ひろゆき×成田悠輔のYouTube番組が示す“新MC像” 大物政治家らにも忖度なしの自由度

リモート参加の成田悠輔氏、ひろゆき氏とスタジオの田原総一朗氏。MCが画面越しという「Re:Hack」の独特なスタイルだ【写真提供:日経テレ東大学 「Re:Hack」】
リモート参加の成田悠輔氏、ひろゆき氏とスタジオの田原総一朗氏。MCが画面越しという「Re:Hack」の独特なスタイルだ【写真提供:日経テレ東大学 「Re:Hack」】

視聴者は30~40代を中心に獲得 100万回超再生の動画も

 当初は、成田氏も加わって番組の構成を事前に検討していた。だが今はゲストに聞いてほしい質問を準備することもあるが、博識でトーク力の高い2人に現在はフリーハンドルで任せており、「台本を作らないほうが面白い」。約1.5~2時間の収録内容をアクシデントも含めて編集で使うことにしており、「トーク番組というより、ドキュメンタリーの意識で作っています」という。実際に番組は長尺で、1回の収録を約30分から1時間の2本の動画にする。

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 時に、2人とゲストの意見がぶつかり合うことがあるが、「納得できるまで話してもらうことを大事にしています」。110万回再生を突破した竹中氏の前編では、竹中氏とひろゆき氏が一触即発のやりとりを繰り広げる場面があった。別のスタッフからは制止を求める意見が出たが、収録を続行し、最後まで撮り終えた。後編では竹中氏とひろゆき氏が、互いの考え方で似ている部分を理解し合う結末が見られた。“敵と味方”のように映る2人の意外な共通点は、視聴者に新鮮味を与えた。

 実は高橋プロデューサーは、番組に登場する着ぐるみの「ピラメキパンダ」にふんしている。議論がかみ合わなくなった場合の調整や流れを変えたいときに発言する役割を担っている。テレビ界で働いて16年。これまでの番組作りの経験とノウハウを注入し、番組の流れを「悪口にならない。ただ過激なだけにしない」ように腐心。「YouTubeでガチ勝負したいという思いが原動力です」と語る。

 番組は話題を集めており、視聴者は30~40代を中心に獲得。「若い世代を取り込んでいます。長尺動画ですが視聴維持率(番組を最後まで見ている割合)も非常に高く、30~50%。その維持率で100万回再生という数字は、テレビの個人視聴率で言うと1~2%程度に相当するのではないか。それを新たな土地に開拓できているということが重要です。テレビの枠は24時間という限られた領土ですが、そこでの戦いではなくその外にある新天地ですから。テレビより、テーマや討論を深掘りできているというところにも手応えを感じています」といい、「新しいメディアとして、続けていくことに意味がある」とさらなる意欲を燃やす。

 新型コロナウイルス禍における制作環境が、思わぬ成果をもたらしているという。ひろゆき氏はパリからリモートで、成田氏は日本のスタジオに登場することもあるが米国からのリモート出演が多い。ゲストもオンライン参加のときは“モニターが並ぶ”だけの回もある。「ひろゆきさんと成田さんが対面で出演すると、なれ合いが生まれてしまう可能性があります。情を移さない進行で、いまの時代ならではのリモートの距離感がいいんです」。討論番組の新しい形を示しているとも言えそうだ。

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