UAが亡き父と恩師・朝本氏との思い出を語る「遠くから見守ってくれる特別な人」

デビューから27年目を迎えたUAが6年ぶりのCD「Are U Romantic?」をリリースした。本作はコロナ禍で2年遅れとなった自身の25周年を記念した作品であり、同時にUAが世に出る大きなきっかけをつくってくれた亡き恩師で音楽プロデューサーの朝本浩文さんへの思いを込めた原点回帰の作品でもあるという。そんなUAが大切に思う人について聞いた。

亡き父と恩師への思いを込めた作品を語るUA【写真:荒川祐史】
亡き父と恩師への思いを込めた作品を語るUA【写真:荒川祐史】

UAの代表曲「情熱」誕生秘話

 デビューから27年目を迎えたUAが6年ぶりのCD「Are U Romantic?」をリリースした。本作はコロナ禍で2年遅れとなった自身の25周年を記念した作品であり、同時にUAが世に出る大きなきっかけをつくってくれた亡き恩師で音楽プロデューサーの朝本浩文さんへの思いを込めた原点回帰の作品でもあるという。そんなUAが大切に思う人について聞いた。(インタビュー・文=福嶋剛)

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――新作「Are U Romantic?」は近年のUAさんのアルバムの中でもっともポップな作品ですが、そこには若い世代が口ずさめるような曲を作りたいという思いがあったとお聞きしました。一方でデビューの頃から聴いているファンにとっては原点回帰の側面もあるのかなと?

「そうです。朝本(浩文)さんと一緒に作っていたあの感覚をもう1回やりたいって思ったんです。でも朝本さんはもういませんし、私もこれだけ長く生きてきているのでまったく最初の頃のようにはならないんだけれど、『朝本さんと一緒に生んだポップソング』を目指して“朝本リスペクト”で作ってみようと思ったんです。みんな1度聴いたら忘れない、思わず口ずさんでしまうような曲をね」

――朝本さんは伝説的なダブ・バンド「MUTE BEAT」のキーボード奏者を経て、プロデューサーとしてUAさんの「情熱」(1996年)をはじめ数々のJ-POPの代表曲を手がけました。初めてお会いしたときのことを覚えていますか?

「もちろんです。デビューが決まって、最初のEP『HORIZON』(95年)を作っていた頃で、プロデューサーは藤原ヒロシ君でしたが、彼の右腕としてずっとそばにいたのが朝本さんでした。そこで初めてお会いして音楽的な部分を朝本さんがやっているのを見て『この人すごいな!』と思ってお願いしたのが『情熱』だったんです」

――UAさんは朝本さんとどのように「情熱」を作っていったんですか?

「最初に『どんな音楽を聴いているの?』ってところからお互いに話をして、『じゃあこんな感じの曲でいこうか』となり、朝本さんから最初に上がってきたのはレゲエ調の曲だったんです。それを聴いて私が『もうちょっとこんな感じの音でどうですか?』みたいなディスカッションをどんどん重ねていって、あの『情熱』が完成したんです」

――今作のレコーディング中も朝本さんが側にいるような感覚でしたか?

「どうだったかな? でも朝本さんにしかない持ち味というのは、私もある程度理解しているつもりで、そんなふうに作っていきました。むしろ私はライブ中によく朝本さんを思い出すんです。なぜかというと朝本さんの書いてくださったポップソングって、私が歌うとフロアの熱が一変するんです。これ本当です(笑)。その瞬間に『ああ自分はこの曲で歌手として生かしてもらっているんだ』って、そんな気持ちになるんです。デビューから今までいろんな人と一緒に作ってきて、もちろんそれぞれに思い出があるんですけど、朝本さんの曲がなかったらUAとして歌えてなかったと思うし特別な人です」

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