「寝る以外」は全て捧げる熱量 元アイドルの新人プロデューサー・乃井りこ、挑戦の覚悟と“運営のリアル”
9人組アイドルグループ・Dolly Kissは今年3月7日にステージデビューを飾り、大きな対バンイベントにも出演するなど、徐々に勢いを増している。グループを完全プロデュースする乃井りこプロデューサー(愛称りたんP)のインタビュー前編では、アイドル卒業後にプロデューサーとなるまでの経緯や初挑戦でのこだわりについて聞いた。

【前編】かつて所属したDolly Kissにプロデューサーとして“復帰”
9人組アイドルグループ・Dolly Kissは今年3月7日にステージデビューを飾り、大きな対バンイベントにも出演するなど、徐々に勢いを増している。グループを完全プロデュースする乃井りこプロデューサー(愛称りたんP)のインタビュー前編では、アイドル卒業後にプロデューサーとなるまでの経緯や初挑戦でのこだわりについて聞いた。(取材・文=小田智史)
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――乃井さんは2019年10月~22年12月末までDolly Kiss、23年6月~25年2月までNARLOWでアイドルとして活動していました。昨年11月、かつて所属していたDolly Kissのプロデューサー就任に至った経緯を教えてください。
「アイドル時代に自分の遠い将来を想像して、『いつか自分もプロデュースをする側になりたい』と思ったのがきっかけです。王道アイドルと言われるかわいい系のDolly Kiss、真逆のロック系でかっこいいNARLOWという両極端なアイドルを経験して、歌い方や自分の見せ方を学び、5年間アイドルをやり切りました。そのタイミングで、以前所属していたDolly Kissを復活させないかとお話をいただいて、『ぜひ!』と思いました。「Dolly Kissは私が卒業した後、約3年間、休止期間がありました。その間も復活を求める声がたくさんあったんです」
――Dolly Kissは今年1月に開催された有観客オーディションで、メンバー9人(加藤美沙、成宮れの、雪見ましろ、佐久間彩菜、MIMA、望月おゆ、苺ゆり、百瀬かのん、西野もえ)が決まりました。この形式を選んだ理由は。
「オーディション形式にしたのは、“何者でもない女の子たち”がアイドルになる瞬間はすごく貴重なので、この先彼女たちを応援し続けるファンの方がその様子を見れないのはもったいないと思いました。そういう方たちにエンターテインメントを届けたいと思ったのがきっかけです」
――メンバー選考を含めて、全てに携わったそうですね。
「約1900人のエントリーをいただいて、最終オーディションまで残った方々はすごくレベルが高かったです。オーディション自体もすごくいいものになって盛り上がったんですけど、そこを勝ち抜いた9人ということで、パフォーマンスやアイドルとして目指すものがしっかりしてるという印象です。何よりも大事にしているのが人間性で、ちゃんと努力をしようとする姿勢などに重きを置きました。平和でもあり、仕事として向き合える9人だと思います」
――乃井さんはDolly Kiss時代が初めてのアイドルで、リーダーも経験しています自分がアイドルをしていたからこそのプロデューサーとしてのこだわりはありますか。
「そのこだわりは強いです。まず、『メンバーが自分の努力と関係ないところで悲しまないように』というのがアイドル経験者ならではの配慮です。例えばメンバー選びも、この先一番時間を共にしていくのはメンバー同士なので、メンバー同士がストレスを抱えながら活動することがないように、グループのバランスもかなり意識しました。特に実際にグループを経験してきた私ならではの感じ方だと思うんですけど、メンバーはいつでも絶対にチーム・仲間なので、『高め合う存在ではあっても、ライバルにはなってほしくない』というのが私の考えです。これから戦っていくべきは自分自身と他のグループさんだと、メンバーに伝えています。あとは、私自身が本気でアイドルをしてきたので、アイドルになりたいと思ったからにはちゃんと全うしてほしいですし、アイドルとの向き合い方やパフォーマンスに関しては厳しめだと思っています」

