渋谷系を知らない若者と「東京は夜の七時」でつながる喜び 40周年の野宮真貴が語った

歌手の野宮真貴が4月にリリースしたデビュー40周年記念アルバム「New Beautiful」が25日にアナログ盤の発売とあわせて配信リリースされる。今作は野宮真貴の最新作を詰め込んだアルバムだ。中でも、ピチカート・ファイヴの代表曲から3曲を国内外のネオ・シティポップの若手アーティストが再構築するという大胆な試みにもチャレンジしている。そこから見えてきたものは、野宮が40年間大切にしてきた音楽を次世代に残していきたいというそんな思いも見えてきた。その真意とは? 本人に語ってもらった。

「東京は夜の七時」で若者とつながる野宮真貴【写真:荒川祐史】
「東京は夜の七時」で若者とつながる野宮真貴【写真:荒川祐史】

渋谷系の手法は今も生きている

 歌手の野宮真貴が4月にリリースしたデビュー40周年記念アルバム「New Beautiful」が25日にアナログ盤の発売とあわせて配信リリースされる。今作は野宮真貴の最新作を詰め込んだアルバムだ。中でも、ピチカート・ファイヴの代表曲から3曲を国内外のネオ・シティポップの若手アーティストが再構築するという大胆な試みにもチャレンジしている。そこから見えてきたものは、野宮が40年間大切にしてきた音楽を次世代に残していきたいというそんな思いも見えてきた。その真意とは? 本人に語ってもらった。(取材・構成=福嶋剛)

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 今回はアニバーサリー・アルバムということで1981年のデビューから現在までを総括する内容になっているのですが、今の私、そして新しい野宮真貴の歌をみなさんに聴いてほしいという思いで、さまざまなアーティストの方々に新曲を書いていただきました。昔から音楽と同じくらいファッションやおしゃれも大切にしてきたのでこれからも“美しさ”を大切に生きていきたいという思いを込めて「New Beautiful」というタイトルを付けました。

 やっぱりその中でもピチカート・ファイヴとしての10年は、みなさんに野宮真貴を知っていただく大きなきっかけになりましたし、人生で一番たくさんの曲を歌って、たくさんライブをやった私のキャリアの中でもっとも濃厚な10年だったことに間違いはありません。まさに私の歴史の中の1ページです。

 一方で私自身のキャリアを振り返るとピチカートはその40年の中の10年に過ぎないんです。今回のアルバムを聴いた音楽ライターの方が、「野宮真貴は“渋谷系の女王”から“オルタナティブ・ポップスの女王”になった」と言ってくれて。ニューウェーブやポップスを40年間歌い続けて獲得したその称号は大切にしたいと思いましたし、これからも「オルタナティブ・ポップスの歌い手」として、ピチカートも含めた過去の名曲や新曲を歌い続けたいという思いが強くなっています。

 そこで、今回のアルバムは新曲に加えてピチカートの代表曲を国内外で注目されている3組の若い世代のアーティストの方々に新しいアレンジをしてもらおうと思いました。もちろん小西康陽さんのオリジナルアレンジというのは今聴いても新鮮ですし、これからもずっとそうだと思います。でも、当時を知らない若い人にアレンジしてもらったらいったいどんな曲に生まれ変わるんだろう? そんなふうにワクワクしながら海外に住むアーティストとの初のリモートレコーディングなどにも挑戦してみました。その中でリアルタイムのピチカートを知らない世代だからこそ構築できた想像を超えるアプローチで“最新型の野宮真貴の楽曲”が完成したんです。

「東京は夜の七時」は海外でのシティポップブームの火付け役と言われている韓国のプロデューサー/DJのNight Tempoさんにアレンジしてもらいました。驚いたのは、彼が野宮真貴を初めて知ったのはピチカート・ファイヴではなく、81年の私のソロデビュー作だったそうです。70年代のシティポップと呼ばれている作品やルーツとなる音楽をリミックスして紹介していくNight Tempoのスタイルは、90年代の渋谷系と似ているなって感じました。

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