堀口恭司が朝倉兄弟の注目2試合を大予想 未来VS平本蓮は「塩試合になるかな」

9日、“最強のメジャーリーガー”と呼ばれる堀口恭司が新格闘技団体「TOP BRIGHTS」(9月9日、ぐんまアリーナ)の開催を発表した。堀口といえば先月23日、ハワイ州ホノルルでの「ベラトール(ラテン語で「戦士」の意)295」で予定されていたレイ・ボーグ戦が相手の体重超過で流れたばかりだが、当初の予定通り帰国し、会見に出席したもの。今回は会見後の堀口を直撃し、GWに実施されたRIZIN2連戦の注目試合を語ってもらいながら、自身の試合と「TOP BRIGHTS」に関しても聞いてみた。

新団体TOP BRIGHTSのエグゼクティブプロデューサーに就任した堀口恭司
新団体TOP BRIGHTSのエグゼクティブプロデューサーに就任した堀口恭司

「おい!!!」の真相

 9日、“最強のメジャーリーガー”と呼ばれる堀口恭司が新格闘技団体「TOP BRIGHTS」(9月9日、ぐんまアリーナ)の開催を発表した。堀口といえば先月23日、ハワイ州ホノルルでの「ベラトール(ラテン語で「戦士」の意)295」で予定されていたレイ・ボーグ戦が相手の体重超過で流れたばかりだが、当初の予定通り帰国し、会見に出席したもの。今回は会見後の堀口を直撃し、GWに実施されたRIZIN2連戦の注目試合を語ってもらいながら、自身の試合と「TOP BRIGHTS」に関しても聞いてみた。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

「おい!!!」

 堀口恭司が自身のツイッターアカウントにそう投稿したのは、29日の午後9時24分のことだった。5月12日現在、236万回を越えるインプレッション数を弾き出しているこのツイート。単なる「おい!!!」でこの数字を弾き出すのだから、もちろんこれは、その日行われた「RIZIN LANDMARK5」(4月29日、東京・代々木第一体育館)のメイン、朝倉未来VS牛久絢太郎戦の結果(3-0で朝倉の勝利)を受けたものであることは容易に理解ができた。

 というのは牛久は試合前、米国にいるATTにも足を運んでおり、その際、堀口とも一緒に汗を流しているからだ。

「お前(牛久)いい線行ってたのに、なんで引き込んだんだ。テイクダウン取っとけばポイントにもなるし、今のMMAで下になるのは本当に柔術家だけッスよ。うん、それ以外はありえないです」

 ちなみに試合後、牛久は「下から三角絞めを狙っていた」旨を明かしているが、SNS上では試合展開を含め、この言動が物議を醸した。実際、堀口は具体的にATTで牛久にどんなアドバイスをしたのか?

「覚えてないッス。全然覚えてない」

 そう答えた堀口だったが、「まあ、打撃とかヒザ蹴りとか(未来が)いま得意なパターンがあるから、そこぐらいは気をつけなよっていう話はしましたね」と答えた。

 堀口から見て、牛久はそこは気を付けていたようには見えたのか?

「あー、まあ打撃は結構凌いでたじゃないですか。で、テイクダウンを取れるかなと思ったら、自分から(下に)行ってたじゃないですか。あれはたぶんスタミナを温存しながらグランドを狙ったんすけど、まあ、あれは良くはないですよね。そんなことしなくても、たぶん(未来から)テイクダウンを取れたッス、普通に」

 そんな思いが「おい!!!」につながったと。そう告げると堀口はポツリとひと言。「なりますよ」とコメントした。

会見には兄・堀口健太代表とともに出席した
会見には兄・堀口健太代表とともに出席した

朝倉未来VS平本蓮は実現しても塩試合に!?

 では、堀口としてはどんな試合展開を予想をしていたのだろう?

「2、3Rはもう(寝技で)漬けて。判定で(牛久が)勝つだろうなっていう予想だったんすよ。だけど、あれ? みたいな。お前が下じゃねえかみたいな」

 ともあれ、今回は牛久を退けた朝倉未来だが、未来に関しては、SNSでのやりとりを含め、裁判沙汰にもなっている平本蓮戦を望む声もある。ただし平本が「RIZIN LANDMARK5」(4月29日、東京・代々木第一体育館)で、未来と1勝1敗の戦績を持つ斎藤裕に敗れてしまったため、未来戦がややトーンダウンしてしまった雰囲気で、実現するのかは微妙な状況だ。

 それを知ってか知らずか、堀口は「まあ(平本は)SNSで煽りは煽りますけど、それが彼の良さであって」とコメントしながら、こう続けた。

「でも、試合ではやっぱまだ見せられる実力がないっていうか。もちろん、タックルを切るだけの、それだけには特化してるんだろうけど、まだ自分の技も出せてないじゃないですか。こっちは、お前あれだけ煽ったんだったら(斎藤裕に対して)ガンガン行けよって思っちゃいますね。だから、そこは(平本の)言ってることとやってることは違うんじゃないのって」

