「市川姓」を許された女性伝統芸能者・市川櫻香が「古典の日」に込めた思い

市川櫻香の弟子・市川阿朱花【写真提供:日本の伝統文化をつなぐ実行委員会】
市川櫻香の弟子・市川阿朱花【写真提供:日本の伝統文化をつなぐ実行委員会】

コロナ禍だからこそ“笑い合い引っ張り合う”華やかな舞踊「七福神」

――演目のトリは、櫻香さんの舞踊「七福神」。最古の長唄とも伝えられています。歌詞には「大漁追福」「商売繁盛」「五穀豊穣」をもたらす「恵比寿さま」が登場します。後半は大黒天さまのことを唄っているという説もありますね。恵比寿さまは「日本書紀」ではイザナギ、イザナミの神の間にできた第3子(※『古事記』では最初の子どもとされている)。足が弱かったため芦船で海上に流され、流れ着いた先の兵庫県の西宮で鎮座して神になりました。

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櫻香「日本のどこの神社にも恵比寿さまと大黒天さまはいらっしゃいますね。コロナ禍でこんな時期だから、『七福神』はにぎやかで華やかでいいなと思いました。例えば、この舞踊の後半部分は『引きものづくし』と言って、『ひく』という場面が続きます。眉を引く、お琴を弾く、三味線を弾く、髪を引く、弓を引く。お互いに引っ張り合うことって、今の時代にすごく大事な気がします。『日本書紀』の国づくりのお話から始まって、最後は引きものづくし。つらいことも笑い合いながら、引っ張りあいっこしながら、神様に祈りながら過ごしていく。日本って豊かな文化だなと思います」

(後編に続く)

□市川櫻香(いちかわ・おうか)家業が伝統芸能の普及と邦楽の師匠であり、四代目に生まれる。1983年、女性芸能者で歌舞伎を行う「名古屋むすめ歌舞伎」を設立。故・十二代目市川團十郎の指導を受け、92年、市川宗家より市川性を許された。02年、演奏家・役者ともに女性による「むすめ歌舞伎」のヨーロッパ6都市8公演を敢行。團十郎の後押しにて07年「第一回櫻香の会」を開催。「第二回櫻香の会」では團十郎脚本「黒谷」で共演している。名古屋市芸術奨励賞、日本演劇協会賞、サントリー地域文化賞などを受賞。伝統芸能の表現者である一方、「日本の伝統文化をつなぐ実行委員会」のプロデュースに携わり、次世代芸能者の育成にも力を注ぐ。

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□公演情報
「古典の日」
日時:2021年12月5日(日)14時開演
場所:名古屋能楽堂(愛知県名古屋市中区三の丸1-1-1)
チケット:全席自由2800円
主催:日本の伝統文化をつなぐ実行委員会
お問い合わせ
メール:mkabuki2@gmail.com
FAX:052-323-4575

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