「NHKスペシャル」を目指した「『宇宙戦艦ヤマト』という時代」 監修が明かす制作秘話

映画「『宇宙戦艦ヤマト』という時代 西暦2202年の選択」【写真:(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会】
映画「『宇宙戦艦ヤマト』という時代 西暦2202年の選択」【写真:(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会】

福井氏「もっと未来になったら、毎年、宇宙人が来る時代もありうるんじゃないか」

 ヤマトの世界観をどう捉えているか。「ヤマトって、毎年のように新しい宇宙人が地球にやって来る時代ですよね。子供の頃はそれが馬鹿らしく思えて、『ガンダムの方がリアルっぽいぜ』って、そっちに流れたわけですけども、今こういう時代になって、どっちがリアルなのかを考えます。21世紀になって以降、考えうる最悪が次から次へと更新されています。こんな時代なのだから、もっと未来になったら、毎年、宇宙人が来る時代もありうるんじゃないか、と思うんです」(福井氏)。

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 オリジナル版のヤマトにあるのは70年代に漂っていた終末思想だという。「ノストラダムス、『日本沈没』もあって、石油ショックがあって、世の中の資源に限りがあることを知って、絶望を覚えた」(福井氏)、「ある日突然、核ミサイルが降ってきて、世界が終わるみたいものがあった。でも、実際はノストラダムスが予言した1999年の滅亡もなかった。でも、じりじりとした閉塞感があった20年間だったと思うわけです。そういった中でヤマトを捉え直すっていうのはすごく意味のあることだと思うんですよね」(皆川氏)。

 この総集編に続く新シリーズ「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」は「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」(81年)のリメイク。ストーリーラインは継承するものの、テーマは大きく捉え直しているという。

 時代を超えて、愛されるシリーズを手掛けることに福井氏は「プレッシャーは感じない」とキッパリ。「ターゲットは40代後半~60歳が中心。20~30代に投げた作品の方がバズるから、日本ではこの世代に向けたものがないわけです。ヤマトを見ていた人間から見ると、今の世の中は悪夢のような未来。そんな世代が今を見つめ直し、これから生きることに背中を押してあげられる作品を目指している。その結果、若い子もついてくればうれしい。まだ、ブームの頃の熱量は取り戻していない。まだ見てない人は大勢いるので、そういう人に向けて作りました」

 新シリーズにも参加する皆川氏も「福井さんは物語で何かができると思っている人。2時間の作品を見ることで、人生がいくばくかは変わってくるかもしれない、と思っている。それが、福井さんが物語を作る上の個性で、生き方でもある。そこに共感しています」と話している。

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