明け方の繁華街で生まれた数々のドラマ “朝チア”代表・朝妻さんが語る11年間

今日もどこかで人と人とのつながりを生み続けている【提供:全日本応援協会】
今日もどこかで人と人とのつながりを生み続けている【提供:全日本応援協会】

謎のキャリアウーマン、前座ダンサー、靴磨きの女性…朝チアが生んだ数々の出会い

 もちろん、トラブルばかりではない。11年の活動期間の間には、忘れられない印象深い出来事もたくさんあった。あるときは、遠目から鋭い視線を向けてきたキャリアウーマン風の女性が、いきなり人垣を越え前に来ると、猛然と指揮をし始めた。

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「『もっと激しく! もっと気持ちを込めて!』とげきを飛ばされ、つられて私たちもダンスに力が入って。踊り終えると『……できるじゃない』と言い残して去っていった。あの人が何者だったのか今でもわかりませんが、自分たちは全力でやってるつもりでもまだまだ余力があったことを教えてもらえました」

 また、あるときはいつもの定位置に向かう途中、すでに人だかりができていたこともあったという。

「スーツを着た男性が1人ですごくキレのあるサルサダンスを踊ってて。私たちに気づくと踊りを止め『どうぞ! 念願のこの場所で前座をやらせてもらいました!』って(笑)。平塚でサルサダンスを踊られているそうで、いつか朝チアスポットの新宿でやってみようと思っていたと。わざわざ来ていただいて本当にうれしかったです」

 数々のエピソードのなかでも、朝妻さんが特に忘れられないのがある冬の日の朝の出来事。踊り終えると、40代後半ほどの女性が近寄ってきて、こんなことを言われた。

「『私、数日前にリストラされたの』って。私もかける言葉が見つからずにいたら『あなたたちのことを見てたら私にも何かできるんじゃないかって思ったわ』と言って去っていった。数日後、私たちがダンスを踊っている片隅で靴磨きの仕事を始められていて。彼女の背中を押してあげられたのかもしれないと思うと、朝チアをやっていてよかったなって」

 朝チアの活動が生んだ、数々の出会いとドラマ。本家からもお墨付きをもらった“女版・松岡修造”の朝妻さんが牽引する「全日本女子チア部」は今日もどこかで人と人とのつながりを生み続けている。

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