【プロレスこの一年 ♯39】猪木と前田、明暗分けた異種格闘技戦 元横綱・輪島のプロレスデビュー 86年のプロレス

具志堅用高さん(左)とガッツ石松さんが輪島を激励(86年12月)【写真:平工 幸雄】
具志堅用高さん(左)とガッツ石松さんが輪島を激励(86年12月)【写真:平工 幸雄】

横綱・輪島がプロレス転向と全日本入団を発表

 全日本はこの年、長州力初の異種格闘技戦で幕を開けた。元日興行の後楽園で長州はパワーリフティング王者スコット・マギーと対戦し勝利を飾ると、2・5札幌では谷津嘉章とのコンビでジャンボ鶴田&天龍源一郎組を破りインターナショナルタッグ王座を奪取。全日本タッグの至宝がジャパンプロレスに流出した。

 3・13日本武道館では全日本VSジャパンの6対6全面対抗戦がシングルマッチで行われ、石川敬士(全日)と小林邦昭(ジャパン)が引き分け、サムソン冬木(全日)、キラー・カーン(ジャパン)、鶴田(全日)、長州(ジャパン)が栗栖正伸(ジャパン)、マイティ井上(全日)、アニマル浜口(ジャパン)、タイガーマスク(2代目=全日)にそれぞれ勝利。メインの天龍(全日)VS谷津(ジャパン)は30分時間切れ引き分けで、対抗戦は2勝2敗2分けの五分に終わった。この大会には元・新日本のカルガリー・ハリケーンズ(スーパー・ストロング・マシン、ヒロ斉藤、高野俊二)が来場し視察。4月1日から全日本マットに参戦することとなる。

 3・29後楽園では、AWA世界ヘビー級&PWFヘビー級王者スタン・ハンセンとインターナショナルヘビー級王者・鶴田がトリプルタイトルマッチも、両者リングアウトでともに防衛。4・5横浜ではハンセンに長州が挑戦。長州が反則勝ちとなり、規定からPWF王座のみが移動した。

 4月13日には大相撲第54代横綱・輪島大士がプロレス転向と全日本入団を発表。18日にアメリカ修行へと旅立った。また、全日本では7月28日に元幕下・琴天山(ジョン・テンタ)の入団も発表、プロレスラーとしてデビューさせている。

 7・31両国では、AWA世界ヘビー級王者ハンセンがインターナショナルヘビー級王者・鶴田を破り2冠王に。長州はジャパン離脱のカーンとのシングルマッチに勝利。ヒロ斉藤がブラッド・アームストロングとの王座決定戦を制し、初代世界ジュニアヘビー級王者となった。ハンセンにベルトを奪われた鶴田だが、10・21両国でインター王座を奪回。この大会では長州がテリー・ファンクを破り、PWFヘビー級王座を防衛した。

 海外修行を終えた輪島が11月1日、故郷・七尾で日本デビュー戦。タイガー・ジェット・シンの狂乱ファイトに対抗し、両者反則という初陣だった。暮れの「86世界最強タッグ決定リーグ戦」は12・12武道館で優勝チームが決定。鶴田&天龍組がハンセン&テッド・デビアス組を破り最高得点。86年の覇者となった。

 この年、女子プロレスでは2月15日に全日本女子のジャガー横田が引退。4月5日には全女初の両国大会が行われ、長与千種がダンプ松本を破り空位のオールパシフィック王座を獲得。ライオネス飛鳥がデビル雅美のWWWA世界シングル王座に挑戦したが、引き分けにより王座奪取はならなかった。5・13横浜ではクラッシュ・ギャルズ対決が行われ、長与と飛鳥がドロー。試合後、飛鳥が芸能活動の停止を宣言した。

 8月17日には女子の新団体ジャパン女子プロレスが後楽園で旗揚げ。ジャパン女子は1月30日に発足会見を行い、元全女のジャッキー佐藤&ナンシー組が復活宣言、その後、元シュートボクサーの風間ルミ、元柔道全日本3連覇の神取忍が入団した。旗揚げ戦のメインはジャッキーVS神取で、復帰戦のジャッキーがデビュー戦の神取に勝利した。10月7日の旗揚げ第2戦では早くも大阪城ホールに進出。ジャッキーVS神取の再戦が行われ、ジャッキーの連勝となった。

 大阪城ホールでは全女も11月7日にビッグマッチを開催。長与VSダンプの敗者髪切りマッチで長与が勝利し、前年8・28同所でのリベンジを達成、ダンプを丸刈りにしてみせた。(文中敬称略)

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