芸歴20年超の森田想、“演技派”評価にも「満足していない」 親友に怒られ教習所に通う意外な素顔も

映画『いろは』(横尾初喜監督、長崎先行公開中、5月22日全国順次公開)で、自由奔放な姉・花蓮役を好演している女優の森田想。子役からキャリアをスタートさせ、26歳にして今年で芸歴20年を迎える。インディーズから大作まで数多くの作品で存在感を放ち、「若手演技派」として高い評価を受けるが、その素顔は気さくで、どこか達観した雰囲気も漂う。新作の舞台裏や、長いキャリアにおける最大の転機、意外なプライベートについて話を聞いた。

映画『いろは』で花蓮役を好演している森田想【写真:増田美咲】
映画『いろは』で花蓮役を好演している森田想【写真:増田美咲】

映画『いろは』で奔放な姉役に挑む森田想インタビュー、キャリア最大の転機とは

 映画『いろは』(横尾初喜監督、長崎先行公開中、5月22日全国順次公開)で、自由奔放な姉・花蓮役を好演している女優の森田想。子役からキャリアをスタートさせ、26歳にして今年で芸歴20年を迎える。インディーズから大作まで数多くの作品で存在感を放ち、「若手演技派」として高い評価を受けるが、その素顔は気さくで、どこか達観した雰囲気も漂う。新作の舞台裏や、長いキャリアにおける最大の転機、意外なプライベートについて話を聞いた。(取材・文:平辻哲也)

『おいしくて泣くとき』などで知られる横尾監督が長崎オールロケで挑んだ本作は、実家暮らしで内向的な妹・伊呂波(川島鈴遥)のもとに、5年ぶりに姉・花蓮(森田)が帰省してくることから始まる青春ロードムービーだ。妊娠し、3人の“父親候補”を巡る旅に妹を巻き込む奔放な姉という役どころだが、実生活では妹である森田にとって、姉役は初めての経験だったという。

「花蓮は、自分を求めてもらう誰かが常にいて、そういう人がいてこそ自分の存在が確立する、安心できるという考え方。実際の私とは違います。ただ、自分は立派な大人だと思っているけれど自分探しの途中であるという部分は、普通の日常での自分にも重なる部分があり、理解はできましたし、すんなり気持ちは入ってきました」

 劇中では長崎弁にも初挑戦した。自身は東京出身で、当初は不安もあったようだ。

「今まで方言を使う役があまりなくて、ふざけて関西弁を喋ったりすると『似ていない』と怒られることが多かったので、方言には向いていないと思っていました。でも、長崎弁は敬語になると東京の言葉と変わらない部分も多く、2週間近く撮影しているうちに留学のような感覚で自然と喋れるようになりました。喋れるのがとても楽しかったです」

 ロードムービーということで車中のシーンも多いが、ここで意外な事実が明かされる。実は森田、これまで運転する役が多かったにもかかわらず、最近まで車の免許を持っていなかった。「車のシーンは牽引してもらって演技していました。演技していない時はただの観光気分で、街並みをぼーっと見ているだけでも心地よかったです」と笑う。

 しかし、現在は教習所に通い、仮免まで取得したという。映画の役作りかと思いきや、きっかけは全く関係のないところにあった。

「中学の親友に怒られたんです。『1人は(免許を取る)努力をしたのに、1人はしていないよね』って(笑)。お出かけする時に、お互い持っていた方がいいじゃないですか。今まで運転している役が多かったものの、正確なハンドルの持ち方や目線もわからずどこか緊張していたので、これからは自信を持てるなと思うと安心です」

 2000年生まれの26歳にして、芸歴は20年を数える。小学1年生で養成所のオーディションを受け、子役として活動を開始した。「母親から言われて、自分が一番びっくりしています。最近は『私、20年、20歳』みたいに自己紹介で言うようにしています」と微笑む。

 中高生の頃は「他にもやりたい職業がある」と辞めようと思った時期もあったが、そんな彼女を俳優の道に引き留めた最大の転機が、中学時代に出演した成島出監督の映画『ソロモンの偽証』(2015年)だ。

「子役事務所から演技ができる事務所に移籍して受けたオーディションでした。メインキャストになれず、1年間一緒にやってきた中で順位がつくのは悔しくてきつかったですね」と当時を振り返る。成島監督の現場は厳しく、スパルタだったというが「あれをやっていなければ辞めていたかもしれませんし、この仕事に執着が湧かなかったかもしれない。あの経験が精神力や自信に繋がっています」と感謝を忘れない。

「今年のテーマは『素直』」だと語った【写真:増田美咲】
「今年のテーマは『素直』」だと語った【写真:増田美咲】

“若手演技派”との評価に思うこと

 近年では『辰巳』(24年)で第16回TAMA映画賞の最優秀新進女優賞に輝くなど、確かなキャリアを築いている。しかし、「若手演技派」という世間の評価と自己評価にはギャップがあるという。

「自分の癖ややりたいことが分かってきたからこそ、そう感じます。自分としては全然うまくできなかった作品もあるので、『それを見ても演技が上手いと思うのだろうか?』という疑問はずっとありますね。『若手演技派』と言われても、『どうだかな』という感じで、まだ自分に満足はしていません」

 地に足のついた26歳。これからの20代をどう歩んでいくのだろうか。

「やっと年齢と中身がイコールになってきた気がします。最近まで『自分を良く見せよう』としていた時期があったので、一旦それをやめようと思っています。今年のテーマは『素直』。素直に自分を出してみて、その良し悪しは周りに判断してもらうくらいのラフな心持ちでいようと思っています」

 一人旅が好きで、最近は予定を立てずにふらりと訪れた沖縄が肌に合い、周りに広めるほど好きになったという。気負わず、素直に。しなやかに変化を続ける女優・森田想のこれからが楽しみだ。

■森田 想(もりた・こころ)2000年2月11日生まれ、東京都出身。小学1年生から子役として活動を始め、映画『鈴木先生』(13年)、『ソロモンの偽証』(15年)などに出演。18年の『アイスと雨音』で映画初主演。圧倒的な演技力で存在感を示し、『わたしの見ている世界が全て』(23年)でマドリード国際映画祭外国映画部門主演女優賞、『辰巳』(24年)で第16回TAMA映画賞最優秀新進女優賞および第34回日本映画プロフェッショナル大賞新進女優賞に輝いた。Netflixシリーズ『九条の大罪』も配信中。特技は英会話、韓国語、茶道、お琴、乗馬など多岐にわたる。

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