「UFCのやることをマネしていてもしょうがない」RIZIN榊原CEOの言動が50年前の猪木VSアリに重なった瞬間
格闘技イベント「ANGEL CHAMPAGNE presents 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り」(9月11日、京セラドーム大阪)の開催まであとひと月を切った。同大会では、ラジャブアリ・シェイドゥラエフ対AJ・マッキーのRIZIN&PFLフェザー級ダブルタイトルマッチや朝倉未来VS青木真也の世代闘争マッチを主軸に、注目の対戦カードが目白押しだが、今回は個々のカードではなく視野を広げ、俯瞰(ふかん)しながらこの大会の意義を考えていきたい。

UFCの年間売上は15億ドル(約2300億円)
格闘技イベント「ANGEL CHAMPAGNE presents 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り」(9月11日、京セラドーム大阪)の開催まであとひと月を切った。同大会では、ラジャブアリ・シェイドゥラエフ対AJ・マッキーのRIZIN&PFLフェザー級ダブルタイトルマッチや朝倉未来VS青木真也の世代闘争マッチを主軸に、注目の対戦カードが目白押しだが、今回は個々のカードではなく視野を広げ、俯瞰(ふかん)しながらこの大会の意義を考えていきたい。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
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まず、7月19日に実施された「超RIZIN5」会見上で、RIZINの榊原信行CEOが口にした言葉を紹介する。
「UFCっていうのは本当に巨大なジャイアントなプロモーションだと思いますけど、なんとなくこの間のホワイトハウス(イベント)を見ても、アメリカ人のアメリカ人のための競技が=(イコール)MMAっていうふうに、すごく小さくアメリカナイズされることに僕はすごく懸念をしていて。これだけ世界中に普及したスポーツで日本でも独自の進化を遂げている、RIZINも含めてですね。そういうなかで、気を吐いたことを、UFCのやることをマネしていてもしょうがないと思うんですよね。彼らのやれないこと」
ここまで語った榊原CEOは、「UFCと違うことを積極的にやろうと…」と口にした。
補足をすると、UFCは6月14日、ワシントンD.C.のホワイトハウスに隣接したナショナルモール国立公園で「UFC Freedom 250」を開催している。これはアメリカ合衆国建国250年を記念して開催された大会ながら、この日はドナルド・トランプ大統領の80回目の誕生日でもあった。
当日は、ジャスティン・ゲイジーVSイリア・トプリアによる世界ライト級王座統一戦などが実施され、UFC初となる全試合KO決着という結果が現出された。とくにゲイジーVSトプリアはファイト・オブ・ザ・ナイトに選ばれ、かつゲイジーはパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトにも選出されたことから、合わせて82万5千ドル(約1億3千200万円)を獲得した。
一説によると、昨年のUFCの年間売上は15億ドル(約2300億円)で利益率は驚異の56.6%だという。この話を聞くと、日本とは大きく状況が違っていることが確認できる。
しかしながら、売上規模が違うからといって、決して悲観することはない。

アリはなぜ猪木と闘ったのか
というのは、「世界の警察」として圧倒的な軍事力を持つアメリカは、これまでも常に「我々が世界だ」との態度を発信し続けてきたが、そんなアメリカに対し、「なにするものぞ」と抗い続けてきたのが日本の格闘技界だったからだ。
具体的にいえば、今年は“燃える闘魂”アントニオ猪木がプロボクシング世界ヘビー級王者だったモハメッド・アリと、格闘技世界一決定戦を闘ってから、ちょうど50年という節目の年である。
だからこそ、改めて現在のMMAの原点とも呼べる、猪木VSアリとはなんだったのか。その視点を持ちながら50年後の格闘技界の姿を俯瞰(ふかん)して見つめ直すことが重要だと考えていた矢先だった。
もちろん、猪木VSアリに関しては、これまでもさまざまな解析や見方が公にされてきたが、要約すればあの時、なぜアリは日本という島国のプロレスラーと闘ったのか。諸説はあるものの、アリからすればアメリカ代表としてボクシングで五輪で金メダルを取ろうが、プロボクシングで世界王者になろうが、結局は自身が白人ではなかったために、さまざまな人道的な差別を受けてきたことに対する「NO」を突きつけた、ということなのだろう。
要は、とくにアリにとってあの一戦はアメリカや白人社会への挑戦表明だった。
だからこそ、50年後も語り継がれる異種格闘技戦(格闘技世界一決定戦)の相手は、たまさか東洋人の猪木が選ばれることになった。
一方、猪木には猪木で「プロレス市民権」を叫びつつ、なんとかプロレスラーの、そして自分自身の存在を世間に知らしめる絶対的な必要性にかられていた。
つまり両者の利害はその点で完全に一致した結果、あらゆる障壁を乗り越えて、猪木VSアリという“禁断のMMAマッチ”に実現させてしまったのだ。
そう考えていくと、猪木が当時、ドル箱だったNWAの世界王者を招へいできず、王道を歩むことができなかった結果、「格闘技世界一決定戦」をはじめとする、いわば“奇策”でプロレス界をけん引してきた手法は、今回の「超RIZIN5」の手法と重なる。
そして、とくに朝倉VS青木に関しては、猪木と同じ東洋人に生まれた者として、猪木VSアリから今年で半世紀という節目の年だからこそ、それを脳裏の片隅であったとしても、どこかで意識しながら、今回の世代闘争マッチを闘い抜いてもらいたいと切に願う。
生前の猪木がなぜ「対世間」を声高に叫び、なぜ常識外れに挑戦したのか。
猪木の引退試合直後の挨拶の際、猪木の道程を紹介した古舘伊知郎アナ風に言うなら、「大物日本人対決、IWGP、巌流島決戦、国会に卍固め、人質解放、北朝鮮」……という道をどんな思いで歩み続けたのか。
果たして、その答えに近づくためのヒントが「超RIZIN5」から醸し出されてくることを強く望む。
(一部敬称略)
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