 それでも、もし未来×平本戦があるとすれば、どんな展開になるのか。

「未来君がタックルを取って、(「RIZIN LANDMARK」2021年5月4日、開催地非公表で)萩原京平くんと(未来が)やった時と同じ展開になるのかなとは思いますよね。でも、あまり面白い試合ではないと思いますよ。みんなが思ってるよりも塩試合になるかなー」

 この言葉から分かる通り、堀口は、現段階では両者に実力差があると見ているようだ。実際、斎藤VS平本戦でそれが認識できたからこそ、「(平本戦は)俺にとってあまりメリットがないので、(RIZIN榊原信行)社長とお金の交渉します」(朝倉未来)と口にしたことになる。

「未来君は頭がいいから相手の弱点を突いていける。そこの差が出るのかなと思います」

 続いて、気になるのは堀口が返上したことで争われている、RIZINバンタム級戦線に関して。「RIZIN42」(5月6日、有明アリーナ)では、次期王者の最有力候補である朝倉海が元谷友貴を会心のヒザ蹴りでKOした。

「あれは完璧に狙ってたんじゃないですか。もちろん元谷選手も強いですけど、やっぱりパターンが同じだから、ああやって読まれちゃうのかなっていうのはありますね」

朝倉海VSアーチュレッタを大予想

 7月に予定される「RIZIN」では、朝倉海が「RIZIN42」で井上直樹を退けたファン・アーチュレッタとベルトを賭けて闘うことが発表されている。これに関して掘口は、「まあ、同じ人間同士なんで、どっちにも勝つ確率はあって…」と話し、両者による勝ちパターンを予想した。

「アーチュレッタって、結構ガチャガチャ行ってガムシャラに行っちゃうんスよ。海君は結構パンチ力があるから、そこにカウンターを打たれてそれでやられちゃうか。そこを凌げばまあ、(アーチュレッタは)体力はめちゃめちゃあるんで、(海を)寝かして、 ずっとグデグデやって、判定で勝つのかな。ま、この2択かなと思いますね」と分析した。

 実を言うと、ここまで堀口が他人の試合について言及することは極めて珍しい。とくに堀口がRIZINに参戦するようになった2017年以降、基本的にはファイターは試合をするもので、他人のことをとやかく言うものではない、といったようなニュアンスの言動を堀口から聞いたことがある。

 ならばと、自身の戦場でもあるフライ級に関して水を向けたが、GWのRIZIN2連戦を含め、自身がここに入れば盛り上がるという道は見えたのか。この問いに対する堀口の回答は予想できたが、やはりこちらの予想通りの言葉が返ってきた。

「うーん……そこはまだ考えてないですね」

 一部では神龍誠戦を望む声もあるが、厳しい見方をすれば、まだ、そこまで機運は高まっていない気がする。

 昨年末に「RIZIN40」(12月31日、さいたまスーパーアリーナ)で実施された「RIZIN対ベラトール」の対抗戦では、堀口はベラトール側で参戦。扇久保博正に完勝したが、堀口を含めた対抗戦の結果はベラトールの5戦全勝。満天下に「現実」を突きつけることになった。それがゆえに堀口からすれば、自身が進んで闘いたいと思えるRIZINファイターがいるわけではないが、そもそも論としてファイター堀口としては、相手が誰であろうとこれまでオファーを断ったことはない。

 ともあれ、「TOP BRIGHTS」では、いずれは「ベラトール」でも活躍できる選手を育てていかなければとは思うものの、それには具体的に何年かかると思っているのか?

「まあ、でも分かんないッスよね。やっぱりまずは選手が『TOP BRIGHTS』に来たいっていう土台をつくる。例えば、人気者になりますよなのか、今は誰もスターがいないですから、もう来たらすぐスターになれますよっていう状態を作っていれば、いい選手は自然と来ると思うし。ま、あとはお金の問題。そこかなと思います」

 楽観的といえば楽観的だが、あくまで現段階の話をいえば、堀口以上の実績を持つ日本人ファイターは存在しない。いわば夢を現実にした日本人の第一人者が堀口恭司になる。そしてその手法は、必ずや「TOP BRIGHTS」でも活用されるはず。その自信からなのか、堀口は以下のように言葉を告げ、豪快に笑った。

「だから(何事も)可能性はゼロじゃない。第一、(「TOP BRIGHTS」は)クリーンじゃないですか。あとはクリーンでデカい会社がついてくれれば無敵ですよね、ガハハハハ!」

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