アカデミー賞の行方「ジョーカー」か「パラサイト」か「1917 命をかけた伝令」か

映画「ジョーカー」(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC
映画「ジョーカー」(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC

主演男優賞は「ジョーカー」のホアキン・フェニックスで決まりか

<主演男優賞>
アントニオ・バンデラス「ペイン・アンド・グローリー(英題)」
△レオナルド・ディカプリオ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
アダム・ドライヴァー「マリッジ・ストーリー」
◎ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
◯ジョナサン・プライス「2人のローマ教皇」

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 これはホアキン・フェニックスに決まりではないか。映画史上、最も危険な主人公というべきジョーカーを熱演。笑っても怒っても怖い。共感できないはずのキャラクターなのに、知らず知らずのうちに、その魅力に取り込まれている。「ジョーカー」は自身の健康、精神状態を保った上で鑑賞しないと、ダークサイドに落ちそうになる。候補者の中でも抜きん出ている。

<主演女優賞>
シンシア・エリヴォ「ハリエット」
◯スカーレット・ヨハンソン「マリッジ・ストーリー」
シアーシャ・ローナン「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
シャーリーズ・セロン「スキャンダル」
◎レニー・ゼルウィガー「ジュディ 虹の彼方に」

 レニー・ゼルウィガーが大本命。「ジュディ 虹の彼方に」は47歳で亡くなった伝説のミュージカル女優ジュディ・ガーランドの伝記映画。「オズの魔法使」で大ブレークしたものの、凋落。そんな中、子供を取り戻すため、英国のステージで再起をかけるガーランドの最晩年を熱演。「オーバー・ザ・レインボー」を始めとするパフォーマンスも見事だった。コミカルからシリアスまで幅広く演じられ、表情豊か。「コールドマウンテン」(2003年)の助演女優賞以来の受賞はなるか。スカーレット・ヨハンソンは主人公の母親を演じた「ジョジョ・ラビット」でも好演し、2部門でのノミネート。「アベンジャーズ」シリーズのブラックウィドーとはまったく違った顔を見せている。

<助演男優賞>
トム・ハンクス「ア・ビューティフル・デイ・イン・ザ・ネイバーフッド(原題)」
アンソニー・ホプキンス「2人のローマ教皇」
アル・パチーノ「アイリッシュマン」
◎ジョー・ペシ「アイリッシュマン」
ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

 昨年、「ROMA/ローマ」が外国語映画賞・監督賞・撮影賞の3部門で受賞したNetflix勢は「アイリッシュマン」「マリッジ・ストーリー」「2人のローマ教皇」が主要部門の候補に。ここでは5人中3人がNetflix勢となった。「アイリッシュマン」は回想録を基に、1950年代から80年代のアメリカ裏社会の人間模様を描く。テレビ画面よりも、大スクリーンがふさわしい210分の大作だ。アル・パチーノは数多くの映画でモデル、モチーフになっている全米トラック運転手組合委員長のジミー・ホッファ、ジョー・ペシはロバート・デ・ニーロ演じるヒットマンが仕えるマフィアのボスを演じた。一見、物腰の低い男だが、実は大権力者というキャラクターで、静かな凄みを見せる。同じくスコセッシ監督の「グッドフェローズ」(1990年)で助演男優賞を受賞しているが、それは30年前のこと。そろそろお声がかかってもいい頃。

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