連載中の漫画も読まれていたのでしょうか。

辰巳「漫画は教科書のように読んでいました。『漫画ではこうだったよね』って脚本に書かれていない部分を漫画で埋めたりもしていました」

――菊地健雄監督との撮影で、印象に残っていることを教えてください。

辰巳「顔合わせと本読みのときから、監督は『映画は役そのもののドキュメンタリーであり、役者のドキュメンタリーだとも思っているから現場で生まれたものを大切にしたい』とおっしゃっていて。撮影中も『今のでオッケーだけど、もう一度撮ってみてもいい?』と声をかけてくださったり。1か月くらいの撮影で時間がないなかで、急がずに撮ってくれましたね」

小西「脚本に文字では描かれていない部分がそれぞれの登場人物にあるんですけど、舞ととわという2人の人物の隙間を埋める作業の時間を作ってくださいました。そのおかげで、1つ1つ納得しながら、撮影することができました」

浜中「一緒になって作ってくださるんですよね。監督の中で描きたいものに僕らのプランも取り入れて、『どうやっていこうか』って寄り添ってくださいました」

――監督の言う“ドキュメンタリー”というのは具体的にどんなときに感じられましたか。

辰巳「僕が『撮り順は物語の順番通りがいい』って伝えていたのもあってスケジュールを調整してくれましたし、ラストの海のシーンも舞と草介の時間を作って、かなりねばってくれました。その場で出たものも残すけど、もっと見たいと言ってくれて。監督のこだわりを感じた時間でした。海の力もあって、想像以上のシーンになったと思います」

――辰巳さん、小西さん、浜中さんのお互いの魅力はどこだと思いますか。

辰巳「サクラコォは……」

浜中「コニシィサクラコォの魅力は……」

――その呼び方は(笑)。

辰巳「ずっとこんな感じです(笑)。ぼくは、舞に心を揺さぶられる役だったのですが、その感情がナチュラルに引き出されました。グッと気持ちを持っていかれることが多かったです。気付いたらふところに入ってきてくれていたというか。とくに、海で夕日をバックに撮影したシーンで。あまりにもいい表情で、思わず泣いてしまいました。スクリーンで舞を見たときも『すてきな女優さんだな』と思いました」

小西「こちらこそ、たくさん助けていただきました。難しい役で監督とも話してはいたのですが、フィーリングな部分が多かったので。お二人がどっしりと構えてくださったおかげで、感情をぶつけられたんだと思います。いろんな部分で頼りにさせていただきました」

浜中「コニシィサクラコォに関しては、毎回生まれ変わるという難しい役を自然にやられていた印象です。あとは、草介と舞がイチャイチャしてるんですよ。ぼくはそれを端から見ている役なので、『すてきだな』とほほ笑ましく見られました。僕だけ1人で暗いところにいたときはさみしかったですけど(笑)」

――演じるうえで意識したことを教えてください。

辰巳「監督と“草介の記憶が抜けている部分”をどう表現するかについて『話すトーンに違和感を持たせよう』という話はしていました。千年生きているうちの百年が抜けているのが、腑に落ちない部分があったので。監督とも話して、スッキリした状態で現場に挑みました。普通はあるはずのない“間”があったり、普通に言えないことがすぐ言えるような違和感を意識していました。いい違和感になっていたらうれしいです」

小西『舞は、後半にとわの人格が出てくるので、そこの差ですね。楽しいやうれしいの感情を持たずに生きていた舞が、2人に出会って自分の気持ちを取り戻していくところを意識しました」

浜中「千年生きている人間って、思考や心の動きはぼくらと変わらないかもしれないけど、いろんな経験をしたことから気持ちが揺れ動くことはないんだろうなとかは意識しました。でも、光蔭の草介に対する思いは千年前から変わらないので、バランスがいいようで悪い感じが出たらいいなと思っていました」

――では、印象に残っているシーンを教えてください。

小西「海のシーンですね。平安時代の海のシーンの撮影は、ちょうど皆既月食の日だったんです。この長い時間を描いた物語のなかで、442年ぶりの惑星食と同時に起こる皆既月食の月の下で撮影したという部分からも運命的なものを感じて、実感が湧きました。『この月を442年前に見た人がいたんだろうな』と」

