「ジュリー氏はなんとしてでも自分から話すべきだった」 ジャニーズ会見、危機管理の専門家が分析

ジャニーズ事務所が2日、都内で2度目の会見を開いた。9月7日の会見から一転、ジャニーズ事務所を「SMILE-UP.」(スマイルアップ)と社名変更し、タレントのマネジメント機能は新会社に分離させるなど、新たな方向性を打ち出した。1回目の会見後は内容が不十分だとして、なだれ式にスポンサー離れを引き起こしたジャニーズだったが、今回の会見はどう受け止められたのか。危機管理の専門家に聞いた。

2回目の会見を開いた東山紀之社長【写真:山口比佐夫】
2回目の会見を開いた東山紀之社長【写真:山口比佐夫】

前回スポンサー離れを起こしたジャニーズの会見 新たに見えた収穫と課題

 ジャニーズ事務所が2日、都内で2度目の会見を開いた。9月7日の会見から一転、ジャニーズ事務所を「SMILE-UP.」(スマイルアップ)と社名変更し、タレントのマネジメント機能は新会社に分離させるなど、新たな方向性を打ち出した。1回目の会見後は内容が不十分だとして、なだれ式にスポンサー離れを引き起こしたジャニーズだったが、今回の会見はどう受け止められたのか。危機管理の専門家に聞いた。

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 会見には、東山紀之社長、ジャニーズアイランドの井ノ原快彦社長、9月30日付でチーフコンプライアンスオフィサー(CCO)に就任した山田将之弁護士、顧問の木目田裕弁護士が出席した。前社長の藤島ジュリー景子氏は体調不良を理由に出席せず、井ノ原によって手紙が代読された。

 かつて日本バスケットボール協会の裁定委員長を務め、全日本柔道連盟の改革に携わった広報・危機管理コンサルタントの山見博康氏は、「東山、井ノ原の両氏が誠実に答えていた。きつい質問が出てもいら立たず、難しい質問でも言葉を選んで伝えようという気持ちが現れていた」と評価。東山を社長、井ノ原を副社長とする新会社の設立やジャニーズの社名変更など、新体制の発表についても「明解に回答していた」と、好印象だったと受け止めた。

 具体的には「まず新会社がジャニーズと一切決別したこと。そして、SMILE-UP.が補償をいつまでも、1人残さずやっていく姿勢を見せたこと」と指摘。さらに「CCOを設け、今後、人権問題や内部通報制度に注力する姿勢を示したのは、体制としてプラス材料」「新エージェント会社の社名はファンクラブメンバーで公募すると宣言したことは、ファンを大事にしていることを明確に示し、とても良かった」と、山見氏は続けた。

 一方で、山見氏が苦言を呈したのが、ジュリー氏の欠席だ。パニック障害を起こす可能性があることが欠席の理由としたが、山見氏は「ジュリー氏はなんとしてでも自分から話すべきだった。そのほうが説得力があったと思う。レターで自分の言いたいことを言ったということでしょうけど、姿勢としては会見に出るべきで、そこはとても残念」との見方を示した。

 もちろん、体調面は考慮してのこと。ただ、ジュリー氏は被害者救済の責任者。ジュリー氏は手紙の中で、「社名を変えるだけでなく、ジャニーズ事務所は廃業する方針を固めました」「ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたいと思います」と、はっきりと述べていた。これが“生の言葉”だったら…という思いがこみ上げる。さらに東山は会見中、ジュリー氏について、「日本にはおりますが出席しない。体調は悪くはないと思います」とも発言した。実際、どこまで体調が悪いのかは会見からは分からなかった。ジュリー氏の手紙には「逃げた、ひきょうだと言われることは重々承知」と、批判が上がることを覚悟するようなコメントもあった。

 山見氏は、企業の不祥事や新体制に関する会見にトップが参加することの意味を強調。

「1回目より、今回の会見のほうが重要。寝込んでいるとかそういうことなら別ですが、東山さんが『体調はどうですか?』と聞かれて、悪くないって言っていたじゃないですか。長く会見にいられないなら、短時間でもよかった。読み上げるものは読み上げたらいい。その後、自分の言葉で、『できる限り、被害者全員の言葉を聞きます』と声を絞って訴えるべきだった。紙っぺらを人に任せて、こんなもんダメですよ。だから補償は大丈夫か? 財源も大丈夫か? と心配になる。体制的には完全に決別してやるという決意があるんだけど、(補償への)決意がない。ちゃんと私がやりますというなら、杖をついても来るべきですよ」と、説いた。

 また、山見氏は、新会社の発表について「ベンチャーとは違う。おそらく数百人が関わる大会社。経営のブレーンを入れたり、しかるべき第三者にナンバー2としてサポートしてもらいますとか、そういうメッセージがあったらよかった」と、分析。不祥事が続発した全柔連が外部から経営者をトップに据えて再建した実例を出し、「状況は似ている。今は大改革の時期。2年間でもいいから、大きな組織の経営にたけた人が必要」と主張した。具体的には、経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリーホールディングス社長)のような経験豊富な経営者を招へいし、改革を進めるべきとの考えを示した。

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