「赤ちゃんがかわいそう」生後4か月で2000メートル登山が炎上 “子連れ登山”経験者の医師が教えるリスクとは
生後約4か月の乳児を抱え、標高2000メートル級の山頂に連れて行ったとのSNS投稿が拡散、物議を呼んでいる。ネット上では「高山病にならないか心配」「もし転んだら一大事だろ」といった批判の声が寄せられているが、実際のところ、乳幼児を連れての登山にはどんなリスクがあるのか。国際認定山岳医の資格を持ち、自身も乳児の娘を連れて登山をしていたという帝京大医学部附属溝口病院の三井愛医師に見解を聞いた。

生後約4か月の乳児を連れ、標高2354メートルの山に登頂したとのSNS投稿が炎上
生後約4か月の乳児を抱え、標高2000メートル級の山頂に連れて行ったとのSNS投稿が拡散、物議を呼んでいる。ネット上では「高山病にならないか心配」「もし転んだら一大事だろ」といった批判の声が寄せられているが、実際のところ、乳幼児を連れての登山にはどんなリスクがあるのか。国際認定山岳医の資格を持ち、自身も乳児の娘を連れて登山をしていたという帝京大医学部附属溝口病院の三井愛医師に見解を聞いた。
話題の投稿は今月11日、SNS上で拡散。生後約4か月の乳児を連れ、夫婦で日本百名山のひとつ、標高2354メートルの四阿山(あずまやさん)に登頂したとの内容で、山頂でミルクを与える様子などが収められている。
ネット上では「他人事ながら心配になる」「体調急変や高山病の症状が現れたら、医者に診てもらうまで何時間もかかるだろうに」「まだ首すわってすぐやん」「赤ちゃんがかわいそう」といった批判の声が寄せられている。一方で、「バスで行ける観光地の富士山5合目も同じくらいの標高だけど」「ネパールとか標高4000メートルで生まれる赤ちゃんもいる」「飛行機だって同じくらいの気圧じゃない?」といった疑問の声もあり、大きな議論となっている。
国際認定山岳医の資格を持ち、富士山八合目救護所での勤務や山岳救助の経験もある三井医師は「大人でも標高1500メートルから高山病のリスクはあります。成長段階にある乳幼児は大人の2倍の酸素が必要で、仮に高山病を発症した場合は急激に重症化する可能性もあります」と解説する。
「問題は、赤ちゃんは自分で体調不良を訴えられないということ。はたして、泣いたりグッタリしてしまう前に、親が赤ちゃんの体調変化に気が付けるでしょうか。また、1歳未満は腎機能がまだ未熟。乳幼児は身体の中の水分含有率が高く、体重あたりの体表面積も大きいため、熱中症や脱水症状、低体温症にも陥りやすい。だから登山は一律禁止ということはありませんが、親がそれらのリスクを分かった上で、適切に管理できるかということに尽きます」
ネット上で指摘のあった富士山の5合目や飛行機内の気圧、高地生まれの赤ちゃんについては「気圧の急な変化が問題なので、日常的に高地で生活することに問題はありません。また、飛行機の気圧は概ね標高2000メートル程度と同等と言われており、基礎疾患がなく健康な子であればこのくらいまでは大丈夫という基準に調整されています。また、飛行機内では負荷の高い運動や危険な行為をしないという点も登山とは異なります。高山病という観点なら、危険なのはむしろ富士山の5合目(標高2400メートル)や立山・室堂(標高2450メートル)、乗鞍スカイライン(標高2702メートル)など、車やロープウェイで行けてしまう観光地の方。登山よりも急激に標高が上がるため、高山病の発症リスクもそれだけ高くなります」と危険性を語る。
アウトドアメーカー各社からは生後数か月~4歳くらいまでの子どもを背負って登山を楽しめる「ベビーキャリア」などの製品も販売されており、子連れ登山自体は一概に否定されるものではない。過去には三井医師も、首が座ったばかりの生後3か月の娘を担いで登山を行っていたという。乳幼児を連れて登山を行う際にはどんなところに気を付ければいいのか。
「何歳だったら、標高何メートルまでならと一律に言うことはできません。親も子も、転倒の心配がない整備された低山から徐々にステップアップしていくのであれば、他人に迷惑をかけない範囲ならどこに行ってもいい。とはいえ、現実的に小学校入学くらいまでは、標高1000~1500メートルくらいの低山で、すぐにエスケープ(緊急下山)できるようなところに行くのが望ましいと思います」
賛否が分かれる子連れ登山だが、感情的に否定するのではなく、リスクを正しく理解し判断することが大切なようだ。
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