【週末は女子プロレス♯32】「わりと現実を見ちゃうタイプ」だった東京女子・瑞希がプロレスに魅了されたワケ

坂崎ユカ(左)とタッグ王座を保持する【写真:新井宏】
坂崎ユカ(左)とタッグ王座を保持する【写真:新井宏】

坂崎ユカとは「プライベートでもすごく仲がいい」

 悲願のプリプリ王座奪取に向けて、「まずはタッグ王座の防衛を重ねていきたい」と瑞希は言う。現王者でもあるタッグ王座は2度獲得し、どちらも坂崎がパートナー。マジカルシュガーラビッツ(マジラビ)を組んだことによって、瑞希は大変身を遂げた。過去のシングル王座挑戦やシングルリーグ戦連覇(19年&20年)も、すべてはタッグが起点になっていたと言っても過言ではないだろう。

「ゆかっち(坂崎)とはプライベートでもすごく仲がいいんですよ。私のことを信じてくれてるってすごく感じますね。自分のことは二の次ってくらいに優しいんです。私もすごく信頼してますし、それだけにマジラビで成長していくためには私が成長しなくちゃいけないなって思います」

 坂崎とは、東京女子を体現するレスラーでもある。コロナ禍によりなかなか興行が開催できなかったとき、彼女はシングル王者としての責任も感じたか、タッグパートナーの瑞希はもちろん、若い選手の不安を取り除こうと必死に団体を引っ張ってきた。マジラビの仲の良さも、東京女子の雰囲気に直結しているのだ。

「所属になる前から感じていたんですけど、東京女子ってすっごく温かいんですよね。これってたぶん、みんなが口をそろえて言うと思います。それくらい温かくて仲のいい団体です。そのなかでライバル関係があり、負けたくない、絶対に勝ちたい気持ちがある。すごく切磋琢磨(せっさたくま)していける環境にあるなって思いますね。私って負けず嫌いなんですけど、こんなに負けたくないんだっけって、改めて思いますもん」

 リング上は闘い。それだけに仲の良さは闘う上でマイナスにもなりかねない。が、東京女子はそこをプラスに転化させている団体だ。SKE48の荒井優希がすんなり入っていけたのも、この団体が作り出す環境、世界観と無縁ではないだろう。キャリアや年齢が近い選手が多いのも、切磋琢磨における重要な要素である。

 東京女子のレギュラー選手には、いわゆる大ベテランが存在しない。全員がデビュー10年未満で、旗揚げメンバーでさえキャリア8年だ。26歳の瑞希もデビューから9年がたったばかり。すなわち今年の「イッテンヨン」は、10周年イヤーのスタートでもあった。22年12月29日がデビューから10年の日。今年の年末、瑞希がどんな状況でこの日を迎えているか、いまから楽しみだ。

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