コロナ禍で閉館「アップリンク渋谷」、“最後の新作興行作品”が決定 20日に26年の歴史に幕

映画「ゾッキ」製作の舞台裏を描いた、篠原利恵監督のドキュメンタリー映画「裏ゾッキ」が14日に公開されることが決定した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、20日に閉館するミニシアター「アップリンク渋谷」(東京)の最後の新作興行作品となる。

映画「裏ゾッキ」のポスタービジュアル【写真:(C)2020「裏ゾッキ」製作委員会】
映画「裏ゾッキ」のポスタービジュアル【写真:(C)2020「裏ゾッキ」製作委員会】

26年の歴史をもつミニシアター「アップリンク渋谷」は20日閉館

 映画「ゾッキ」製作の舞台裏を描いた、篠原利恵監督のドキュメンタリー映画「裏ゾッキ」が14日に公開されることが決定した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、20日に閉館するミニシアター「アップリンク渋谷」(東京)の最後の新作興行作品となる。

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 公開中の映画「ゾッキ」は竹中直人、山田孝之、齊藤工が共同監督を務めた作品。ありふれた日常をシュールに、いじめられっ子やはみ出し者、完璧でない人間の姿をくだらなくも愛おしく描いたヒューマンコメディーだ。音楽はCharaが主題歌「私を離さないで」を息子のHIMIと歌っている。

 そんな話題作「ゾッキ」の舞台裏を撮影したのが、「裏ゾッキ」だ。2020年1月の撮影準備から21年4月の全国公開、撮影地・愛知県蒲郡市の凱旋上映までの500日間を追いかけた。「ゾッキ」出演者である松井玲奈がナレーション、竹原ピストルが主題歌を務めている。

 当初は、竹中、山田、齊藤監督、映画人たちのものづくりの裏側を深堀りしながら、映画が来たことで大騒ぎになる町と、奮闘する市民の姿を追いかけ、両者の絡み合いを描くドタバタコメディーとなるはずだった。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、それだけでは終わらなかった。コロナ禍の緊急事態宣言下における人々の困惑と葛藤だ。映画に町の未来を託した、市民たちの私生活は窮地に追い込まれる。混乱の中で突きつけられたのは、「いま、映画は必要なのか?」という問いだ。映画の存在を改めて考えさせられることになった。

 また、「裏ゾッキ」はくしくも、5月20日に26年の歴史に幕を閉じ閉館する、ミニシアター「アップリンク渋谷」の最後の新作興行作品になることが決定した。

 アップリンク渋谷は東京のインディペンデントカルチャーの中心地であったが、新型コロナの打撃を受け設備投資のタイミングで存続が困難になったと発表している。

 伊藤主税、山田孝之プロデューサーは19年10月、映画本編の魅力と、裏側にある映画人の情熱を一緒に届けようと、アップリンク渋谷で「デイアンドナイト」(藤井道人監督)と、その舞台裏をとらえた「TAKAYUKI YAMADA DOCUMENTARY No Pain, No Gain」(牧有太監督)の交互上映イベントを行なっていたが、「裏ゾッキ」の企画は実際にこのイベント内で生まれている。

「ゾッキ」「裏ゾッキ」の交互上映は“ルーツ”であるこのアップリンク渋谷からスタートし、ミニシアター中心に全国50館へ拡大を目指すという。

 伊藤プロデューサーのコメント全文は以下の通り。

「僕らだけでなく、映画人にいつも寄り添い続けてくれたアップリンク渋谷が閉館するとうかがい、多くのクリエイティブに関わる方々が心を痛めた事と思います。今後の我々の映像文化の発信に大きな影響がある事は間違いないです。しかし、僕らは映像文化の発信を止めてはいけない。

 何故なら“映画は必要だと思うから”。

 映画『裏ゾッキ』は“いま、映画は必要なのか”をテーマに映画『ゾッキ』の制作過程の裏側、500日を篠原利恵監督が愛情持って切り取ったドキュメンタリー映画です。映画『裏ゾッキ』と『ゾッキ』の交互上映で、映画が出来る経過と結果を同時に届けさせて頂き、“映画や映画制作がもたらすもの”を受け取って頂ければ幸いです。

 アップリンク渋谷、伏見ミリオン座、刈谷日劇を皮切りに、ミニシアター中心に全国50館拡大を目標に交互上映をスタートさせて頂きます。作品を通じて物作りや作品に対する想い、もはや意地みたいなものを伝えさせて頂きます。アップリンク渋谷と過ごした時間を次に繋げていく為に」

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