ひろゆき×成田悠輔のYouTube番組が示す“新MC像” 大物政治家らにも忖度なしの自由度

テレビ東京が刺激的なYouTube番組を仕掛けている。「2ちゃんねる」開設者で実業家の西村博之(ひろゆき)氏と、米イェール大助教授でデータ分野や公共政策にも詳しい成田悠輔氏をMCに迎えたトーク番組「Re:Hack(リハック)」だ。2人による「忖度(そんたく)なし」の進行で、大物政治家や経済人、芸能人に切り込む。異色の番組はどう作られ、何を目指すのか。企画・演出を手掛ける同局の高橋弘樹プロデューサーが舞台裏を明かした。

異色のトーク番組を仕切る成田悠輔氏(左)とひろゆき氏。大物政治家や経済人に切り込む姿勢を貫いている【写真提供:日経テレ東大学 「Re:Hack」】
異色のトーク番組を仕切る成田悠輔氏(左)とひろゆき氏。大物政治家や経済人に切り込む姿勢を貫いている【写真提供:日経テレ東大学 「Re:Hack」】

YouTube番組「Re:Hack」 タブーを恐れない姿勢は動画タイトルが象徴的…「竹中平蔵はなぜ嫌われる?」

 テレビ東京が刺激的なYouTube番組を仕掛けている。「2ちゃんねる」開設者で実業家の西村博之(ひろゆき)氏と、米イェール大助教授でデータ分野や公共政策にも詳しい成田悠輔氏をMCに迎えたトーク番組「Re:Hack(リハック)」だ。2人による「忖度(そんたく)なし」の進行で、大物政治家や経済人、芸能人に切り込む。異色の番組はどう作られ、何を目指すのか。企画・演出を手掛ける同局の高橋弘樹プロデューサーが舞台裏を明かした。(取材・文=吉原知也)

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 同番組は、株式会社テレビ東京コミュニケーションズと株式会社日本経済新聞社が運営するYouTubeチャンネル「日経テレ東大学」で、7月から配信がスタートした。ネットを中心に言動が注目されるひろゆき氏と成田氏の起用。高橋プロデューサーは「ひろゆきさんはパリ、成田さんは米国を拠点にしており、日本にいないことが多い。その意味で、利害関係が少なく、忖度することがない。メディアに何か気を使うこともない、そこがポイントです。自由にやってもらっています」と説明する。2人を「触媒」と捉え、多彩なゲストとの「化学反応」を起こす狙いを持っているという。

 これまで登場したゲストは、永田町からは岸田文雄氏、石破茂氏、経済人の竹中平蔵氏、ジャーナリストの田原総一朗氏らビッグネームばかりだ。芸能界からは、蛭子能収やスザンヌら個性派が名を連ねる。UFO・超常現象研究家の韮澤潤一郎氏を呼ぶなど“攻めた”人選も。テーマ設定は、政治・外交から、経済・貧困、非正規雇用の問題など、繊細で賛否両論を巻き起こす事柄も扱っている。

 タブーを恐れない姿勢は、動画タイトルが象徴的だ。竹中氏の回は「竹中平蔵はなぜ嫌われる?」、自民党総裁選の告示日だった9月17日配信の岸田氏の回は「岸田さん、地味ですよね…」、そして、当時連合会長だった神津里季生氏の回は「労働者の時代は、終わる」といったように、ゲストの「痛いところを突く」ことを、ちゅうちょすることなく展開する。

 番組作りは、決して炎上狙いでやっているわけではない。数多くの社会問題を、討論を通して再定義して改善に導きたいという意図がある。「日本が抱える構造的な問題を少しでも変えるきっかけを作れたらと考えています。番組は娯楽の一つなので、視聴者に楽しんでもらい、結果少しだけ何かを変えることにつながれば」と強調する。そもそも高橋プロデューサーはひろゆき氏の起用を思いついたが、当初は多少のリスクを感じていたという。「ひろゆきさんはネットの切り抜き動画を見ると、先鋭的な部分が強調されがちです。しかし、最後まで話を聞くと、常識的なことを論理立てて話しています。偽悪的な振る舞いをしている部分もあると思います。最初はインタビュー企画をお願いしました。そのうえで司会をやっていただけると確信して、成田さんとの組み合わせで番組を始めることになりました」とのことだ。

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