「100年に1人の逸材」をほうふつ 「100年に1人の貴公子」がDDT躍進の切り札【連載vol.56】

「DDTの貴公子」上野勇希が「恥しらずのカリスマ」佐々木大輔とのユニバーサル王座を巡る攻防で、またまた一回り大きくなった。

また成長した“100年に1人の貴公子”上野勇希【写真:柴田惣一】
また成長した“100年に1人の貴公子”上野勇希【写真:柴田惣一】

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「DDTの貴公子」上野勇希が「恥しらずのカリスマ」佐々木大輔とのユニバーサル王座を巡る攻防で、またまた一回り大きくなった。

 8・21神奈川県川崎市・富士通スタジアム大会で、ユニバーサル王座V7戦に臨む上野。ベルトを強奪され、額をカチ割られ、調印式では不意打ちを許した。その上、佐々木に「甘いな! 俺をそっちから挑戦者に指名しておいて、何も考えていない。元々、やつのファイトにも言葉にも心がこもってない」と言いたい放題“口撃”されてしまった。

 上野は佐々木にほんろうされた1か月を「自分で窮屈な状態に追い込んでしまっていた」と反省。佐々木の掌で踊らされていたことを素直に認めた。

 ただし、ここにきてすっかり開き直った。というか、自分自身を改めて見つめ直すことができたようだ。「僕の原動力は怒りではない。怒りを楽しみ、面白がれるのが僕。正直、頭に血が上っていたのは確かだけど、8・15後楽園ホール大会で佐々木さんに流血させられ、冷静になれた」とキッパリ。あまりに血気盛んなのは上野らしくない。貴公子らしい対処法で自分を取り戻していた。

 8・21富士通スタジアム大会では、たまりにたまった怒りのエネルギーを貴公子流に昇華させ、佐々木にぶつける。佐々木の恥しらず殺法も「ああ、こうきたか。こんなこともするんだ」と楽しみ、面白がるつもりだ。

 佐々木を退けV7を果たし、2020年に初代王者が誕生した「若きベルト」に、重みをもたせる。DDTの最上位ベルトとされるKO-D無差別級王座を3度、獲得している佐々木を一蹴することで「無差別級王座のベルトと比べると…」という佐々木を黙らせられる。

 ユニバーサル王者としてKO-D王者との対決も期待されるが、上野は「僕はベルトが欲しいわけではない。強い人と闘いたいんだ。そのためにもユニバーサル王座の価値を高めていきたい」とズバリ。今のところ、KO-D無差別級王座は眼中にないという。

 小顔で上品なたたずまい。王子様の格好が似合いそうだとファンの間で評判だ。確かに現在の上野は「若きベルトを腰に巻く若き貴公子」がふさわしいのかも知れない。

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