UAが亡き父と恩師・朝本氏との思い出を語る「遠くから見守ってくれる特別な人」

私が生まれてすぐに亡くなった父

――朝本さんは53歳という若さで旅立ちましたが、大切な人が旅立ったあとに自分の中のどこかにその人がいるようなそんな気持ちになることってありますよね。

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「実は私の父親って私が生まれてすぐにガンで亡くなったんです。小さい頃は父のこともよくわからずに生きてきたんですが、物心ついてから母に聞いてようやく分かりました。生まれてすぐに亡くなったからお父さんの思い出なんて何ひとつないし、悲しさもないんだけど、今思うとすごくお父さんがそばで見守ってくれていたように感じるんです。

 私の名前って歌織(かおり)って言うんですけど、名前に歌が付いていて、小さい頃からずっと歌が好きだったんです。家ではめっちゃ歌っていて友達の中では上手いと思っていましたけど、とってもシャイで、まさか人前で歌うような人になるとは思ってもいなかったんです。

 でも、ひょんなことからUAとしてデビューして、今もこうやって歌い続けていられる、そんな幸運な人生を送らせてもらっているのは、やっぱり父が私のことをずっと守ってきてくれたからに違いないって。こんな年齢になるとすごくそういうのを感じるんです」

――朝本さん、そしてお父様という存在ですね。

「あと沖縄に住んでいた頃にお世話になった方。音楽をやっていた方なんですがお亡くなりになって。だから3人の男性に今もあちらから助けてもらいながら歌を歌わせてもらっています」

――今のUAさんにとって「歌とは?」という質問をさせてください。

「歌って世の中から消えてしまったら世の中さえもなくなってしまうような、そんな気がするんです。だから世界や社会とつながるための大切な存在だと思います」

□UA(ウーア)大阪府出身。母方の故郷は奄美大島。UAとは、スワヒリ語で「花」という意味を持つ言葉。1995年にデビューし、当時からその個性的なルックスと存在感のある歌声で注目を集める。「情熱」「悲しみジョニー」「ミルクティー」などのヒット曲を持ち、AJICOやUA×菊地成孔といったコラボ作品もリリース。2003年にNHK Eテレで放送された「ドレミノテレビ」では、うたのおねえさんとしてレギュラー出演し、翌年に同様・愛唱歌集「うたううあ」をリリース。15年よりカナダに居住し、田舎で農的暮らしを実践中。デビュー25周年を迎え、21年5月にEP「Are U Romantic?」をリリース。

次のページへ (3/3) 【写真】UAのライブショット 恩師・朝本浩文氏と作った名曲は今でもフロアを一変させる力を持つ
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