日本大好きな英国人ファイター 日本マット界に骨をうずめる覚悟で精進中

「非情な英国戦士」クリス・ブルックスがKO-D無差別級王者・竹下幸之介狩りに向け、準備万端。DDT9・26東京・後楽園ホール大会で、栄光のベルトをいただく。

気品のあるクリスの笑顔【写真:柴田惣一】
気品のあるクリスの笑顔【写真:柴田惣一】

「非情な英国戦士」クリス・ブルックス、9・26決戦でKO-D王者・竹下狩りへ

「非情な英国戦士」クリス・ブルックスがKO-D無差別級王者・竹下幸之介狩りに向け、準備万端。DDT9・26東京・後楽園ホール大会で、栄光のベルトをいただく。

 2007年に母国・イギリスでデビューしたクリス。19年に初来日し、その後、日本に移住。この2年間は家族、友人とも離れ、日本のプロレス界を戦場と定めてきた。

「日本のプロレスはスケール、プロ意識、ファイト…すべてにわたって北米の巨大団体に負けていない。プロレスラーの地位が確立されており、生活水準も高い。10代の頃から、日本の文化や日本人が大好きで、日本のプロレスの大ファンだった」と、目をキラキラさせる。

 2年間の日本での生活で「日本は最高」とますます気に入っている。日本に定住する前には、アメリカ、カナダ、メキシコに加え、ドイツなど欧州各国などを訪れ住んだこともある。もちろん、各国それぞれに魅力があり、楽しめたが「やはり日本」と強調する。今後も「DDTそして日本の皆さんが望んでくれたら、このままずっと日本を主戦場にしたい」と熱い。

 大仁田厚、ハヤブサ、グレート・サスケ、デルフィン…憧れた日本人レスラーの名前が次々と出てくる。クリスは198センチの身長を誇るが「ジュニアのような動き、ファイトをしたい」と、いささか意外な言葉も飛び出した。

 実際、2メートル近い巨体からは、想像もつかないスピード感あふれる動きを披露してくれる。この1年間で81キロだった体重を91キロまで増やし、パワーアップにも取り組んでいるが、現在の体重がベストと捉えている。「95キロを超えてしまうと、お手本にしている日本のジュニアのレジェンドたちの動きができなくなってしまう」とキッパリ。理想のレスラー像が明確なのだ。

 実は、イギリスでは格闘技歴はなし。文化系で勉強が得意だったという。「イギリスではサッカーだけど、チーム分けで最後まで残ってしまう子どもだった。球技は得意じゃなかった」と告白。プロレスラーとして活躍するクリスの姿に、びっくりする人も多いそうだ。

 9・26決戦でKO-D王者・竹下を破れば「日本にクリスあり」と世界中に発信できる。英国の家族、友人も喜んでくれるはず。竹下とのシングル対決は相性が良く勝ち越している。

「もちろん、竹下も秋山準さんとの抗争や、米AEW遠征で大きくなっているけど、私も成長している。我々2人にしかできないファイトの末に、最後は私が勝つ」と自信をほのめかす。

 勝利の乾杯は大好きな日本のビール。「アサヒ、サッポロ、キリン、サントリー…最高です!」とキンキンに冷えた一杯が今から楽しみだという。それはもう格別の味だろう。

 クリスのたたずまいは、まさに英国紳士の雰囲気。元気で明るくカジュアルなアメリカ、伝統的で落ち着いた気品あるイギリスといった感じだろうか。クリスはもちろん後者で、後楽園ホール近くのアメリカンパブで見かけたとき、スタッフ同士が「あのお客さん、きっとイギリス人だと思う」と小声で話しているのが耳に入った。外国人を見慣れているお店のスタッフには一目瞭然だったのだろう。終始ゆったりと上品に飲食を楽しんでいた。

「日本語は難しい」というが、ゆっくり話してもらえば、理解できる。日本を愛し、日本のプロレスを「世界一」と明言するクリス。これは、応援したくなる。

次のページへ (2/2) 【写真】躍動感みなぎるクリスのファイト
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