蝶野正洋が57歳の誕生日 卓越したプロレス脳と「カルボナーラ」で射止めたマルティナ夫人

「黒のカリスマ」蝶野正洋も9月17日で、57歳。年々、渋みを増し、今やすっかり文化人として活躍している。プロレスは休業しているが、試合復帰はもう頭にはないかも知れない。

すっかり文化人の蝶野正洋、あいさつもお手の物【撮影:柴田惣一】
すっかり文化人の蝶野正洋、あいさつもお手の物【撮影:柴田惣一】

nWoブームをけん引 黒い革命起こす

「黒のカリスマ」蝶野正洋も9月17日で、57歳。年々、渋みを増し、今やすっかり文化人として活躍している。プロレスは休業しているが、試合復帰はもう頭にはないかも知れない。

 新たなレスラーの生き方を示したのが蝶野だった。新日本プロレスの未来を期待された三銃士から、黒い革命を起こし、米マット界とリンクしてnWoブームを巻き起こした。常に世界を視野に入れていた。

 1990年代半ば、プロレスグッズといえば、選手の顔がプリントされたTシャツなどがほとんどで、会場以外では身に着けにくいモノが大半だった。

 そんな中、蝶野たちが送り出したグッズは、デザイン性に優れ、日常でも着用しやすい商品だった。街中のあちこちでnWoグッズがあふれていた。現在、内藤哲也率いるロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのキャップをかぶった人を、そこかしこで見かけるが、四半世紀前には、nWoグッズの独壇場だった。

 ドイツ人のマルティナ夫人と国際結婚もした。2人のお子さんにも恵まれ、幸せな家庭を築いている。家族4人で登場することも多い。

 マルティナ夫人は蝶野が立ち上げたブランド「アリストトリスト」のデザイナーも務めており、ファッションセンスあふれる蝶野の出で立ちは、夫人のサポートがあったからこそかも知れない。

 夫人とはドイツ武者修行中に知り合っている。夫人の働くレストランに連日通い、毎日カルボナーラを注文した。「他が思いつかなかった」と振り返る蝶野だが、意識してもらうための作戦だったのではないか。見事に夫人を射止めている。

 元より、国際派だった蝶野。海外遠征でも楽しんでいた。カナダで修行中に訪れた際には、日本企業の海外駐在員の方たちと親交を深めていた。メープルリーフ街道を男2人でドライブし、ハリファックスでの試合を取材した。

 美しい港など、まるで絵画のような景色に加え、ソフトシェルクラブなど美味しい海産物など名物料理も楽しんだ。印象深い海外取材で、もう一度、訪れてみたい地の1つだ。

 若手時代から、蝶野はスマートな言動が目立っていた。将来はフロント入りするものと見られていたが、新日本から飛び出している。橋本真也、武藤敬司そして蝶野……三銃士は全員、新日本には残らなかった。思えば、馬場、猪木、長州力、天龍源一郎、藤波辰爾……皆、入団した団体から離れている。リングで天下を握った男は、どうやら自分の城が欲しくなるらしい。(文中敬称略)

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