【超RIZIN5】朝倉未来VS青木真也、“孤高の天才”田村潔司はどう見るのか 格闘技界に「熱がまた生まれるといい」
「ANGEL CHAMPAGNE presents 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り」(9月11日、京セラドーム大阪)にて、朝倉未来VS青木真也の一騎打ちが発表された。今回はこれをどう読み解くか。

青木によるRIZIN旗揚げ戦での桜庭戦はONEの契約を譲り受けたもの
「ANGEL CHAMPAGNE presents 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り」(9月11日、京セラドーム大阪)にて、朝倉未来VS青木真也の一騎打ちが発表された。今回はこれをどう読み解くか。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
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今回発表された朝倉VS青木の一戦は、いわゆる大物日本人対決であり、世代闘争マッチになるが、振り返るとMMAにおける日本人同士の世代闘争的なマッチメイクは、過去にもいくつか存在している。
(1)髙田延彦VS田村潔司(2002年11月24日、東京ドーム/PRIDE)
これはUWFインターナショナル時代に、田村が髙田に対し、「髙田さん、僕と真剣勝負してください」(1995年8月)に発言したものが、7年後に髙田の引退試合として実現したもの。
結果は2ラウンド1分、田村が放った右フックでKO勝ち。髙田にとっては初のKO負けとなった。
(2)吉田秀彦VS石井慧(2009年大みそか、さいたまスーパーアリーナ/Dynamite!!)※柔道五輪金メダリスト対決。石井はデビュー戦だった。
(3)藤田和之VS石井慧(2013年大みそか、両国国技館/IGF)※猪木イズム最後の継承者VS柔道五輪金メダリスト対決。
(4)桜庭和志VS青木真也(2015年12月29日、さいたまスーパーアリーナ/RIZIN旗揚げ戦のメイン)※78キロ契約
(5)高阪剛(TK)VS上田幹雄(2022年4月17日、武蔵野の森総合スポーツプラザ/RIZIN)※TKは引退試合、上田は極真世界王者で、この日がMMAデビュー戦だった。
他にも挙げればあるのだろうが、パッと思い出した5試合を列記した。
上記5試合のなかで、(2)吉田VS石井、(5)高阪VS上田は、たしかに世代闘争ではあるものの、石井と上田がデビュー戦だったため、結果的には吉田とTKの手練手管に石井と上田があしらわれるカタチで決着がついた。
本来であれば世代闘争とは新世代がバトンを受け取る「継承」の雰囲気が伝わってきたほうが、その後の未来につながっていく可能性が高い。その点でいえば、今回の朝倉VS青木は、(1)髙田VS田村、(3)藤田VS石井、(5)桜庭VS青木のように、朝倉が青木を下して次の世代にバトンをつないでいけるか。そこがポイントとなる。
もちろん、無事に朝倉が青木からバトンを受け取れるか否かは結果が出るまで分からないが、いずれにせよ朝倉VS青木を引き合いにしながら、改めて「歴史の深み」にスポットが当たることは、非常に重要だと断言する。
ちなみに、RIZIN旗揚げ戦での桜庭戦は、青木とRIZINの間に筆者も入っていた。この話は、青木のライバルとしても知られる川尻達也のYouTubeチャンネル「じりらじお」に出演した、RIZINの笹原圭一広報部長が明かしていたので、公にしてもよいのだと思い、改めて思い出すと、当時は青木がアントニオ猪木が主催するIGFに定期参戦していた流れもあって、筆者がIGFに近い関係でいたため、かつRIZINの榊原信行CEOとはPRIDE時代からの信頼関係があったためにそうなった。
実際、会見に青木は猪木を思わせる赤い闘魂タオルを巻いて登場。一方の桜庭は、新日本プロレスに参戦していたが、猪木と新日本の決して蜜月ではない関係性もあって、複雑な心境だったに違いない。

“孤高の天才”田村潔司の朝倉VS青木評
他にも覚えているのは、ONEにあった青木の契約をRIZINが譲り受けるカタチで桜庭戦が実現したこと。あの時、榊原CEOはシンガポールまで飛び、ONEのチャトリ代表と膝を突き合わせて話し合ったが、青木からすれば、どこまでRIZINを信用できるのか。その点では不安の極致にいながら試合に臨んでいた記憶がある。
いや、それを言うなら、桜庭にしろ、4年以上ぶりにMMAの試合をする不安はあっただろうし、榊原CEOに至っては、PRIDE最終興行(2007年4月)以来、約9年ぶりとなる格闘技イベントの主催なのだから、各々が各々の立場でこれ以上ない不安を抱えていたことになる。
ともあれ、そこまでして実現した桜庭VS青木は、青木がパウンドで桜庭から1ラウンドKO勝ちを手に入れ、無事にバトンを受け継ぐカタチになったが、最近、一部メディアで桜庭がこの青木戦に関して、「(青木は)スポーツマンシップを悪用するんだ。こういう子とは正々堂々と試合することはできない」と語ったことで物議を醸した。
なにせ桜庭は、日本人唯一のUFC殿堂入りを果たした、MMAの先駆者。となれば何を言おうと、一定数の注目が集まる。
多角的に考えれば、桜庭がこの声を発したことで、また違った層にアプローチできるきっかけをつくったともいえる。というか、RIZINとしてはそういった思惑も狙ったマッチメイクなのだから、ここで桜庭がこの声を挙げたのは必然だと思ったほうが面白い。
実は、ここでひとつ興味深い話を披露する。
最近、桜庭にとってはUWFインターナショナル時代の先輩に当たる、“孤高の天才”田村潔司と連絡を取った際、朝倉VS青木の話を振ってみたところ、意外な回答を得たことだ。
「興味? あるよ。やっぱり(知らない仲ではない)青木が出ているから。桜庭にしろ、青木にしろ、世界と戦ってきたと思う。その自負は俺にもあるから、青木には頑張ってほしい。今、俺は格闘技界から少し離れたところにいるけど、やっぱり格闘技界には盛り上がってほしいと思っているから、この試合をきっかけに、そういう熱がまた生まれるといいなとは思うね」
田村とはいろいろと話したが、要約すればそんな雰囲気だったと思う。とくに田村や桜庭の時代は、階級制に移行する前の無差別が主流だった。そのなかで平気で10キロ以上も体格の違う、大柄な外国人選手のトップと渡り合ったのだから、これ以上ないくらい、MMAに対する思いはあるに違いない。
そうやって、青木や朝倉以上にヘソの曲がった田村も注目しているのだと思うと、いよいよ新旧格闘技界のさまざまな層を巻き込める機運だけは高まってきた予兆と思えなくもないが、今回の朝倉VS青木においては、やはり結果がどう出るのか。それを凌ぐ興味はない。もちろん弾けた試合になればとは思うものの、最重要なのはやはり結果になる。
一般的に考えれば青木の寝技か朝倉の打撃かになるし、ネット上の意見を集約すると、朝倉に近い世代は朝倉を、青木に近い世代は青木に勝つと予想している雰囲気があるように思う。
いずれにせよ、ぜひとも格闘技界の明日につながる一戦に期待したい。
(一部敬称略)
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