急逝した「おたく評論家」宅八郎さんの実弟が明かす兄の知られざる素の姿、晩年の様子

「おたく評論家」宅八郎さん(本名:矢野守啓さん)が8月11日に亡くなっていたことが、12月4日に明らかになり驚いたファンも多かった。ENCOUNT編集部では実弟の雄康(たけやす)さんに緊急取材。お兄さんの思い出や知られざる素顔を語ってもらった。

2018年9月、浜松で釣りに出かけたときの宅八郎さん【写真:矢野雄康さん提供】
2018年9月、浜松で釣りに出かけたときの宅八郎さん【写真:矢野雄康さん提供】

訃報は内縁の妻の嘆きを尊重し発表した

「おたく評論家」宅八郎さん(本名:矢野守啓さん)が8月11日に亡くなっていたことが、12月4日に明らかになり驚いたファンも多かった。ENCOUNT編集部では実弟の雄康(たけやす)さんに緊急取材。お兄さんの思い出や知られざる素顔を語ってもらった。

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 兄が亡くなってから4か月近くたってみなさんにお知らせしたのは、家族としては兄が最後にテレビなどに出ていた頃からもう10年以上たつし、お騒がせもいろいろしたので、亡くなったことをお知らせしたら、また兄のことを悪く書かれるんじゃないか、とか、そもそもお知らせするほどのことなのか、分からなかったからです。

 でも、兄が10年ほど前から一緒に暮らしてきた内縁の妻の嘆きが大きく、せめて兄の付き合いが深かった方にお知らせすることにしました。世間にどう思われても、妻にとっては兄は大事な人ですから。一部のお知らせした方から、もしかしたらマスコミに知られニュースに取り上げられるかもな、と考えていましたが、こんなに多くの方が嘆いてくださるとは思っていなかったので、驚きでもあります。

 兄はとにかく子どもの頃から普通と違っていましたね。僕たち兄弟は男3人で、兄は長男、僕は6歳下の末っ子。兄が高校を卒業し大学入学のために上京するまでの12年間しか一緒に暮らしていなかったんですけど、兄は高校生のときに特撮映画を8ミリで作って、僕はそれを手伝わされたりしていました。運動が苦手で長髪で。上京してからあか抜けて髪を短く切っていましたけど、それまではテレビに出たときのように髪は長かったんですよ。子どもの頃はそれがちょっと恥ずかしくて、「自分の友達にはあまり会わせたくないな」なんて思っていました。

テレビでは気持ち悪いオタクを演出、素顔は…

 兄が毎週、テレビに出ていたときは、「あれ以上気持ちが悪い人を見たことがない」と思いましたね。友達と飲み屋で飲んでいて、友達が僕の隣にいる若くてキレイな女性に「この人、宅八郎の弟なんだよ」と言うと、「えー!」なんて言われて、急に離れられちゃったりして、「やっぱり、そんなに気持ち悪いのか」とガックリしたこともありました。でも、兄はテレビではオタクを演じていたんですよ。「オタクっていったい、何ものなんだ?」という時代に、それを演じて見せていたのだと思います。歌手・森高千里さんのファンというのも、本当のところではなかったと思いますよ。

 素顔の兄は朝鮮語をしゃべることができ、音楽を作るミュージシャンの顔ももっていました。本当にありとあらゆることに詳しくて、特に興味を持ったことには徹底的に調べるので、「そこまで調べるのかよ」と、よく思っていました。優しい一面もありました。僕がヒップホップ好きで、日本のヒップホップのパイオニア的存在のECDさん(故人)のファンだと知ると会わせてくれたり、僕が頼む前にサインをもらってきてくれて嬉しかったですね。

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