【週末は女子プロレス♯27】「本当の女子プロレスというものが減ってきてる」デビュー15周年の中島安里紗が抱く危機感と自信

高さのあるミサイルキックを放つ中島安里紗(左)【写真提供:SEAdLINNNG】
高さのあるミサイルキックを放つ中島安里紗(左)【写真提供:SEAdLINNNG】

「外敵」からの王座奪還で存在感 12・29後楽園の水波綾は?

 デビュー前、彼女は全日本女子プロレスの闘いに魅せられプロレスラーに憧れた。高橋奈苗&中西百重のナナモモ。脇澤美穂&納見佳容のミホカヨ。そして、下田美馬&三田英津子のラスカチョ。つまりは、“あの時代”の過激な全女である。

「奈苗ファンだったわけじゃないですけど(笑)、当時の全女ってみんなが闘ってるじゃないですか。リング上だけじゃなくセコンドだって闘ってる。もう、みんな殺伐としてて、お客さんもあまりの恐ろしさにビビってしまうような。そういう女子プロレスっていま、ほとんどないじゃないですか。私はそういう女子プロレスがやりたいんですよね」

 JWPのエースとして活躍していた中島だが、元はといえば全女を継承するAtoZに入団、別ブランドの大会でデビューを果たした。その後、AtoZの活動停止によりフリーを経てJWPに入団した。気の強さは将来のエース候補であり、実際、ブランクを経て復帰すると団体トップとして重要なポジションを任されるようになっていく。JWP無差別級王座には4度君臨。中島が破ってきた王者は、さくらえみ、華名(現WWEアスカ)、尾崎魔弓、木村響子。どれもが外敵に渡ってしまったベルトの奪回を託されての劇的な戴冠だった。さらに、シードリングにおいても中島はシングル王座(BEYOND THE SEAシングル王座)を奪取、Marvelousの彩羽匠から団体に奪還したのだ。

 そして迎えるシードリング12・29後楽園では、水波綾が現在保持するシングル王座に中島が挑戦。考えてみると、過去とよく似たシチュエーションではある。年末の後楽園でベルトを団体に取り戻してきた事例が多いのだ。いまでこそフリーの水波が「外敵」とのイメージは少ないが、所属外から団体に取り戻すミッションであることに変わりはないだろう。だとすれば、中島にとってゲンのいいカード&スケジュールではある。

「8月(19日)の後楽園では負けたんですよね。あのときは(7・11後楽園で)高橋奈七永とのシングルに勝って挑戦したんだけど、ベルトには届かなかった。でも、今度は勝ってきたパターンだから、自分が勝つってことですよね! 前回は水波がコロナ明けってこともあって『(戻ってこれて)よかったね』みたいなハッピーオーラにリングが包まれてたんですよ。その方が笑顔になれるのかもしれないけど、闘いの場にそういうのいらないから、たとえ悲しむ人が増えるとしても私がベルトを取りますよ!」

 中島は若手時代から常に勝敗にこだわってきた。団体を背負い勝負に臨む悲壮なまでの表情や、負けたときの悔しさをあらわにする姿も彼女の魅力ではある。が、今年はタッグベルトを失い、水波にも敗れフラストレーションが溜まっている。タッグトーナメントで敗退したため、12・29後楽園で奈七永(復帰戦)&松本浩代組のタッグ王座とともに2冠を奪う野望こそ崩れた。その分、シングルに集中、爆発するつもりだ。では、中島にとってのシードリングとは?

次のページへ (3/4) 11月に新道場がオープン メンバー減少も頼もしい若手の成長
1 2 3 4
あなたの“気になる”を教えてください