最速137kmの高校球児→柔道黒帯→性転換でプロレスラーに…「女性として認められたことが嬉しくて」 エチカ・ミヤビの告白
エチカ・ミヤビ。テレビ番組でも、その名を聞いたことがあるかもしれない。彼女は性転換手術を受けた、トランスジェンダープロレスラーだ。PPP TOKYOという、個性の塊が集まったリングでデビューし、長与千種率いるマーベラスにも定期的にも参戦している。ミヤビへのインタビュー前編では、学生時代そしてプロレスラーになるまでを聞いた。

海外生活とコロナ禍がきっかけで、自分も好きなように生きていいのかと思えた
エチカ・ミヤビ。テレビ番組でも、その名を聞いたことがあるかもしれない。彼女は性転換手術を受けた、トランスジェンダープロレスラーだ。PPP TOKYOという、個性の塊が集まったリングでデビューし、長与千種率いるマーベラスにも定期的にも参戦している。ミヤビへのインタビュー前編では、学生時代そしてプロレスラーになるまでを聞いた。(取材・文=橋場了吾)
エチカ・ミヤビは、学生時代はソフトボール、そして野球に打ち込んでいた。
「母親がソフトボールをやっていて、叔父も野球が好きで。家全体の雰囲気でやっていた感じです。高校のときには、(ピッチングの)球速は最高で137キロでしたね。神奈川県の公立高校だったんですが、甲子園は無理ですよ、この地域では(笑)。私立推薦という選択肢もあったんですが、怪我したらどうしようもないので……先輩で怪我をして退学したケースも見ていたので。なので、強豪校にいたわけではなく、私がたまたま速かっただけです」
しかしミヤビは肘を壊してしまい、野球を続けることを断念。代わりに柔道を始めた。腕を極力使わないようにしながらも、黒帯を取得した。
「高校2年の春くらいに、投げたときに痛めちゃって……。母に『(就職先は)どうしたいの?』と聞かれたときに、消防署か警察かなあと。頭は良くなかったですし、体を使うしかないと(笑)。柔道は段位を取るためにやっていた感じで、足払いのような肘に負担のかからない技を中心にしていました」
世界的にコロナ禍となった2020年代初め、ミヤビは大学に入学しオーストラリアへ留学。その留学先で、性別に関する自由に接する。ミヤビが中学時代から抱いていた、心の葛藤が解放されることになる。
「私が自分の心の葛藤に気づいたのは、中学校のときなんですが、その頃はまだLGBTという言葉が今ほど一般的ではなかったんです。私がその言葉を聞いたのも、ある程度大きくなってからだったので。ただ、ずっと自分の心との葛藤はありましたし、女の子と同じような服を着たいということも考えていました。それが、中学になって『男の子が好きだな』と思ったときに確信したというか。高校を卒業するかしないかぐらいのときには、そういう情報も多くなってきて、海外で自由さに触れたことで『自分も好きに生きていいのかな』と思えるようになりましたね。
メンタルクリニックにも通いましたし、19歳くらいからホルモン治療も始めました。ずっと日本にいたら、(治療は)もうちょっと遅かったと思うんですよ。(海外で)自分の知っている世界よりも、ちょっと広いところを知れたので。あと、(コロナ禍の)隔離のときに人の目もそこまで気にならなかったことも大きかったですね。家にずっといるので、化粧の練習もできたので。もちろんコロナが良かったとは思わないですけど、自分的にはそういう巡り合わせがあった時期です」

女性として認められたことが嬉しくて、女子プロレスの世界へ
そしてミヤビは、性転換手術に踏み切る。
「最初、ホルモン治療は親に黙って始めたことでしたけど、(女性っぽい)格好をしていましたからね。(ニューハーフとして)水商売もしていましたし。(性転換をする)恐怖というより、痛みだったり体調不良だったりはありましたね。でもそれらは、なりたい自分になるためには必要なものだと考えるようにしていました。今は名前も変えて、戸籍上も女性になっています」
そのミヤビがプロレス界に入るきっかけも、コロナ禍だった。小さい頃はプリンス・デヴィット(現WWEのフィン・ベイラー)が好きだったというが、野球を始めてからはプロレスと疎遠になっていた。
「2021年末くらいですかね、もともと働いていたお店が休業することになって。ほかのお店を紹介してくれたんですけど、私は『自分で探します』と言って、見つけたのが池袋の『筋肉女子マッスルガールズ』だったんです。そこでちゃんよたに出会いました。それでシフトが被ったときに『身長大きいね!(ミヤビは178cm)プロレスやる?』みたいな感じで、試合に誘われて見に行って、練習にも参加することになって。『いやです』とはいえず参加してみたら『センスあるね!』と言われて、その気になっちゃったんですよねえ(笑)。今の自分の性、女性として認められたことが嬉しくて、女子プロレスラーとしてデビューに向けて頑張ります、と」
(18日公開の後編へ続く)
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