韓国出版プロデューサーが語る日本漫画の近未来 「作品性とスマホ向け 二極化する」

Netflixで昨年配信され全世界ランキング1位を一時期達成した韓国ドラマ「地獄が呼んでいる」。注目を集めたこのドラマの原作コミック「地獄」日本語翻訳版(1巻、2巻各1650円)が発売されている。同コミックは大ヒットゾンビ映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」を手掛けたヨン・サンホ監督と「錐(きり)」などの作品がある人気漫画家チェ・ギュソク氏の共同作品だ。ある日突然、神からの“告知”を受けた人々が地獄からの使者によって次々と残酷な死を迎える。そんな超自然現象を巡って新興宗教団体が台頭、人々は恐怖におののき社会は大混乱に陥る…。ドラマは視聴者に鮮烈な衝撃を与えたが、コミックも恐怖を感じさせる独特のタッチだ。日本でこのコミックを発売した狙いと韓国発コミックの可能性について双葉社ライツ事業局ライツ企画部の尹勝鏞(ユン・スンヨン)プロデューサーに聞いた。

原作の世界観にこだわった「地獄」の第1巻【写真:(C)futabasha】
原作の世界観にこだわった「地獄」の第1巻【写真:(C)futabasha】

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 Netflixで昨年配信され全世界ランキング1位を一時期達成した韓国ドラマ「地獄が呼んでいる」。注目を集めたこのドラマの原作コミック「地獄」日本語翻訳版(1巻、2巻各1650円)が発売されている。同コミックは大ヒットゾンビ映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」を手掛けたヨン・サンホ監督と「錐(きり)」などの作品がある人気漫画家チェ・ギュソク氏の共同作品だ。ある日突然、神からの“告知”を受けた人々が地獄からの使者によって次々と残酷な死を迎える。そんな超自然現象を巡って新興宗教団体が台頭、人々は恐怖におののき社会は大混乱に陥る…。ドラマは視聴者に鮮烈な衝撃を与えたが、コミックも恐怖を感じさせる独特のタッチだ。日本でこのコミックを発売した狙いと韓国発コミックの可能性について双葉社ライツ事業局ライツ企画部の尹勝鏞(ユン・スンヨン)プロデューサーに聞いた。(取材・文=鄭孝俊)

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――原作の韓国語版コミックを日本で発売しようと考えたきっかけは何ですか。

「もともとヨン・サンホ監督のファンで監督の作品は全部見ています。『地獄が呼んでいる』の原作コミック『地獄』はスマホ向けのネイバーウェブトゥーン(NAVER WEBTOON)として韓国のサイトで連載されていましたが、毎週欠かさず見ていました。スマホで読むときは縦スクロールで絵はほぼ白黒です」

――ウェブトゥーンが韓国で人気を得るようになった経緯を教えてください。

「90年代後半から10年ほどは韓国の漫画業界は停滞状態で大人が漫画を読むことはほとんどありませんでした。成人向け漫画を連載していたのはスポーツ新聞ぐらいでしたが、2000年代になるとインターネット文化が定着し、05年に大手ポータルサイトのNAVERが漫画掲載を始めました。当初はほとんどが無料でサイトへの誘導が目的でした。しかし、次第に10代から30代のユーザーの間で人気となり5話、10話をストックして有料化するようになりました。現在、特に若者の間で人気なのが『異世界もの』と呼ばれるジャンルです。主人公がある日突然、まったくの別人格になったり容姿端麗になったり、あるいは死んで知らない世界に迷い込んだり。RPGの世界観とよく似ています。現実世界に希望が見いだせないからコミックの世界に感情移入してしまうのかもしれません」

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