「マニュアル車にはもう乗れない」失意の病床でNSX“衝動買い” 「いいリハビリになりました」寝たきりからの再起
「マニュアル車にはもう乗れない」。不慮の事故で寝たきりとなり、失意の病床で見ていたカタログで“衝動買い”したという1台が、その後の人生を変えた。「いいリハビリになりました(笑)」。すべてはNSXのハンドルを握るため……。オーナーの再起を促した愛車物語を聞いた。

【愛車拝見#381】事故で寝たきりに、失意の病床で見ていたカタログで“衝動買い”
「マニュアル車にはもう乗れない」。不慮の事故で寝たきりとなり、失意の病床で見ていたカタログで“衝動買い”したという1台が、その後の人生を変えた。「いいリハビリになりました(笑)」。すべてはNSXのハンドルを握るため……。オーナーの再起を促した愛車物語を聞いた。
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建設関係で働く59歳男性は10年ほど前、仕事中の事故で左肩の粉砕骨折と、右脚の半月板損傷という大けがを負い、寝たきりの生活を余儀なくされた。「中学から免許を取りたくて仕方なかった」という根っからの車好き。もうマニュアル車は運転できないかもしれないという病床での生活は、こたえるものがあったという。
「今まで乗った車は20~30台くらいかな? もう覚えてないよ。18歳のときに初めてダイハツ・ミラを買って、改造費だけで200万円以上かけちゃった。22歳のときに15万円で買ったホンダ・N360は機嫌が悪いとすぐ駄々をこねてね。かみさんと遠出して、帰りは電車で帰ってくるなんてこともよくあった」
33歳のとき、新車価格450万円のマツダ・RX-7 FD3Sを5年ローンで購入。それまで軽自動車しか持ったことのなかった男性は、ますます車趣味にのめり込んでいった。
「エアコンのついた車にも乗ったことがなかったから、暑いからと我慢してたけど、『やっぱり車体は黒がかっこいいね!』なんてかみさんと話して。初めてのエアコンに感動して、効きが良すぎて2人で腹を下しました(笑)。それこそ改造費だけでもう1台買えるくらい。やりたいことは全部やった」
気付くとRX-7ばかり、3台持ち、4台持ちという時代もあったという。「新車価格450万円の限定仕様のRX-7も持ってた。『あれ? ひょっとしてこれNSX買えるんじゃない?』と思った矢先の出来事でした」。不慮の事故で入院生活を強いられた。
「左肩をやられたもんだから、左腕が思うように動かない。マニュアル車にはもう乗れないと思った。パドルシフトならどうかとか、病院でいろいろとカタログを見てたら、この初代NSXを見つけてね。『パワステ(電動パワーステアリング。ハンドル操作を補助する機能)がついてるなら、マニュアルでも何とかなるか?』と2日で即決、700万円で衝動買いした車でした」
ところが納車後、マニュアル仕様の1991年式初代NSXには、パワーステアリングがついていないことが判明。「そんな、平成の車なのに……と思いましたよ。でも、あれが人生を見直すターニングポイントになった。やれることをやろう。リハビリ費用に700万円払ったと思えばいいやと」。まさかの誤算が復帰への決意を固めた。
懸命なリハビリは7年にも及んだ。当初は右腕でシフトレバーを操作したこともあったが、その後左腕は劇的に回復。今では自慢の愛車を各地のイベントへと走らせる。「やりたいことやって、楽しいのが一番。リハビリ費用に700万円と言ったけど、今は旧車の価格がどんどん上がってる。元を取ったどころか、体を直して貯金まで作ってくれた恩人ですよ」。愛車に目を細め、男性はそう結んだ。
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