素人の喧嘩は「砂利の駐車場でやれ」 「BreakingDown」台頭で『刃牙』作者が明かす山本KIDの言葉
“最強のメジャーリーガー”と呼ばれる堀口恭司が24日、自身のYouTubeチャンネルを更新した。内容は『刃牙』シリーズ最新作『刃牙らへん』の新連載をスタートさせた漫画家の板垣恵介氏との対談になる。注目の対談ではどんなことが語られていたのか――。
「BreakingDown」誕生の裏に板垣氏の言葉
“最強のメジャーリーガー”と呼ばれる堀口恭司が24日、自身のYouTubeチャンネルを更新した。内容は『刃牙』シリーズ最新作『刃牙らへん』の新連載をスタートさせた漫画家の板垣恵介氏との対談になる。注目の対談ではどんなことが語られていたのか――。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
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両者の対談動画は、17日発売の「週刊少年チャンピオン38号」(秋田書店)誌上に掲載された同対談の動画版といったところだが、サムネイルには両者の名前のほかに「週刊少年チャンピオン特別対談山本“KID”徳郁が発した言葉『素人のケンカは◯◯◯でやれ』」とある。
両者の対談は、堀口が朝倉海との再戦(2020年大みそか、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)した後に実現して以来、約3年ぶり。注目すべきは、堀口が新団体「TOP BRIGHTS」(2024年1月21日、群馬・オープンハウス太田)を立ち上げたきっかけが、朝倉未来が主宰する「BreakingDown」にある、という話に及んだ部分だろう。
板垣氏いわく、「1分間のな。あれ、俺が言っちゃったんだよ」と話し、「BreakingDown」のコンセプト「1分最強」を決める、の提案を朝倉未来に対して話していたことを明かした。
堀口が「まぁ、あれはあれでいいんじゃないですか?」と口をはさむと、板垣氏が「あれはあれでね」と答えつつ、その理由を次のように話した。
「路上の、実戦で一番強いのはなんだ? って。1分間だけだったら、相撲が一番やりたいことができるんじゃないか。だいたい街のケンカは周りが止めるから、1分後に見た時に、一番旗色の良さそうなのは相撲じゃないのか。リアルじゃない? それだと。寝技とかっていうと、もうリアルじゃなくなっちゃう。路上でのなんかさあ、駐車場とかまで行って、ホントに誰も手を出さないことって、まぁないもん。人生でないでしょう? って言ったことがねえ、ヒントになった…」
そう話した板垣氏は、その直後に「すみません……」とポツリ。
ここまでの話を聞く限り、かねてから格闘技の普及に気を配ってきた板垣氏的には、思ってもいない方向で「BreakingDown」が物議をかもしていることに対しては、全面的に賛同しかねる姿勢を持っていることがうかがえた。
しかしここで堀口が「それはそれで問題ないじゃないですか。(格闘技を)見る人たちが増えるじゃないですか。コアな格闘技を自分たちはやろうと思っているので、格闘技って面白いんだよって広がったものから、自分たちのところに来ればいいっていう考えなので」との見方を示した。
リングは聖域である
さらにこの後、板垣氏が、堀口の師匠で、亡くなった山本“KID”徳郁のから聞いた話を口にする。
板垣氏「KIDが嫌がってたよ、ああいう素人のケンカ自慢同士の……あんなことは“ジャリチュウ”でやれって。“ジャリチュウ”って言葉、初めて聞いたもん」
堀口「なんスか、“ジャリチュウ”って?」
板垣氏「砂利の駐車場だな」
堀口「あー!」
板垣氏「(KIDに対して)『何、“ジャリチュウ”って?』って言ったらそんなことだったの。“ジャリチュウ”でやればいいって、リングに上がってくるのを嫌がってたよ。でも分かる。(リングは)聖域である、という考え方なんだろうな」
KIDが言いたかったのは、「心・技・体」を鍛え抜いた、選ばれし者が足を踏み入れる権利を持つのがリングである、という考え方だ。
板垣氏「俺もそれは感じるもん。なんでお前らが漫画家って言うんだみたいなね。素人がちょっときまぐれにやったことでっていうことは嫌だもんな」
それでも話を聞く限り、「BreakingDown」に関しては、表現方法の問題はあれ、これまで届かなかった層に届いたこと自体には一定の評価を持っているようだ。
板垣氏「面白いっちゃあ面白いもん。あ、思ってたことと違うことも起こるなっていうのも含めて」
そして、ここまでの流れを踏まえた上で、堀口が以下のように話した。
「(『TOP BRIGHTS』は)本物思考の格闘技、人を魅了する強さを目指してやりたいですけど、やっぱり現実的にそこだけじゃ、集客とかできないと思うので。まぁ、いろいろ混ぜてやると思うんですけど、『TOP BRIGHTS』がデカくなった時に、最終的には強さが来ると思うので、そこで見せたいなと思ってますね」(堀口)
これ以外にも両者の対談動画では、どんな心境でリングに上がると最大限のパフォーマンスが出るのか、限界を超えた時に人間はどうなるか、といった話に関する両者の所見も語られているが、2019年の秋、堀口が右ヒザの前十字靭帯を断裂したことにも触れ、「(今は)全然平気ですよ。怪我したことなんて全然覚えてない。そのくらいアホじゃないとできないですよ」(堀口)とコメント。
「あとは向こうで、アメリカで手術したので、それがよかったかもしれないです」(堀口)と話し、自身が米国で手術したことに対しても、「向こうは結構(治りが)早いって言いますね」との見解を示している。