野村義男、ムッシュとの思い出を明かす「酒を一杯引っ掛けて、奇跡の一発録り」

奇跡の一発録りを振り返る野村義男【写真:荒川祐史】
奇跡の一発録りを振り返る野村義男【写真:荒川祐史】

ムッシュかまやつ、グッバイ加賀八郎、C-C-B渡辺英樹…亡き仲間への思い

――「お家に帰ろう」はライブセッション風ナンバー。ムッシュかまやつさんの語りがあって、サビの「おうちに帰ろう」を熱唱する。

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「ムッシュはレコーディングの日にあったことを、ただ語っているんです。朝、起きてペペロンチーノを食べて、昼ちょっと前ぐらいにマネージャーが迎えに来て、酒を一杯ひっかけて、個人タクシーで乗って、スタジオに来た。曲が始まると、『やっぱり一発録りなのね?』という。サビだけはもう決めていた。最後もずっとスタジオの雑談をそのまま言っているんです」

――一発録り風ではなく、計算されたものなのか、と。

「全然。計算されてないですね。一発録りで起こった奇跡ですよ。スタジオ入ってから1時間ぐらいグダグダしていました。録音を始めたときにムッシュがメモだけ持って、歌い出す。よく聴いてもらうと、ムッシュが言ったことに対してメンバー全員が楽器でこたえている。これは、一発録りの醍醐味かな。レコーディングはムッシュが亡くなる2年前。出来上がりを聴いていないから、聴かせる方法を考えない、と」

――ほかのメンバーの声かけは?

「簡単です。『アルバム作るから参加して』と。ただし、全員ノーギャラ。1人1曲、参加してもらった。最初のムッシュが『別にお金とかいらないから』と言ってくれたんで、『ムッシュはただでやってくれたから』と言えたので、みんなも従ってくれた(笑)」

――亡くなった方といえば、THE GOOD-BYEのザ・グッバイの加賀八郎(2013年死去)さんも「野良犬」でリードボーカルを務めています。

「加賀さんは録る前に亡くなっていた。ただ、他のメンバーも参加しているんで、4人全員の音が入ってなければ嫌だなと思って、加賀家に連絡を取って、デモテープからボーカルだけ抜いたんです。ブルースになってますけど、本来のアレンジはもうちょっとファンキーな感じ。歌を抜いてきたのはいいけど、誰がバックを務めようかと悩みました。最初に浮かんだのがベース界の重鎮、富倉安生さん。というのも、加賀さんがグッバイに入ったきっかけが、富倉さんなんですよ」

――どういうことですか?

「メンバーを『探さなきゃね』っていうときに、レコーディングで富川さんがスタジオに来てて、そのローディーが加賀八郎でした。『ベース弾くの?』と聞いて、少し弾いてもらったら、とても上手だったので、そのまま引っ張っちゃったんです。他のメンバーは加賀さんとやったことがある人間。『野良犬』は死ぬ前に作った曲です。歌に合わせてみんなで演奏するんだけど、彼の思いが入った曲だったので、苦労しましたね」

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