俳優の古田新太が23日、都内で行われた、主演映画「空白」の初日舞台あいさつに登壇。松坂桃李、田畑智子、藤原季節、伊東蒼、寺島しのぶ、吉田恵輔監督も登場し、撮影エピソードを語った。

　本作は、「新聞記者」、「MOTHER マザー」のスターサンズ・河村光庸プロデューサーと「ヒメアノ～ル」、「BLUE/ブルー」の吉田監督がタッグを組み、オリジナル脚本で挑むヒューマンサスペンス。物語は、スーパーで万引きの疑いをかけられ、店長に追いかけられた末に事故死した娘の無実を証明しようとする父親が、店長を激しく追及するうちに、モンスターと化し、関係する人々全員を追い詰めていく姿を描く。

　暴走する父・添田充を演じた古田は、7年ぶりの映画主演。撮影を振り返り、「ずっとゲラゲラしてました。監督が誰よりも楽しそうでゲラゲラ笑って、誰よりも泣いた」と暴露すると、吉田監督は「涙もろいからすぐ泣いちゃうんだよ」とポツリ。

　添田に人生を握りつぶされていくスーパーの店長・青柳直人を演じた松坂とは、本作で映画初共演となる。劇中では迫真ある演技を見せた2人だが、撮影の合間は笑いが絶えなかったという。撮影は緊急事態宣言の直前まで行われたそうで、「非常に楽しい現場でした。皆さん、早く帰りたい人たちが多いんですよ。なるべくNGを出さないように、滞りなく進むようにっていう。ものすごいトゲトゲしいシーンばっかりだったので、その反動で終わったらすぐ飲みに行こうっていう感じでしたね」と当時を振り返った。

　その一方で、松坂とは距離があったそうで、「役作りをする人なんだけど、あんまり（僕と）仲良くしたくないみたいで……」と寂しそうに話した。すると、松坂は「毎シーン、毎シーン古田さんとのシーンのカロリーの消費量が高いんですよね。なので、とてもじゃないけど、飲みに行く気力が沸かないといいますか」と弁解し、続けて「僕は疲弊してホテルに帰るんですけど、なぜ、監督含め皆さん（飲みに）行けるのか不思議でしょうがなかった」と首を傾げた。

　また、藤原が古田との印象に残っているシーンについて、「定食屋さんでご飯を食べているシーンで、古田さんが目の前ですごい泣いていらっしゃるシーンで、カットになった瞬間、古田さんが僕が残したエビフライをパクパク食べていて、（気持ちが）混乱しました」と明かし笑いを誘うと、気持ちの切り替えについて古田は「それが役者の仕事です」と胸を張った。藤原は古田について、「真面目な話をした記憶がないけど、おおらかな方。帰りの新幹線でも『あのおじちゃん面白かったな』って思って。でも、完成した作品を見て、こんなにすごい人だったんだと思ってびっくりしました」と驚愕（きょうがく）していた。

　最後に古田は「見に来てくださった方の感想を聞きたいです。SNSとかツイッターとかで感想とか書いていただけると幸いです」と呼びかけた。