こだわりの“完全プロデュース”
――Dolly Kissは3月7日にステージデビューしてから約2か月が経過しました。
「2か月が経って、やっと現実的なものが見えてきたかなという感じです。メンバー本人たちも9人中6人がアイドル未経験。アイドル自体がどんなものかも分かっているようで、意外と漠然としていたメンバーがそろそろ現実を分かってきたかなと。さらに熱が入ったというか、もっと頑張らなきゃいけないというのを1人ひとりが感じ取ってくれていると思っています」
――“アイドル戦国時代”と言われるほどたくさんのグループがある中で、プロデューサーが考えるDolly Kissの強みは。
「“お人形のようにかわいい”というのがDolly Kissのコンセプトなんですけど、王道系アイドルが多いのとは対照的に、意外とお人形がコンセプトのグループはないなと感じています。スカートを使った振り付け、その振り付けのために衣装をヒラヒラのデザインにしてあったりするのは、Dolly Kissならではの特徴だと思います」
――TikTokもDolly Kissの強みの一つなんですよね。
「撮影から投稿まで全部私が手掛けています。私がアイドル時代、TikTokとかSNSをバズらせることが武器だったので、それをプロデュースに生かしたいなと思った結果、こうしてデビューする時にフォロワー1万人を突破できたことには自分の中でも達成感はあります。いくつか万バズ投稿があるんですけど、たまたまバズったわけではなくて、撮影の仕方や編集の仕方、メンバーをどうやってかわいく撮るか、どうやってこの面白さを伝えるか、全部考えながら作っています。特にスペイン出身のMIMAは、オーディションの時から絶対にバズらせたいと頭の中で考えていたメンバーでした。彼女は絶対に埋もれてはいけない存在。『私がバズらせたい』と本人にも伝えました」
――プロデューサーは初挑戦ですが、メンバー決定から約4か月間の手応えは。
「衣装のデザイン、歌割り、演出、毎回のライブのセットリスト、TikTokの撮影・編集など、全て私が考案していて、完全プロデュースという形でやらせてもらっているので、今はとにかく、ひたすら仕事をしている状態です。オーディション前から全てのことを自分自身でやっているというのは、すごく成長したなと感じます。今後は新たに作詞とかもやっていきたいと思っているので、さらに私なりのエンタメを皆さんに届けられたらいいなと考えています」
――1日24時間はどのように割り当てているのですか。
「全部がDolly Kissで、寝る以外はDolly Kissなので、メンバーに『いつ寝ているんですか』と言われるぐらい寝ていません(笑)。いろんなところからお仕事の連絡が来たり、メンバーからいつ相談が来ても大丈夫なように即レスを心がけていたり、朝起きたらすぐにスマホを見て、ご飯を食べながらスマホを見て、夜も遅い時間にメンバーと電話をしたり、1日中活動しています。心の休み方を知っていかなきゃいけないなと最近は思っています(笑)」

目標の一つは全国ツアー
――プロデューサーになって、改めてアイドルグループの運営は大変だと感じますか。
「はい(苦笑)。大変なのは自分がアイドルをやってきて覚悟はしていたんですけど、実際にその立場になってみたら想像よりはるかに大変でした。でも、運営スタッフとメンバーの熱意もすごいので、同じ熱量を持ってやれるのはとてもいい環境だなと思います。Dolly Kissはもともとの楽曲が人気で、今までの人気曲をまた皆さんに聴いてほしいという気持ちがあります。今のDolly Kissも、過去のDolly Kissの人気曲を使っています」
――プロデューサーのおすすめの1曲を教えてください。
「『お姫様恋愛論』という曲です。お姫様の気持ちを歌った歌詞なんですけど、明るい部分だけではなくて、王子様を待ってるつらいお姫様の気持ちとか、『血抜きしたウサギのグリル』みたいに少しダークな歌詞が入っていたりするのもポイントです」
――Dolly Kissとしての目標は。
「私は現実主義なので、『ここ!』と決めるのが得意じゃなくて、アイドル時代も大きな目標は公言してきませんでした(苦笑)。ただ、たくさんの方から愛されるグループになりたいとオーディションの時からずっと言っていますし、ツアーで全国を回れるグループになりたいと思っています。スペイン出身メンバーがいるので、いずれは海外にも行きたいですね」
□乃井りこ(のい・りこ)4月18日生まれ。アイドル時代は身長147センチでかわいらしいビジュアルにおっとりとした口調とは裏腹に、大の酒好きとして人気を博す。そのギャップも話題となり、TikTokではミリオン再生を超える投稿も生み出した。2025年11月、かつてメンバーとして所属していたDolly Kissのプロデューサーとして“復活”。衣装デザイン、歌割り、演出、ライブのセットリスト考案、TikTokの撮影・編集など、“完全プロデュース”でグループを支える。愛称はりたん。
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