「なぜこんなことを…」絶滅危惧種の鳥の巣にイタズラ? 懸命に卵を探す親鳥に「胸が痛い」

「非常に残念で仕方ない」──絶滅危惧種の野鳥「シロチドリ」が砂浜に作った巣に何者かが砂をかけ、卵を見失った親鳥が営巣を放棄するという、人為的被害を捉えた映像がSNS上で公開され、憤りの声が広がっている。映像を公開した保護団体に詳しい話を聞いた。

砂浜で営巣する絶滅危惧種のシロチドリ【写真:にいがた浜辺のチドリんず提供】
砂浜で営巣する絶滅危惧種のシロチドリ【写真:にいがた浜辺のチドリんず提供】

「非常に残念で仕方ない」──絶滅危惧種の野鳥「シロチドリ」が砂浜に作った巣に何者かが砂をかけ、卵を見失った親鳥が営巣を放棄するという、人為的被害を捉えた映像がSNS上で公開され、憤りの声が広がっている。映像を公開した保護団体に詳しい話を聞いた。
 
◇ ◇ ◇

保護柵の上から砂…卵を探し続ける親鳥

「保護柵を設置していたシロチドリの巣が人により故意に砂で埋められました。その後、親鳥は卵を探し回りましたが、卵を見つけられず営巣放棄してしまいました。トレイルカメラでの撮影です。巣に直接関与することは鳥獣保護管理法違反にあたります。ご協力ください。非常に残念で仕方ないです」

 15日、Xにこう投稿したのは、新潟県でシロチドリの保護と海岸環境の保全活動に取り組む「にいがた浜辺のチドリんず」。同団体は「これから海が大好きになる人のために。海が楽しい場所であり続けるために。」をスローガンに活動。新潟県内におけるシロチドリの繁殖状況や生息環境の調査、関係機関の許可を得た上での保護柵の設置、砂浜環境についての啓発などを行っている。

 シロチドリは、春から初夏にかけて砂浜などに小さな卵を産み、ペアで子育てする愛らしい野鳥だ。長い脚が特徴で、体はスズメよりやや大きい。近年は急速に数を減らしており、環境省のレッドリストで絶滅危惧II類に選定されている。

 投稿に添えられた映像は、14日に中越地方の海岸で撮影されたもの。動画内の時刻は午前11時30分ごろを示しており、卵を温めていた親鳥が巣を離れている間に何者かが保護柵の上から砂をかける様子が確認できる。巣は砂で埋められてしまい、戻ってきた親鳥はペアで必死に卵を探し回ったが、2時間ほど探し続けても見つけることはできず、最終的に巣から離れた。その後、親鳥が戻ることはなかったという。

「にいがた浜辺のチドリんず」の隊長・渡邉キララさんはENCOUNTの取材に対し、シロチドリは危険を感じると巣から離れ、外敵の注意を引く習性があると説明。そのため、何者かが近づいてきた時に親鳥があえて巣を離れた可能性がある。一方、砂をかけた人物の属性や目的については確認できておらず、団体として推測は控えているという。

 この投稿に対して、SNS上では「あまりにかわいそう、ひどすぎる」「本当になぜこんなことするんだろ……」「シロチドリの悲しそうな表情を見てると胸が締め付けられる」など、困惑と憤りの入り混じった声が寄せられた。

巣や卵に手を加える行為「法令上の問題となる可能性」

 一部では「ウミガメの卵だと思って砂に埋めたのでは」などと、善意や誤認の可能性を指摘する声もあったが、巣を守るために設置された保護柵には鳥の巣があることや、親鳥が警戒しないよう巣から離れてほしいことを呼びかける掲示物も添えられていたという。

 卵がある巣に人為的に手を加える行為について、渡邉さんは「鳥獣保護管理法上の問題が生じる可能性があると認識しています」と話す。現時点で警察への通報は予定していないが、後日、関係機関へ事実関係の情報共有を行うという。

 同団体が把握している範囲では、巣への人為的な被害が確認された事例は今回が初めて。しかし他団体では過去に、卵が割られたり、カメラや柵が盗まれたりする事案が報告されている。

 大きな反響を呼んだ今回の動画。渡邉さんは「鳥の巣や卵に手を加える行為が法令上の問題となる可能性があることを知っていただくための注意喚起として発信しました」と投稿の意図を明かす。

 砂浜は人間にとってレジャーを楽しむ場である一方、生き物たちが命を育む場所でもある。渡邉さんは「シロチドリは砂浜で繁殖する身近な野鳥です。砂浜は多くの生き物が利用する環境でもあります。海を利用する皆さまと生き物が共存できる環境について関心を持っていただければ幸いです」と呼びかけている。

次のページへ (2/2) 【写真】「なぜこんなことを」シロチドリの巣に砂をかける人物 実際の写真
1 2
あなたの“気になる”を教えてください