行定勲監督が激白 猛反対だった映画「劇場」のネット同時配信に踏み切ったワケ

今年の映画賞レースにも名乗りをあげる作品

――今年の映画賞レースにも名乗りをあげる作品ではないですか。 

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「それは、私にはわかりません。自分への評価はともかく、山崎賢人、松岡茉優はきちんと評価してもらいたいんです。山崎はスターとは違う新しい顔を見せてくれた。周囲から望まれた顔とは違う、彼自身が役者としての資質、可能性を全部出してくれた。それは松岡茉優も同じ。それが、配信作品という色眼鏡で見られることによって、評価されないことを一番心配しています」

――ハリウッドでは、既にその障壁はなくなっていますよね。アルフォンソ・キュアロン監督のNetflix配信作品「ROMA/ローマ」はアカデミー賞外国語作品賞、監督賞、撮影賞も受賞しています。

「キュアロン監督はもちろん映画のつもりで撮っていますよね。ハリウッドの人たちは、それが当たり前なのかもしれない。スパイク・リーの新作『ザ・ファイブ・ブラッズ』やノア・バームバックの『マリッジ・ストーリー』なども全世界配信されている。僕は、これまで幸い、日本映画の王道やってこられたから、いままで考えもしなかったのですが、世界では、『これが映画だ』って言ってしまえば、配信で公開しても映画ですよね」

――Amazonプライムでの配信で期待することは?

「Amazonプライムで観た人が、『これは映画館で観たかった』と思ってくれたら嬉しいです。新作が、いち早く家庭で観られて、映画館で観たいと思ったら、観に行ける。コロナ禍の今だからこそ、そういうことを体験できる。映画館って、こんな良さがあるんだ、と。スクリーンの大きさも、音も違うし、周りの人たちと感動を共有できる。そういう人が一人でもいたら、と思っています」

□行定勲(ゆきさだ・いさお)1968年生まれ。熊本県出身。2000年、「ひまわり」で長編監督デビュー。01年、「GO」で第25回日本アカデミー賞最優秀監督賞をはじめ数々の賞に輝き、一躍脚光を浴びる。04年、「世界の中心で、愛をさけぶ」は興行収入85億円の大ヒットを記録し社会現象に。舞台「趣味の部屋」などの演出も手掛けた。16年、「タンゴ・冬の終わりに」「ブエノスアイレス午前零時」で毎日芸術賞演劇部門寄託賞の第18回千田是也賞を受賞。ほかに大倉忠義、成田凌主演の映画「窮鼠はチーズの夢を見る」(9月11日)の公開を控える。

次のページへ (4/4) 【写真特集】「劇場」の場面写真。山崎賢人、松岡茉優らが熱演
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