【週末は女子プロレス♯23】元女性教師が両親に土下座してプロレス転身 83戦目の初勝利で果たした「3年の約束」

新日本9・4メットライフ決戦で着用した自作コスチュームがお似合い【写真:新井宏】
新日本9・4メットライフ決戦で着用した自作コスチュームがお似合い【写真:新井宏】

果たされた「3年の約束」 プロレスに導いた同僚教師も歓喜

 レディはまた、岩谷がきっかけでジャイアントスイングを使うようになった。シングルに先立つ8・9松本。レディは岩谷のSTARSに合流し大江戸隊と8人タッグで激突。試合前の作戦会議で岩谷から「ジャイアントスイングしてくれたら私がドロップキックを入れるよ」と言われた。そこから練習したのだが、レディは間違えて逆回転してしまう。すると岩谷は「違う!違う! でも、両方回せるならどっちもやってみればいいじゃん」とアドバイス。このときからレディは相手を左右にぶん回す画期的なジャイアントスイングを使うようになった。「相手も急に方向変えられると余計に目が回るので抵抗もできず、どっちに落とされるかも分からない状態になるので、威力も倍くらいになってるんじゃないかと思います」

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 ちょうどその頃、レディのデビュー日に初登場したウナギ・サヤカの発言と行動が物議を醸していた。自身が保持するフューチャー・オブ・スターダム王座にスターダム初参戦の選手を挑戦させ、しかもキャリア初のタイトルマッチを“査定マッチ”と称した。が、このやり方に琉悪夏、吏南ら生え抜きが反発。レディも事実上初めての自己主張を示したのである。

 桜井まい、月山和香はキャリア的には数か月ながら先輩にあたる。が、試合数や経験値では2人を圧倒するとの自負がある。それだけに、あとからやってきた選手には負けられない。その意地が原動力となり、9・20後楽園での初勝利に結びついたのだ。この一件によって、ウナギは彼女なりのやり方で若手のベルト戦線を活性化し、話題づくりとともに大きな成果を残すことにもつながった。

 そしてレディは、琉悪夏にわたったフューチャー王座に11・3川崎ビッグマッチで初挑戦。いままでとはまったく異なるタイトル戦の雰囲気に?まれ屈辱的な結果となったものの、だからこそこのベルトに到達しなければならないとの思いがより強くなった。「10か月かかっての初勝利だったので、タイトルマッチ1試合くらいで心は折れないです。相手が誰であろうとまた挑戦したいです!」

 プロレスを教えてくれた同僚教師はレディのデビューを我がことのように喜び、レディはメイン抜てき(6・20米原)や新日本メットライフドーム参戦、タイトル挑戦などで着実に実績を積み上げている。「3年の約束」も果たされたと言っていいだろう。いまでは心配しながらも、家族は応援してくれている。運動経験ほぼなしからのスタートながら意外と丈夫なのか、セコンドで乱闘に巻き込まれ目のあたりを腫らし欠場したことはあるものの、練習や試合中にケガらしいケガを負ったことはない。11月17日で27歳になるレディ・C。大器晩成を地でいく最長身女子レスラーだ。

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