野村義男が“人生の迷子”になって、初めて見つけたインスタグラムの楽しみ

「長い春休みが続いた」という野村義男【写真:荒川祐史】
「長い春休みが続いた」という野村義男【写真:荒川祐史】

目標がなくなり「ギターに触らなくなっちゃった」

――まさに魂が入ったソウルフルなナンバーでした。

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「アメリカ南部の感じを出したかったんですよ。ザ・ローリング・ストーンズが南部で(アメリカ・サザンロックバンドの)レイナード・スキナードとセッションしたら、どんな感じかなって。そうだ、女性ボーカルがいると思ったけど、世良さんの声に対抗できる人はいないな、と。そんな時に、ふと下北沢のジャニス・ジョプリン、金子マリさんのことが浮かんだんです。もともと一緒にツアーを回ったり、(元夫の)ジョニー(吉長)さん絡みでずっと一緒にいたんで、お友達ではあったんですけど、連絡を取り合ったことはなくて、知らなかった。で、とりあえず、バスで下北沢に行こう、と。行けば何とかなると思ったんですよね。

 下北でご飯を食べて、ゲームセンターに入って、出てきたら、マリさんのマネージャーさんとバッタリ。それで、約束を取り付けて、スタジオに来てもらったんだけども、デモを渡してあったのに、聞いてくれていなかった。でも、3本歌い終わった時にはもう完璧で、マリさんは『だいたい曲がわかったから、(録音を)やる』というんですけど、こっちは『もういらない』って。大正解でした。個性と個性をぶつけると、こういう感じになるんだと感動しましたね」

――まさに奇跡の連続のようなアルバムだったんですね。生で聴いてみたいという感じですが。

「ライブは一切、考えていません。ミュージシャンが60人近く参加すると、わかった時点で無理です。レコーディングも大変なスケジュールだったのに、ライブやるって言ったら、半分も来られないでしょ? 音自体がライブ・レコーディングに近いので、ライブで演奏しても、ほぼ同じような感じにはなっちゃうと思うんですよ」

――次のソロアルバムはもう少し時間を空けずに発表しますか?

「いや、ソロアルバムはしばらくいいかなと思っている。今回のアルバムでやりたかったことはやり尽くしてしまったから」

――コロナ禍ではライブもできない状態が続いたと思いますが、どんな生活を送っていますか。

「終わりのない長い春休みが続いていますね。夏休みにいつなるんだろうっていうぐらい、まだ春休みですね(笑)。特に、最初の頃はひどかった。3月、4月の時は何をしたらいいんだと思いました。こんなの初めてだから、何をすればいいんだ、と。でも、だんだん時間の使い方が上手になってくるんですね。その一方、仕事の仕方がわからなくなってくる。ミュージシャンの人たちと話をすると、2種類に分かれますね。とにかく曲を作る人、楽器を練習する人、かたや、全く楽器や音楽に触れない人。僕は後者。ギターは1か月ぐらい触っていなかった。結局、ライブがあるから、レコーディングがあるから、あの曲を覚えなきゃとか目標設定があった上で、楽器を弾いていたんですよね」

――それは分かります。記者の場合は締切があるから、原稿を書く。ないと書けないです(笑)。

「全く、それですよ! 目標なくなっちゃったんで、ギターに触らなくなっちゃった。で、2〜3週間ぐらい過ぎて、弾いていないことを思い出した。僕の部屋にはギターがいっぱい置いてあるんですけど。不安に思っちゃったんです。指が痛くて、弾きたくなくなっちゃったらどうしようって。初心者みたいな状態です。で、ラジオの曲に合わせて、ちょっとだけ弾いてみた。あ、前よりちょっと指が動く! 指は痛くない! と分かって、安心して、また弾かなくなってしまった(笑)。最近はレコーディングがあるので、触るようになりましたけども」

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