ドラマ、映画に引っ張りだこ 勢いに乗る俳優・永山絢斗が「時間はあまりない」と焦るワケ

俳優の永山絢斗が、WOWOW連続ドラマ「ダブル」(6月4日午後10時30分スタート)で、“演劇の聖地”東京・下北沢で夢を追いかける男を演じている。千葉雄大とのダブル主演作だ。永山は俳優になり、今年で15年目。多くの出演作が公開、放送を控えており、脂がのっているように見える。だが、「まだまだ、もっと」と語る。同作ではコロナ禍でかなわなかったことに、やるせなさもあったと明かした。

「人が好きだからぶつかり合いたい」と話した俳優の永山絢斗【写真:山口比佐夫】
「人が好きだからぶつかり合いたい」と話した俳優の永山絢斗【写真:山口比佐夫】

WOWOW連続ドラマ「ダブル」で千葉雄大とダブル主演

 俳優の永山絢斗が、WOWOW連続ドラマ「ダブル」(6月4日午後10時30分スタート)で、“演劇の聖地”東京・下北沢で夢を追いかける男を演じている。千葉雄大とのダブル主演作だ。永山は俳優になり、今年で15年目。多くの出演作が公開、放送を控えており、脂がのっているように見える。だが、「まだまだ、もっと」と語る。同作ではコロナ禍でかなわなかったことに、やるせなさもあったと明かした。(取材・文=西村綾乃)

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 同作は、野田彩子氏による同名漫画が原作で、下北沢で切磋琢磨する役者たちに光りをあてている。幅広い層に支持され、「文化庁メディア芸術祭」のマンガ部門で優秀賞を獲得。実写化が期待されていた。永山は言った。

「僕は『世界一の俳優になりたい』という夢を持つ鴨島友仁を演じています。好きなことに対して、『世界一』と言える友仁は素敵だなと感じます」

「世界一に」という夢を抱きながらも、天性の才能を持った宝田多家良(千葉)を見いだした友仁は、彼を世に送り出そうと演劇のイロハを教え、支えていく。

「千葉くんと共演するのは初めてです。僕は1989年3月7日、千葉くんは2日違いの3月9日生まれ。話しているうちに共感できることが多く、すぐに意気投合しました。星座も同じうお座なので、似たような過去を送って来たのかなと感じました」

 役者は「ぶつかるもの」という信条を持つ永山は、同世代の千葉との共演を楽しみにしていたという。しかし、コロナ禍の撮影では、実現できなかったこともあった。

「コミュニケーションを取りたいけれど(感染防止の観点から)できない。演じる上で話したいことがたくさんあるのにと、焦りました。監督から『OK』の声がかかる度、『これでいいのかな。OKじゃないでしょう?』とモヤモヤしたりもしていました。人がぶつかり合う人間ドラマを作っているのだから、『全力でぶつかりたい』という思いが、すごくありました」

 そうした思いを持つようになったのは、10代の反省からだ。

「10代の時は現場に行っても人と話をせず、内に閉じこもっていました。いろいろなことを吸収できたのに、意味のない時間を過ごしてしまった……。叱咤されても顧みず、うまくいかない時は、人のせいにしたり、言い訳をして。自分とも人とも向き合わず、はっきり言って、逃げていたんです。そういう自分にうんざりして、『殻を破ろう』と決めてからは、楽になりました」

 デビュー15年目。主役を任され、わき役でも存在感を示す実力派だが、焦りがあるという。

「もともと無頓着で、自分がいくつになったのかも忘れてしまうほどなので、周囲から『15周年だね』と言われると、そんなに長く続けてきたのかと驚きます。自分に厳しくなったこと、好きなものが何かが分かって来た今、こうありたいと思う姿には遠いです」

 スマートなイメージだが、内側には沸き立つ思いがある。少ない言葉には、激しさをにじませる。「オレに残されている時間はあまりない」と視線を落とした。

「ある映画を撮影した時、持っているエネルギーを注ぎ切ったと感じました。でも、スクリーンに映る自分の姿に、『あれ? こんなものだったのか』と差を感じて……。自分だけでは成り立たないと気が付いたんです。駆け出しの時はその大切さに気付かなかった。役者はもちろん、監督やスタッフなどたくさんの人が集まってひとつの作品が完成する。だから、ぶつかり合いたい」

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