辰巳「あのシーンはアドリブだったよね。だから現代語が出ちゃったり。『タッチ!』『今、めっちゃ現代語出ちゃった!』『お触れ申した! お触れ申した!』って、おにごっこみたいに。着物で海に入るという背徳感も感じながら、楽しくやっていました」

浜中「ぼくは客観的に2人を見る役だったので、この2人が楽しそうにやっているのを見て感じたことを役に反映させていましたね」

撮影中のアドリブでも仲を深めた3人

――仲の良さが伝わってくるお三方ですが、現場ではどんなお話をされていましたか。

浜中「休憩時間がたくさんあったわけではなかったので、3人でオフの時間を過ごすというのもあまりなくて」

小西「それもあって、今『浜中さんって、現場でこんなにボケてたっけ?』って思っています」

浜中「ちょいちょいボケてたよ! 舞の役に入って、聞こえてなかっただけ。今、『変な絡みしてくる』って思ってない? 大丈夫(笑)?」

小西「思っていないです」

浜中「良かった」

辰巳「現場でふと『桜子ちゃんがいないな』と思ったときがあったんです。そしたら、公園の端で猫とたわむれてたんです。話したいなと思ったら離れたところにいて、猫みたいだなという印象ですね」

――この3人の空気感は最初からだったのでしょうか。

辰巳「最初は脚本で埋めなきゃいけない部分がたくさんあったので、本読みの時も緊張感がありました。でも、食卓でご飯を食べるシーンでNGが出るくらいのアドリブで光蔭にツッコんだくらいから変わったかもしれないです」

浜中「ぼくは笑ったらあかんから、悔しかったですね。ボケたいのに、ボケられなくて。カメラも自分に向いていたから『ほんと最悪』って思っていました。2人が自然に楽しんでいてうらやましかったです」

辰巳「ソフトクリームを食べるシーンもね。『2人の後ろで光蔭らしくやってるから、スクリーンで楽しみにしててな』って言っていた光蔭のシーンが、ちゃんとカットされてました。監督も最後まで使うかは迷っていたみたいなんですけど、かわいすぎたみたいです。今度見せてもらう予定です」

浜中「どうしても入れたくて、どうにかして入れたアドリブが見事にカットされてました(笑)」

辰巳「ぜひDVDなどの特典に!」

――もし、“不老不死”になったらなにがしたいですか。

辰巳「僕たちも『死ねないって怖いよね』って話してはいたんです。でも、1つの場所にはとどまらないと思います。沖縄とかいろんな土地に! あとは、もうちょっとチャラい人になっていると思います。1人の人を愛してしまったら、その人がいなくなったときにさみしいので。……あっ、この話は時間がないのでこのへんにしておきまーす(笑)」

小西「これもちゃんと(記事に)書いてください! 私は、ずっと生きるとなるとお金が必要なので、一回石油王と結婚して、遺産をもらって、そこから遊びます(笑)」

浜中「逆に『ここに行ったら呪われる』みたいな場所に行きたいです。どうしても死ねないからね」

――最後に、本作は舞台もあります。そちらの意気込みも聞かせてください。

辰巳「舞台もチャレンジングな作品になると思います。映画とはまた違った視点で見られると思いますし。あとは、歌もあるし、セリフ量が膨大なんです。コニシィサクラコォが観に来るのが一番ドキドキします」

小西「楽しみにしています!」

辰巳「いつ来るか言わないでね(笑)」

浜中「僕は『光蔭や草介にこんなことがあって、映画でこうなっているんだ』となるのが一番いいと思っているので、そうなるようにできたらと思っています」

 本作は、2021年7月号から『月刊プリンセス』(秋田書店)にて連載中の『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』が23年9月には東京・大阪にて舞台版としてTHEATRICAL LIVE『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』を上演、23年10月27日(金)からは映画『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』を公開という3つのメディアによるプロジェクトとなっている。映画版、舞台版ともに辰巳と浜中がダブル主演を務める。

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