復帰戦勝利の武尊が語った「本物のプロ」 自分を知らない土地の熱狂「これがやりたかった」

ISKA世界ライト級(61キロ)王者でABEMA専属PPVファイターの武尊(31)が29日、都内で勝利会見を行った。試合前は口数が少なかったが、この日はリラックス。初の世界との戦いを振り返った。

2本のベルトを肩にかけ、勝利会見を行った武尊【写真:(C)ABEMA】
2本のベルトを肩にかけ、勝利会見を行った武尊【写真:(C)ABEMA】

サグデンのメンタルを評価「最後まで戦い抜いてきた」

 ISKA世界ライト級(61キロ)王者でABEMA専属PPVファイターの武尊(31)が29日、都内で勝利会見を行った。試合前は口数が少なかったが、この日はリラックス。初の世界との戦いを振り返った。

 約1年ぶりの復帰戦だった武尊は今月日本時間24日、格闘技イベント「Impact in Paris」(フランス・パリ、ゼニスアリーナ)でISKA世界ライト級(61キロ)タイトルマッチを行い、ISKA世界スーパー・ライト級(63.5キロ)王者ベイリー・サグデン(25=英国)に5R・KO勝ち。ベルトを奪取していた。

 世界で初めての公式戦だった。現地で行われた試合前会見は時間通りに行われず、計量もぬるっとスタート。一方の試合当日は大きな演出などはなく、淡々と進んでいった。日本とは全く違う環境にとまどうこともあったが、全てが経験だった。

「いままでないことばかりで、すごくいい経験になった。何よりも過去の試合のなかでも1番試合を楽しめた。格闘家をやれる喜びをやりながら感じることができた。あとは試合後に魔裟斗さんも言ってくれましたけど、デビューしたころの感覚。自分のことを知らない人のところで武尊を見せつけてやろうというギラギラしたものがあるなかで試合をできた」

 サグデンは上の階級で戦っていた選手だ。目立っていたのは体の分厚さ。武尊自身も計量の時点から感じていた。試合の15分間、絶好調の武尊の打撃を被弾してもすぐには倒れなかった。

「世界のトップとやってきただけあって、メンタルも強かった。他の選手だったら2、3Rぐらいで倒れているような攻撃が当たってたんですけど、それでも折れなかった。僕の膝蹴りが当たって、鎖骨が折れてたそうなんですけど、最後まで戦い抜いてきた」

 それでも試合は終始武尊のペース、猛攻は落ちることなかった。5Rの戦い方について言及した。

「スロースターターなので向いてるのは向いてると思う。結構、疲れますね(笑)。5Rペースの戦いをいままでやってたら、5Rの戦いができると思うんですけど、僕はスイッチ入ると3Rペースの戦いをしちゃう。(今回は)1Rからそのペースで戦っていたので、4、5は気合いで集中力を保っていました。3か月追い込み練習もしていたので、スタミナ自体は意外と切れなくて、あと2、3R行けるかな? という感覚でした」

 特にサグデンを苦しめたのは左ミドルなどのボディー攻撃。4度倒したが、ゾンビのように立ち上がってくる。判定決着かと思えた終了間際、左ハイキックでKOした。武尊がハイキックでKOしたのは実は初めて。「空手を小さいころからやってますけど、ハイキックでダウンを取ったこともない」と笑う。

「もし判定でも負けることはないと思っていました。でも一番は勝って、お客さんにバク宙する姿を見せて武尊っていうファイターを印象付けたかったのでラスト1秒までKOを狙って戦っていました。それがあれ(左ハイキック)につながった。すごい練習もしてたのでうまく当たったなという感じです」

 今回のISKAのベルトは「一番最初に欲しいと思った」、そんなベルト。「僕がKrushのチャンピオンになる前、僕の先輩の卜部兄弟が2人でフランスに乗り込んで敵地で2人ともこのベルトを獲って帰ってきた。それをセコンドとしてリングサイドで間近で見てかっこいいなと思ったし、自分も現役中にやりたいと思ってたので、やっとかなって良かった」とうなずいた。

 武尊を知る観客がほとんどいなかったフランス。しかし、強烈な打撃を当てるたびに観客の声が会場には響く。最終RのKOとバク宙に観客は大盛り上がり。それは370日ぶりに試合をする武尊の目にも焼き付いていた。

「試合後の映像を振り返ってみると、みんな席に座っていなくて。リングの近くに駆け寄ってきてて、スタンディングオベーションで祝福してくれてた。試合中もすごく盛り上がってくれてたので、これがやりたかったことだなと。自分を知らない人たちを自分の試合で熱狂させる。そういう環境で熱狂させるのが本物のプロだと思うので、それができてうれしかったです」

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