熊本旅館破壊事件の真相 泥酔していない船木誠勝と元猪木番記者が語った新事実

日本刀を持って大暴れしていた後藤達俊

 気づけば宴会場の各所で大なり小なりの争いごとが発生。レスラーだけではなかったという。「リング屋さんまでが乱闘し始めた。バカヤロー、なんだこのヤローって。前田、武藤らに触発されてそうなっちゃったのかな。巻き込まれたらどうしようと思っていました」(吉武氏)。旅館は崖のような場所に立っていた。レスラーが悪酔いして次々に嘔吐したため、洗面台やトイレが詰まって吐しゃ物が階段を下の階に向かって流れ落ちていた。「驚きました。パッと出たら水びたし」(吉武氏)

 そんな中、さまざまな逸話もある。

 まずは、ジョージ高野がドロップキック3連発で旅館の柱を破壊したというものだ。

 これについて吉武氏は「ドロップキックをしているのは見ました。見たんだけど、柱が折れるわけない。ゲロ吐いてました」と、うわさを否定した。

 また、後藤達俊は日本刀を持って大暴れしていた、と言われている。

 これについて吉武氏は「見ました」と証言。

「宴会が終わって、UWF勢が帰るときに、後藤が日本刀を振り回しながら『猪木連れて来い』『呼んで来い、コラ!』って。猪木さんに気づいていない。猪木さんが『なんだ、後藤』って言ったのはよく覚えています。みんなで大爆笑」

 船木も「模造刀が飾ってある旅館でしたから。目についたんでしょうね」と同意しつつ、後藤伝説について補足した。

「合宿所で後藤さんが包丁を振り回しているのは何回も見ました。誰かに投げつけてましたね。でも、ギリギリ当たらない。投げられるだけでも怖い。後藤さんがしゃべって望んでいる答えが返ってこないと飛んでくるんです」

 宴会の最後、めちゃくちゃになった室内を掃除していたのは猪木だったという声もある。

 吉武氏は「そうです。実はボクと一緒に掃除をしていました」と認めた。

 反対に、最初から最後まで、行動が思い出せないのが藤波辰巳(現・辰爾)だという。

 吉武氏は「掃除したときに藤波さんがいた記憶あるんですけど、何をしていたのか。大乱闘のときも見ていない」と首をひねった。船木も「ボクは藤波さんの付け人だったんですけど、全く分からないです」と、藤波の行動は謎に包まれているという。

 同様に謎なのがワールドプロレスリングで実況していた古舘伊知郎。自身は宴会への参加を否定いているが、かつてはその場にいたと語っていた。吉武氏は猪木と歓談している姿を確認していると主張した。水俣大会のメインは猪木、武藤、上田馬之助組VS外国人の6人タッグ戦で、テレビ収録の予定は山崎一夫、高田延彦組VS蝶野、越中詩郎組の試合だった。ただ、放送されたかどうかは分からず、古舘がその場にいたかどうかは、あやふやなままだ。

次のページへ (4/4) 乱闘に加わらずいち早く部屋に引き揚げていたのは
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